March 07, 2022

日本だからこそ必要な自転車

日本は世界でも有数の災害大国です。


国民の多くにも自覚としてあると思いますが、自然災害が多い国というのは世界的にも知られています。例えば2010年から2019年の10年間に、全世界で起きたマグニチュード6.0以上の地震は1496回ありましたが、その17.5%、262回は世界の広さの1%にも満たない日本で起きています。

震度3くらいなら日常的に起きますし、長期的な視点では東日本大震災の余震期間でもあるため、4以上の地震もここのところ多く起きています。南海トラフ巨大地震や首都直下地震も心配されています。活断層による直下型地震は、日本全国、いつどこで起きてもおかしくありません。

海や山に囲まれ、四季の彩、豊かな自然に恵まれていますが、毎年のように台風の被害や梅雨時の洪水、土砂災害、雪害にどにも悩まされます。線状降水帯による狭い地域への記録的な集中豪雨や、大雪もたらす「JPCZ」なども最近よく聞くようになりました。

温泉好きの日本人は、温泉が全国各地にある日本に生まれて良かったと思いますが、一方で火山噴火による被害も起きます。近年、阿蘇山や霧島山の新燃岳、桜島、口永良部島、御嶽山、西之島、福徳岡ノ場の海底噴火などでも起きていますし、富士山だっていつ噴火してもおかしくないとされています。

避難避難

長い海岸線を持つため、地震が無くても、太平洋沿岸の地球の裏側で発生した津波が押し寄せることもあります。先日のトンガの噴火に伴う津波は記憶に新しいところです。全部合わせた自然災害による被害額は、2010年からの10年間で、全世界の1%未満の広さの日本が、21.6%を占めるという突出した被害国です。

さて、そんな災害大国の日本では、自然災害の発生は防げないとしても、いかにその被害を少なくするかが課題です。しかし近年は、『天災は忘れた頃にやってくる』ではなく、毎年のように大規模な災害が起きているため、もはや災害慣れしてしまって、防災・減災への意識が鈍感になっているところはないでしょうか。

折りしも東日本大震災から11年の節目が近いわけですが、被災の記憶も年々風化してしまっている部分があるのは否めないでしょう。震災から数年後に東北で大きめの余震が起き、津波発生の警戒が呼びかけられた時、人々の避難するクルマで大渋滞が起き、もし津波が直撃したら多くの人命が失われかねない事態が起きました。

幸い、津波は被害を被るほどではありませんでしたが、被災した東北の人たちであったにもかかわらず、全くその教訓が生かされていないことに、関係者は愕然としたと報じられました。あれだけの震災を経験しても、それが適切な避難行動や、防災、減災に結びついていないのが課題と言えるでしょう。

避難所津波避難

クルマで避難したくなる気持ちはわかります。持って行きたいものもあるでしょうし、避難所生活が長引く可能性を考えれば、プライベートな空間が欲しくなるでしょう。しかし、避難時は一気にクルマが集中し、渋滞が避けられません。もし津波が襲って来たら、逃げ遅れることになりかねません。

避難生活の前に、渋滞で命を落としてしまえば、せっかくのクルマも意味がありません。やはり徒歩などでの避難を考えるべきでしょう。住んでいる場所と避難先との関係、道路状況などにもよりますが、自転車で避難という選択肢も考えられるのではないでしょうか。自転車なら渋滞にハマらずにすみます。

実際に、津波からの避難には自転車が有効とされた研究もあり、避難に自転車の活用が呼びかけられた地域もありました。被災後の移動・連絡・物資運搬にクルマやトラックなどが使えず、自転車が活躍した事例も多く見られたため、災害備蓄として自転車をストックした地区もありました。

ニュースでは、どんな自転車が備蓄されたのかまでは報じられませんでしたので、詳しくはわかりませんが、おそらく普通のママチャリか、折りたたみ自転車などだったと思われます。なかにはパンクレスのタイヤを装備させた地区もあったようです。

CargoRidaCargoRida

自治体や地区によって、まちまちだったと思いますが、これだけ災害の多い国なのですから、災害時用の自転車を考えてもいいような気がします。実際には、そのような開発事例は聞いたことがありませんが、備蓄用の自転車に加えて、避難用の自転車についても、なにか工夫があってもよさそうなものです。

漠然とですが、個人的には、共通の規格を持つユニット型の自転車があってもいいのではと考えます。具体的な形はいろいろ考えられますが、例えば、Beomsu Kang さんというデザイナーの設計による、“CargoRida”という自転車をイメージ的な土台として考察してみたいと思います。

CargoRidaCargoRida

この自転車は、基本的にカーゴバイクです。デザインは災害とは全く関係ありません。ふだんの生活で買い物をして、荷台も前カゴもない普通の自転車で持ち帰る場合、レジ袋などをハンドルにぶら下げるケースが考えられます。しかし、非常に不安定で運びづらいのは明らかです。

そこで、この“CargoRida”は、フレームの中央にカーゴスペースを持ってきました。ここに荷物を入れれば、左右のバランスが悪くなりません。そして前輪と後輪の間になるので、前後のバランスも安定します。重量が重くなったとしても、自転車の重心に近いここが一番安定するでしょう。

前カゴや荷台よりも大きなスペースがとれ、大きめの荷物も運べます。このフレームの中央に、独特の形のトランクを持ってきて、しかも着脱が可能というのが特徴です。モノを運ばず、トランクが不要な時には外しておくことが出来るので、フレームが軽量になるというメリットがあります。

CargoRidaCargoRida

このような自転車を災害用に設計しては、どうでしょう。このトランクを2つ以上用意しておき、一つは普段に使い、一つは災害持ち出し用とするのです。あらかじめ避難する時に必要なもの、例えば最低限の着替えとか、洗面道具、衛生用品、マット、防寒着といった避難生活用の品物を入れておきます。

実際に避難する時は、別途リュックサックなどの非常用持ち出し袋を背負うことになるでしょう。こちらには、当面の飲料とかスナック、懐中電灯やメガネ、クスリ、充電器やモバイルバッテリーなどが入ることになるでしょう。加えて貴重品やスマホ、身の回りのものを入れて避難するわけです。

避難生活であったらいいなと思うようなものをトランクに入れておけば、すぐに装着して避難できます。あらかじめ準備しておけば、出発する時に焦らずに済みます。徒歩では、せいぜい貴重品や身の回りのものしか持って逃げられないでしょうが、トランクに詰めておいた品々が避難生活で役立つでしょう。

CargoRida

それだけではありません。このトランクの部分に別のモジュールを装着することを想定します。例えば、トランクと同形の発電ユニットを避難所に用意しておいて、到着したら荷物を運んできたトランクはそのまま外し、発電ユニットに付け替えて、人力のペダル式の発電機にするわけです。

洗濯用のユニットがあってもいいでしょう。発電して電気洗濯機を回すのは、エネルギー効率的にナンセンスです。洗濯物と水と洗剤を放り込んで扉を閉め、あとはペダルを使って洗濯槽を回す、足踏み式洗濯機とするわけです。避難生活が長引けば、洗濯機は欲しくなるはずです。

飲料水が手に入らない場合に使う、足踏み式の浄水器ユニットとか、トイレの排水用の水を送るポンプユニットなど、電源が失われた時など用に必要なユニットを避難所に用意しておけば、避難してきた人の自転車も使って、避難生活に役立てることが出来るでしょう。

CargoRida

もちろん、支援物資を運んだり、連絡・移動に使う自転車としても活躍します。地域の全ての人が、同じタイプの自転車に乗るのは現実的ではないですが、災害用、避難用の自転車として共通の規格があれば、便利なこともあるのではないでしょうか。

この、“CargoRida”の形がいいというわけではありません。イザ避難という時に持ち出すため、あらかじめ避難生活用の品物を入れておけること、その部分を交換して、人力で発電や浄水、洗濯、ポンプなど機能を発揮させるのに合理的な形を考えてデザインすればいいでしょう。

CargoRida

最近は、『天災が忘れる間もなくやってくる』状態にあります。でも、少しでも被害を少なくする準備や、少しでも命を落とさないための避難の工夫については、まだまだ十分とは言えない状況があるのではないでしょうか。自然災害が多いという特徴を逆手にとって、もっと災害に強い国にすることが出来るはずです。

ちなみに、日本では77年間無かった戦争からの避難はしたくないですが、ウクライナのようなことも絶対に無いとは言えません。近くに権威主義の国も存在しています。いずれにせよ、自然災害の多い国なのは間違いないので、避難や避難生活用の自転車を考えてみてもいいような気がします。







◇ 日々の雑感 ◇

ウクライナの人たちの苦境が連日報道されています。ロシアはポーズだけで、停戦などするつもりはなさそうです。

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