March 13, 2022

プーチンと闘う自転車に乗る

ロシアがウクライナに侵攻して半月あまりです。


ロシア軍が演習などと称してベラルーシやウクライナとの国境付近に展開しているのは以前から伝えられていましたが、ウクライナに対する威圧であり、まさか本当に軍事侵攻すると思わなかった人は多いに違いありません。この侵略行為は世界に大きな衝撃を与えました。

ウクライナが旧ソ連の構成国だったとは言え、その解体を受けてもう30年以上前に独立した国家です。プーチン氏が歴史をどう解釈しようと、明らかに主権国家に対する軍事侵攻です。これは第二次世界大戦後の国際秩序を根底から揺るがす事態であり、世界の経済発展のシステムにとって重大な試練でもあります。

単にウクライナへの攻撃でなく、民主主義陣営全体に対する挑戦とも言えます。特に地理的に近いヨーロッパには大きな脅威であり、ドイツのショルツ首相は、ヨーロッパ大陸は歴史の転換点を迎えたと述べています。ドイツはこれまでの姿勢を一変させました。

ゼレンスキー大統領ウクライナ情勢

ロシアの天然ガス依存の象徴であるノルドストリーム2を止め、エネルギー政策を大きく転換しました。大戦の反省から、これまで紛争当事国への武器供与をしてきませんでしたが、その禁を破って、ウクライナへの武器提供を始めました。ドイツの国防費をGDP比2%以上へと大幅に引き上げることも決めました。

アメリカをはじめヨーロッパ各国が、対戦車ミサイルなどの兵器を送っています。スウェーデンなども国是を破って、兵器供与を決めました。これまで長年にわたってNATOに加盟していなかった、フィンランドやスウェーデンで加盟賛成が国民の半数を超えるなど、世論も一変しています。

バイデン大統領国連総会

永世中立国でEU非加盟国であるスイスですら、即座にロシアに対する制裁を決め、米欧と歩調を合わせました。これは前例のないことです。他の紛争と違って、ロシアの侵略は国際法違反が明らかであり、スイスがこれまでにない異例の措置を決定するほど、特別な状況にあるとスイス政府は説明しています。

日本も制裁を発表しましたし、これほど迅速に民主主義陣営が結束して厳しい経済制裁に出るとは、プーチン氏も思っていなかったかも知れません。侵攻計画が思ったより難航していることもあってか、核兵器の使用を示唆するなど、焦りが見られるようにも感じられます。

プーチン大統領ウクライナ

ただ、西側諸国はウクライナに兵器の供与や支援はしても、それ以上のことが出来ないのも確かでしょう。ウクライナが要求するようにNATOが同国上空に飛行禁止区域を設置したら、NATO軍とロシア軍の直接の戦闘になりかねません。ポーランドなどからの戦闘機の供与もロシアが参戦と見なす可能性があります。

ロシアの核使用の示唆は脅しだとしても、本当に直接の衝突となれば第三次世界大戦になりかねません。戦略核まで使われる事態への発展だってありえます。人類滅亡の危機です。ウクライナの病院や学校、住宅など民間施設が爆撃され、市民が殺害されていても、プーチン氏を直接止める手立てがないのも現実です。

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一方で、今般はネットやSNSがあるため、ウクライナからの映像が全世界に配信されています。人道回廊と呼びながら避難する市民を攻撃したり、病院への爆撃なども世界が目撃しています。原発への攻撃なども含め、ロシアの非人道的で国際法違反の攻撃に、怒りを覚える人は少なくないでしょう。

各国が支援を表明し、企業は続々とロシアからの撤退を決定しています。反戦デモや、市民による草の根の支援や連帯を表す活動も世界に広がっています。イギリスの小学生は、クラスメートと競技場を自転車で600周走ることで、6300ポンド以上の募金を集めました。

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スピンバイクによるサイクリングチャレンジを主催して、募金を集めているカフェもあります。ウクライナの国旗の色でその平和を願うジャージを制作し、売り上げの全てを寄付する会社もあります。イタリアの自転車メーカー、3T は、ウクライナ仕様のモデルを発表し、収益を全額寄付します。

ウクライナへの連帯を表すステッカーを制作して、寄付に充てようというアメリカのショップもあります。ウクライナのためのレースを開催して、寄付をしようという会社もあります。一般市民に出来ることは多くありませんが、サイクリストのコミュニティだけでも、世界中の人が何かをしたいと考えているのでしょう。

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そんな中、SNSなどで話題になっているのが下の画像です。“Fight Putin - Ride a Bike” というスローガンが書かれています。ウクライナ国旗の色を背景に、「プーチンと戦う − 自転車に乗る」と書かれたプレートを、自転車の後ろなどに貼り付けて走行している人も出てきているようです。

ウクライナへの支援はともかく、プーチン氏を止めるために、民主主義国の陣営としては、基本的に経済制裁によってロシアを戦争継続の断念へと追い込むしかありません。アメリカなども次々と追加の制裁を打ち出していますが、決済システム、swift からの除外など強力な金融制裁も含め、即効性に欠けるのは否めません。

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そして、経済制裁は、それをする側も返り血を浴びるのは確かです。原油価格は高騰し、鉱物資源や小麦などもロシアからの輸入が出来なくなれば、インフレという形で市民生活を直撃します。ガソリン高などで、実質的な可処分所得を削られることになり、消費が抑制され、景気後退も懸念されています。

欧州にとって、ロシアからのエネルギーの輸入を全部止めるのは簡単なことではないでしょう。今後、ロシアへの依存を減らすことは決めていますが、他の供給国からの輸入へ、最大限の転換を図ったとしても、全体の少なくとも1割程度はどうしても足りないとの試算が示されています。

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一方、ロシアから原油や天然ガスを輸入し続ければ、その代金でロシアは潤います。特に価格高騰で思うつぼでしょう。さまざまな形で国民生活を直撃しても、私たちがそれを我慢できるかが問われます。一貫して制裁の継続を支持し続けられるかが問われることになるでしょう。

そこで、“Fight Putin - Ride a Bike” です。自転車に乗ることでガソリンを節約できます。クルマの利用を減らし、多少不便になったとしても、それでロシアへのエネルギーの依存を少しでも減らそうというのです。市民が出来ることは少ないですが、経済制裁の継続を支持することで、プーチンと闘おうという呼びかけです。

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スウェーデンの緑の党のリーダーなどからもリツイートされています。つい先日までは、温暖化ガス削減のために自転車に乗ろうという呼びかけだったわけですが、いまや気候変動よりも、当面の相手はプーチンのロシアだというスローガンに多くの共感が寄せられているのでしょう。

自転車に乗るだけで不足分を補うのは実際には困難としても、多くの人がこの意識を共有することは、制裁の継続、徹底につながります。今後の動向は予断を許しませんが、世界の安全保障と経済環境は一変しました。今や目先の経済より安全保障が優先されます。民主主義国の団結と忍耐が試されているのも確かでしょう。




◇ 日々の雑感 ◇

ロシアが情報機関幹部を軟禁との報道があります。想定外の抵抗で電撃作戦に失敗し、兵士の士気も上がらず、首都も陥落せず、強気のプーチン政権にもダメージがボディブローのように効いてきてるのかも知れません。

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