March 16, 2022

意外と見落とされている場所

世界的に都市化は進んでいます。


歴史的な経緯や、交通の要衝にあったり経済活動の中心となる場所が、国土の発展に伴い、小さな町から都市になり、その発展した都市に人が集まります。都市に住む人の割合、世界の都市人口は1950年には30%に過ぎませんでしたが、2018年には55%に増え、50年には68%に達すると予測されています。

農業や牧畜業などを生業とする人は別として、一般的に都市に住むほうが便利ですし、経済活動の効率も上がります。その国の産業構造等にもよりますが、都市になるほど利便性や効率は高くなるので、さらに都市圏の規模が拡大したり人口の集積が進む流れは続いていくでしょう

それに伴って都市には、さまざまなインフラが整備され、オフィスや住居などが建設されることになります。ただ、人口の集中が進んでいくと、世界のあちこちの大都市が悩まされているような渋滞、公共交通の混雑、物価や住居価格・家賃の高騰、大気汚染、失業や貧困問題、スラム化など、いろいろな問題が出てきます。

都市の集積が進めば、物理的なスペースも足りなくなっていきますし、地価も上がるでしょう。適切に分散できればいいのですが、なかなか解決は難しいものがあります。政治的に、例えば首都を移転することで解決しようとする国もありますが、そう簡単なことではありません。

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ただ、見方や発想を変えることで、もう少し何か出来ることはないものかと考える人もいます。これまで使われてきた、いわば正統な方法、発展ではなく、違ったデザインとか、手法がないものかと漠然と模索する活動をしている、スペイン・バレンシアの、Fernando Abellanas さんもその一人です。

工業デザイナーであり、アーティストでもある、Abellanas さんは、ユニークな場所にスタジオを設置しました。幹線道路の高架橋の下です。場所が場所なので、電気も水道もありませんが、都会の真ん中で、「隠れ家」のようなスタジオになっています。

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子供の頃、自分だけの秘密基地をつくった感覚、あるいは家族が探しても見つけられないような場所に隠れて見ていた感覚に通じるものがあります。イスと机と棚があるだけですが、市内の賃貸物件に劣らぬくらい快適で実用的な作業スペースになっていると言います。

都心の交通量の多い道路橋の真下にありながら、都会の喧騒から遠く離れた空間でもあります。下を人が通ることもありますが、ほとんど気づく人はありません。具体的な場所は伏せられていますが、誰からも見られることもなく、通り過ぎるクルマや電車などを見ていると、大きな安らぎが得られると話しています。( ↓ 動画参照)



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言葉で説明するのは難しいので、その構造や成り立ちは上の動画を見ていただくとして、うまく空間を利用しています。手動のハンドルなので動力も不要です。オープンエアですが、雨に降られる心配もなく、橋で川沿いなので、おそらく風通しも良くて涼しく、夏でも快適なのでしょう。

もちろん、これは言ってみれば一種のアート作品であり、これを貸し出そうとか、商品化しようとかいうわけではありません。ただ、こんな思いもよらない場所に、快適で実用的で、やすらぎを得られる素敵なスペースが出来ることに、意外感を感じる人は多いでしょう。

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さて、Abellanas さんはオリジナルの自転車も制作しています。なんと下水管の中を走行します。普通の自転車なら、下水管の排水の中を走らなくてはなりません。これは、下水の流れている上空を走ることができる構造です。なるほどと思いますが、よくこんなことを考えたものです。

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Enlace”、スペイン語で「つながり」と題された作品です。都市には、道路やガス・電気、水道、下水道などのつながり、ネットワークが不可欠ですが、日頃見えていない、いわば無視されている空間もあることを気づかせてくれます。そもそも走行しようと考えない場所ですが、都市の隠された空間を探検出来ます。

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こちらも、これを商品化しようとか、地下の自転車道として活用しようと主張しているわけではありません。でも、都市空間をあらためて考えさせるきっかけになります。インフラ、空間のつながり、交通、騒音、静けさ、いろいろな点に気づかせてくれるのではないでしょうか。( ↓ 動画参照)



都市には人口が集中し、どんどん過密化していきます。混雑や渋滞も進むでしょうし、いろいろな問題が山積していくのも避けられません。ただ、都市にも意外に見過ごされた空間があります。これまでにない発想で、もっと空間の有効活用を考えるという視点があってもいいのかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

ウクライナに侵攻し、旧ソ連版図の復活を目指したロシアですが、制空権、兵力不足、補給兵站の失敗など軍事・戦略的なミス、未熟な徴集兵、士気の低さ、軍事物資の不足で中国に支援を求めるなど、弱さも露呈し始めています。制裁で世界経済から排除され、拡大どころか没落に向かうとの見方が現実味を帯びてきた気がします。

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