April 12, 2022

そう簡単には見られない景色

日本には景色のよい所がたくさんあります。


住んでいると普通だと思っていますが、日本の自然は外国人にとっては非常に魅力的です。海に囲まれているのに山がちな国土、南北に長く地形も変化に富み、海流などの影響もあって温暖で湿潤な気候で、森林が7割を占め緑が豊かです。多くの固有種を含む動植物の豊かな生態系は世界的に貴重です。

都市部と山の距離が近いため、どこでも山歩きが楽しめたり、温泉がたくさんあったりします。日本人に見慣れた風景も、訪日客には目新しかったりするでしょう。漁港もあちこちにあって、豊かな海の幸を味わうことも出来ますし、寺社仏閣をはじめ、歴史的・文化的な見どころもたくさんあります。

バイクパッキング
バイクパッキング


時々、外国人で日本でのツーリングを楽しむ人がいますが、わざわざ日本に来てまでツーリングをする価値のある景色、自然環境、観光スポットが豊富ということなのでしょう。もちろん、日本人でも今まで行ったことのない場所、見たことのない景色を求めてツーリングを楽しんでいる人がいます。

近年、人気が高まっているのが、バイクパッキングです。単なるロングツーリングやヒルクライムなどではなく、宿泊施設に泊まる自転車旅行でもありません。自転車に道具を積み込んで、途中でキャンプをしながらツーリングするスタイルです。自転車以外でも、巷でソロキャンプが流行っているのも一因かも知れません。

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以前から自転車でキャンプをしながら旅行する人はいました。ただ、従来は上の画像のような頑丈でキャリアのついた専用の自転車などを使うスタイルが多かったと思います。最近のバイクパッキングは、ふだん乗っているロードバイクなど、普通のスポーツバイクを使うところが違います。

専用のツーリングバイクのようにキャリア用のダボ穴などが無いロードバイクなどに、サドルバッグや、トップチューブからぶら下げるフレームバッグ、ハンドルバーバッグなどを取り付け、コンパクトにまとめた道具を運ぶスタイルです。いつも乗っているスポーツバイクを改造したりする必要はありません。

バイクパッキング
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バイクパッキング入門 自転車ツーリングの新スタイル


日本は道路網が発達していますので、ロードバイクでバイクパッキングする人が多いでしょうか。ダートと舗装路の両方を走行するため、グラベルバイクを使う人もあると思います。宿泊の場所が限られないので、よく知られた観光地などではなく、人里離れた山奥の秘湯を訪れたりする人もあると思います。

最近は、SNSにアップするため、あまり人に知られていない場所や、写真映えする景色を目指す人もあるに違いありません。ただ、山奥の秘湯であっても、最近は情報が豊富なので、意外に知られていたりします。検索すれば、写真もたくさん出てくるかも知れません。


(上の画像はイメージです)

でも、そんな中でも、あまり人が訪れないような場所もあります。人跡未踏とは言いませんが、滅多に人が行かないような場所です。なぜ、そのようなことを言うのかといえば、自転車ではないものの、たまたま私にもそのような場所へ行った経験があるからです。

詳しい場所は伏せますが、ある無名の山を登った先の景色に感動したことがあります。その場所は企業の管理地で無断での立入が出来ないだけでなく、登山道なども無く、容易には登れない山でした。ですから、案内してくれた人は、この景色を見たことがある人は、数えるくらいしかいないはずと言っていました。


(上の画像はイメージです)

なぜ私が登れたかと言えば、時期がベストだったからです。ちょうど今くらいの時期だったかと思います。そこは北国で、ふもとの雪は解けていましたが、ある程度の標高より上はまだ雪が多く残っていました。でも春先になって雪が固まってきており、スノーシューをはいて歩ける状態でした。

冬場は雪が深く、歩くと沈んで歩行は困難です。天候も厳しくて、それほど高い山ではないですが、遭難する危険があります。でも春先になれば天候も安定しており、雪が解けてまた固まるなどして、ちょうど歩きやすい状態でした。このような状態になるのは一年に数日、ならない年もあるそうです。


(上の画像はイメージです)

冬以外は、登山道のようなものがなく、道なき場所を登る必要があります。ブッシュがすごくて、鉈で刈りながらでないと進めず、時間もかかり過ぎるため、登るのは現実的ではないと言います。つまり、ブッシュの上に雪が積もって固まっている時しか、現実的に行けない場所なのです。

事情を聞けば、その景色を見たことのある人がほとんどいないのも納得です。私が訪れた時、たまたま登れる状況だったので案内してくれたのですが、貴重な経験をしました。日本に山深い場所は無数にありますが、登山道があって登れるような場所でなく、人が行かないような山奥の場所は、けっこうあるのかも知れません。

Cairngorms,Photo by Graham Ellis,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Cairngorms,This image is in the public domain.
(Cairngorms,Scotland)

さて、イギリスに、そうしたなかなか行けない場所をバイクパッキングで走っている人がいます。スコットランドで教育者とアウトドアガイドをしている、Anniele さんです。ケアンゴームズという山岳地帯の、全く手つかずのバックカントリーです。夏場に自転車で走行するのは困難な地形です。

春先に雪が融解と凍結を繰り返し、程よい状態になった時しか走破出来ません。毎年、彼女は冬がゆっくり春に移り始めると慎重に状況を観察します。天候が落ち着いて、雪が締まったわずかな期間、そこはバックカントリーの楽園になります。しかし、年によってチャンスが来ない場合も多いと言います。

Anniele

Anniele

Anniele

Anniele

見渡す限り誰もいない雪原です。道はありません。360度、どちらに向かって走ろうと自由です。大雪原の中で全く自由に自転車に乗る感覚は、他の場所では味わったことのないものだと語っています。そんな非日常の世界へ自転車で冒険に出るわけです。

途中のキャンプはテントではありません。雪を掘って雪洞に泊まります。日本の雪国で、かまくらに入ったことのある人はわかると思いますが、雪の中なのにあたたかいのです。風雨も防げますし、テントより保温効果は高いでしょう。周囲何十キロも誰もいない中で雪洞に泊まるというのも、なかなか出来る体験ではありません。

Anniele

Anniele

Anniele



ずっと、この旅をしたかったのだそうです。バイクは、ファットバイクです。誰も走る人のない大雪原を、自由に自分だけの軌跡を描くというのは、どんな気持ちでしょうか。運が良くないと行くことの出来ないという点も含め、なかなか出来ないバイクパッキングと言えるでしょう。( ↑ 動画参照)

近年は、ファットバイクを使えば、雪上でも自由に走行できるようになりました。自転車による行動範囲が大きく広がった形です。日本に、雪のある時にしか行けない場所がどれほどあるかはわかりませんが、おそらく、まだほとんど人目に触れたことのない景色、手つかずの自然が眠っていそうです。





◇ 日々の雑感 ◇

佐々木朗希選手が日本プロ野球史上16人目、史上最年少の完全試合!達成おめでとうございます。13者連続19奪三振、しかもまだ1軍で投げ始めて通算たった14試合目、完封どころか完投もなかった20歳、もう凄すぎです。

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