April 15, 2022

もはや練習用や暫定ではない

初めて自転車に乗れた時を覚えていますか。


おそらく、練習の末に初めて乗れるようになった時は嬉しかったでしょう。何度も転びながら練習した人、補助輪がなかなか外せなかった人、親に後ろを支えてもらって、『絶対に手を離さないでよ。』と言いつつ、もう手は離されていた、なんて光景があったかも知れません。

ところが、最近の自転車の練習は違います。まずペダルを外します。補助輪は最初から使いません。サドルは足が地面に付く高さにします。そして、またがったまま両足で地面を蹴りながら進み、勢いをつけて足を浮かします。これならすぐ足を着けるので転ぶ心配も無く、親が後ろを支えてやる必要もありません。

誰にも支えられないことで、身体でバランスを覚えることになります。一人でも練習できるのも利点です。足で蹴った後、足を着かずにバランスをとって直進出来るようになったら、第一段階は合格です。次に、右足のペダルをつけて片足こぎの練習をするのもいいでしょう。

ストライダー
トレーニングバイク


さらに慣れて、足を離してもバランスが取れて倒れなくなってから、両方のペダルをつけて、ペダルをこぐ練習に進むわけです。後ろから支えると、かえって頼ってしまうので親は支えません。このほうがバランスが身につき、従来の方法より早く乗れるようになると言います。

個人差はあるものの、早ければ2〜3時間で乗れるようになる子供もいるそうです。昔、苦労した人には信じられない話でしょう。当時はそんな練習をしている人など聞いたことはないと思うので、おそらくほとんど実践していた人はいないと思います。もっと早く知りたかったという声が聞こえてきそうです。

近年は、最初からペダルのない自転車(例:上と下の4枚の画像)、足で地面を蹴って進むキックバイクを使うことも多くなっているようです。ほかにバランスバイク、ランニングバイク、トレーニングバイク、ストライダーなど、呼び方はいろいろありますが、初めての自転車の前に、最初に子どもに買い与える例も多いようです。

キッズバイク
キッズバイク


自転車に乗る練習ということであれば、ペダルを外す方法のほうがいいように思います。乗れるようになってペダルを取り付ければ、そのまま自転車になるわけで、キックバイクを買わなくて済みます。ただ最近は、すぐに自転車に移行させるのではなく、あえて最初はキックバイクを選ぶ親が増えているようです。

幼児期の一定の間は、すぐに自転車に乗り換えさせることなく、しばらくキックバイクに乗せるわけです。バランス感覚や体幹が鍛えられるなど、身体つくりに貢献すると言われています。運動神経が良くなったり、かけっこが速くなるという話もあります。

世界選手権世界選手権

基本的に足で蹴って足で止まるので、多くのキックバイクにはブレーキはついていません。子どもの小さな手ではブレーキを掴むのは困難でしょう。自分の足で蹴るだけなので、それほどスピードが出ないぶん、安全という判断もあるのかも知れません。もちろん、必要になれば、いつでも自転車に移れます。

つまり、キックバイクは単なる自転車練習用ではなく、キッズ用の乗り物、キッズバイクとして認知されるようになってきました。海外では、キッズバイクとしてのキックバイク、バランスバイクがメジャーとなり、なんと世界選手権まで開かれています。2歳〜5歳までしかエントリー出来ない自転車レースです。

世界選手権世界選手権

子供用ですから、それなりの値段、それなりの性能です。ところが最近は、高性能なバランスバイクも登場しています。なんとフレームはカーボンファイバー製、重さは2キロ程度と軽量です。Specialized 社のバランスバイク、カーボンファイバー製の、Hotwalk R17000(下の写真) は、なんと1千ドルもします。

Hotwalk CarbonHotwalk Carbon

子どもの脚力ではスピードは出ないものの、坂などなら加速してしまいます。スピードが出始めたら足で止められなくなる恐れがあります。公園などなら普通は問題ないと思いますが、心配な親のためにブレーキキットも売られています。親がリモコンで遠隔操作して、スピードを落とさせることが出来ます。( ↓ 動画参照)

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さらに、電動のバランスバイクも登場しています。もちろんペダルはないので電動アシストではなく、フル電動のキックバイク、子供用の、e-bike です。これに乗る子どもは、ペダルをこぐ自転車を経由せずに、そのまま電動の、e-bike に進んだりするのでしょうか。( ↓ 動画参照)



子ども用ではなく高齢者用のバランスバイクも開発されています。高齢者が歩行器を使って歩くより、バランスバイクを使ったほうがいいのではないかという発想です。歩行の補助なので歩道を通れます。歩行器を使うより軽やかに、安定して歩けるケースも少なくないようです。

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普通の大人用もあります。折りたたみで、都市でのモビリティとして使うバランスバイクです。開発者は、スーパーマーケットのショッピングカートを蹴って進んでいて楽しいことに気づきました。それでペダルのついた自転車ではなく、キックスケーターでもない乗り物があってもいいのではと考えたのだそうです。

行きついたのが、折りたたみのバランスバイクです。都市で電車やバスを乗り継ぐ場合でも、折りたたみでコンパクトなので持ち歩き出来ます。ペダルもギヤもチェーンないので軽量で運びやすいのも利点です。そして、歩くかわりに、またがって蹴って進めば、そこそこ速くてラクというわけです。( ↓ 動画参照)

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大人はキックバイク、バランスバイクに馴染みがないと思いますが、近年はいろいろなタイプが登場しています。初めての自転車が1千ドルというのも驚きますが、レースや電動、大人用と、いろいろな分野へ広がっており、もはや自転車の練習用、自転車への『つなぎ』の乗り物ではありません。

単なる子ども用の自転車という範疇にも納まらなくなっています。考えてみれば、自転車の起源とされるドライジーネは、足て蹴って進むものでした。先祖返り、あるいは原点に帰ったと考えれば、キックバイクが使われるようになるのも不思議ではありません。

Photo by Joachim Kohler,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.This image is in the public domain.

ペダルやギヤ、チェーンなどを省いたことによる特性、利便性、メリットも確かにありそうです。自転車の用途を広げるものでもあります。もはや自転車のカテゴリーの一つと言ってもいいでしょう。さらにそこから電動などの派生もありますし、今後もキックバイク、バランスバイクは独自に発展していきそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

エンゼルスの大谷翔平選手はレンジャーズ戦で逆転満塁弾をあびるなと、調子はイマイチのようです。一方でカブスの鈴木誠也選手は開幕から6試合連続安打3本塁打10打点など好調で、日本人の楽しみも増えていますね。

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