約200年前の誕生当時とは比べるべくもないわけですが、近年の素材や加工、半導体技術やITなどによっても進化し、快適で使いやすく、便利になっています。基本的な構造や見た目は大きな変化はなくても、いろいろな技術の恩恵は、自転車にも及んでいるのは間違いありません。
何が進化したかを挙げればキリがないと思いますが、本体以外でも、例えばサイコン、サイクルコンピュータは日本では、1970年代に搭載されはじめたそうです。これによってリアルタイムに走行速度や距離がわかり、パフォーマンスの確認や到着予想時間の把握など、登場前と比べて、大きく便利になったはずです。
サイコンも、無い時には何とも思わなかったのでしょうが、一度使うようになれば当たり前となり、なくなれば不便に感じるのは間違いないでしょう。進化によって便利になったり、快適になったり、手間が省けるようになったりするものの多くは不可逆的で、もはや戻れないものは多いに違いありません。
もちろん、いまだに進化の途上で、不便だったり手間がかかることもあります。いろいろとメンテナンスするのが面倒と感じる人も多いと思いますが、メンテナンスフリーとはいきません。機械である以上、仕方ないと思いますが、もう少し手間が省けるといいと感じる作業もあるのではないでしょうか。
例えば、タイヤの空気圧の管理です。適宜空気圧を計測し、一定のレベルにない場合は、インフレーターで空気を補充する必要があります。これをしないと、パンクなどのトラブルの原因になりかねません。ころがり抵抗も増えますから、ペダルが重くなり、相対的にスピードも上がらなくなります。
自転車で出かける前にチェックすればいいだけの話ですが、面倒と感じる人も多いでしょう。省いてしまっても、すぐに問題となるわけではないので、チェックしない人もあるでしょう。ただ、それが積み重なると、いつの間にか空気圧が不足してトラブルになったり、快適さが失われたりします。
さて、そんな中で新しい進化と言うべきアイテムが登場しました。オランダの、Scope Cycling 社によって開発された、“
Scope Atmoz”です。これは、タイヤの空気圧を手元で確認、調整できるというシステムです。いちいち止まって、自転車を降り、タイヤの空気圧を計測し、ポンプで空気を入れる必要はありません。
これは、プロのレースなどで使われるシステムです。路面の状況によって、リアルタイムに最適な空気圧に調整することで、より速く走るための新しいアイテムです。特にヨーロッパのロードレースでは、路面がアスファルトとは限りません。途中にローマ時代などの古い石畳のコースがあったりします。
そのような場所では空気圧を下げたほうが走りやすくなり、速く走れます。一方、アスファルト舗装では、空気圧を高くするほうが、ころがり抵抗が低くなるためスピードが上がるわけです。この空気圧の調整を走りながら、手元の操作でワンタッチで行おうというわけです。
自転車競技の国際競技連盟である、UCI(国際自転車競技連合)もプロのロードレースでの使用を承認しました。まだ細かい仕様はわかりませんが、手元のサイコンに空気圧が表示され、無線操作であらかじめバルブとつながったタンクから、高圧の空気を注入するようです。動作する本体は充電式です。
これがあれば、走行中に空気圧を変えられますので、バイクを乗り換えたり、ホイールを交換したりする必要はありません。時間のロスが減るので、レースに有利なのは明らかです。これが有効となれば、どこのチームも採用するのが当たり前になるに違いありません。
当然ながら、プロのチームが利用するものですから、私たちのような一般のサイクリストには、今のところ関係のない話です。価格も4千ユーロほどしますので、個人で購入するのは現実的ではないでしょう。ただ、タイヤの空気圧の管理の世界も、技術革新が進んでいるわけです。
以前、取り上げたことがありますが、タイヤの回転によってハブからタイヤに空気を送り込むエアハブというような技術もあります。常に空気圧を適性にしてくれるというものです。一般のサイクリストは細かい空気圧の調整が必要なわけではないので、こうした方式のほうが現実的でしょう。
それでも、いちいち出かける前に空気圧を計測する必要がなく、走りながら空気圧が減っているかチェックし、必要なら止まることなくワンタッチで空気を注入できたら便利に違いありません。ものぐさなサイクリストでなくても、メンテナンスの手間が減るメリットはあります。
プロのレースのように路面に応じて調整出来たら、それも便利かも知れません。今は現実的ではないとしても、先端技術はプロのレースの世界で採用され、それが一般のサイクリストの世界に普及するケースもあります。普及して量産化されれば値段も劇的に下がるでしょう。
バルブに直接取り付けておけるくらいコンパクトになれば、ハブに取り付ける手間が省けて手軽になるかも知れません。細かい調整まではともかく、タイヤの空気圧管理は、バルブに小型の高圧タンクを取り付けておくのが普通になって、空気圧は走りながら確認する未来が来る可能性もありそうです。
自転車の本体やパーツの進化は、依然として続いています。もちろん、開発されても広範な採用に至らず、廃れてしまう技術もあります。でも少しずつ、時には大幅に、便利になったり、快適になったり、自転車生活を変えるような進化は、これからも続いていくでしょう。楽しみにしたいと思います。
◇ 日々の雑感 ◇
日本医師会の中川俊男会長はマスクを外す時は来ないと発言しました。何故いつも、あのように上から目線なのでしょう。私は諸外国の例を見ても、そろそろ外す時期を考えるべきだと思います。日本ではマナーのようになっていますが、少なくとも屋外では外しても問題ないのではないでしょうか。これから暑くなるので熱中症も心配です。
Posted by cycleroad at 13:00│
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