ただ、自転車好きで、かつアート作家という人は、多くはないでしょう。シンガポール在住のデザイナー、Thomas Yang さんは熱心なサイクリストで、アーティストでもあります。“
100copies Bicycle Art”に彼のポスターやTシャツなどの作品が公開されています。
おそらく、自転車好きでない人にはあまり興味がわかないでしょうし、アート作品として高く評価しない人もあるかも知れません。でも、自転車好きの人なら感じるものがあったり、なかには気に入る作品があるのではないでしょうか。購入して部屋に飾りたいと感じる人もあるに違いありません。

実は以前、8年ほど前に彼の作品を取り上げたことがあります。上の左の作品4枚です。どれも世界的に有名なランドマーク、ニューヨークのエンパイヤステートビル、パリのエッフェル塔、ロンドンのロンドンブリッジ、そして北京の紫禁城です。
よく見るとわかりますが、これらの作品、実は自転車のタイヤのトレッドパターンを使って描かれているのです。ユニークな手法もさることながら、どれもそれとわかるシルエットになっています。遠目に見たら写真かと思うくらい緻密に描かれているのもスゴイところです。

8年前は、最初の4枚しか公開されていなかったと思いますが、改めてのぞいてみたら、たくさんの素敵なアートポスターが追加されていました。それぞれサイトから購入できますが、各100枚限定です。上の右の写真のように通し番号が振られていて同じ番号のものはありません。一部の作品は追加プリントされるものもあります。
上の左は、よく見ると僧侶が自転車に乗っています。ネパールで起きた地震の後に制作され、チャリティーとして販売されました。法衣が大きく巻き上がっていますが、実はこの形、ネパールの国の形です。このように、それぞれの作品、単純に見えていろいろな意図が隠されているのも面白いところです。

上の右は、フィリピンのタクロバンなどの都市を襲った台風による被災の後に制作され、やはりチャリティー募金に使われました。フィリピンの国の形が、自転車に乗る人に見えるのは、サイクリストならではの連想と言えるのではないでしょうか。

上の左が何を描いた形か、自転車乗りならすぐわかるでしょう。同時に、この作品は日本へのオマージュでもあります。そう、日の丸です。クリックするとサイトに飛びますので、この作品を拡大した時に見える細部にも注目してみて下さい。

上の左は文章、文字の濃淡を使って描かれています。しかし、ただの文章ではありません。偉人の言葉などから、自転車の楽しさを讃える言葉、フレーズなどが300くらい集められています。これも、聞けばなかなかオシャレですし、工夫されていることがわかります。

一つひとつについては書ききれませんが、それぞれ描かれた背景や意図、テーマがあります。ここに挙げた作品は一部ですが、興味をもたれた方は、サイトで他の作品もご覧になってみて下さい。

文字を中心とした作品もあります。右は、“Life Behind Bars”と題された作品です。このフレーズは、『私はバーの後ろで人生を送る』という意味です。behind の、b と、d がハンドルバーの一部になっています。

左は世界地図をいったんバラバラにして再構成して出来た作品です。クリーンな地球を実現するため、世界中で団結すべきサイクリストを象徴しています。よく見ると、前輪の一部が日本列島です。

“BIKEMOJI”と題されたシリーズです。自転車のパーツを使って顔が表現されています。どれもパーツを上手く使っています。

よく工夫されていて、どの顔も、よく見ると味のある表情に見えてくるのは私だけではないでしょう。
こちらの作品も、自転車のパーツで構成されていますが、たしかに都市の遠景に見えます。観覧車や吊り橋、ビル群などに見えます。飛び立つ飛行機を吊り下げられたサドルで表現しているのもユニークです。

トートバッグやTシャツもあります。“NEVER TOO OLD”の文字が自転車にデザインされているのもオシャレです。自転車に乗るのに、年を取り過ぎているなんてことはありません。

左の、“Journey To Zen”と題された作品は、日本の庭園にインスパイアされたそうです。砂利に描かれた線や砂紋と言いますから、書いてはありませんが、有名な龍安寺の石庭かも知れません。購入者にアメリカ人が圧倒的に多いのは、同国での禅の人気がありそうです。右は、Yang さんです。
部屋にあるのが家具や実用品ばかりだと、どうしても殺風景になります。そこに絵画とか観葉植物などがあると雰囲気が和らぎますし、飾ってあることで癒しになったり目が休まったりします。自転車好きならば、それがこのようなアート作品であってもいいかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
昨日台風に変わって今日上陸、熱帯低気圧の発生場所も近くなり、日本の位置が亜熱帯になった感があります。
Posted by cycleroad at 13:00│
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