August 22, 2022

自転車通勤のメリットと懸念

自転車通勤にはメリットとデメリットがあります。


人によって、あるいは条件によっても変わってくると思いますが、一般的に言われるメリットはたくさんあります。例えば、満員の電車やバスなどに乗らなくて済む、朝からリフレッシュして仕事の効率が上がる、運動不足解消やダイエット、健康増進に寄与するといったことが挙げられるでしょう。

交通費が安く済む、環境負荷を軽減する、通勤経路を選べる、渋滞や列車・バスの遅延に左右されない、ストや災害などに強い、さらに最近であれば、コロナ対策として密になりがちな公共交通機関を使わなくて済む点も、自転車通勤のメリットとなっています。

デメリットもあります。天候の影響を受けやすい、交通事故のリスクがある、汗をかく、距離によっては時間がかかる、日焼けする、帰りに飲酒が出来ない、通勤中にイヤホンで音楽を聴けない、ヘルメットで髪型が乱れる、着替えが必要になる、といったところでしょうか。

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これに加えてヨーロッパだと、大気汚染による健康被害が気になるという人もあるでしょう。このブログでは何度も取り上げていますが、ヨーロッパの都市では大気汚染が問題になっています。大気汚染というと、日本人は中国やインドなどを思い浮かべますが、実はヨーロッパでも大気汚染が大きな問題なのです。

窒素酸化物などの有害物質や、ディーゼル車が排出する粒子状物質、PM2.5などが原因です。主にクルマの排気ガスを原因とする大気汚染で、ヨーロッパ全体では年間50万人もの人が早死にする要因になっていると報告されており、EUの保健機関などが警告を発しています。

喘息や肺がんなど呼吸器系の疾患だけではありません。血液に入り込んで、心臓疾患などの循環器系の病気も引き起こし、多くの人の死因・遠因になっていると言います。直接の因果関係はともかく、大気汚染が健康被害をもたらしていることは、多くの人が意識しています。

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自転車通勤する場合の人々の懸念は、ヨーロッパの自転車市場をみるとわかります。例えば、サイクリスト用のマスクがいろいろ開発されています。汚染された空気を直接吸い込まないようにする工夫がこらされており、一部で実際に使っている人がいます。



BreezoMeter という会社は、最大5メートルという細かい刻みで大気の質をモニターしデータ化しています。このマッピングデータを使って、なるべく大気汚染の影響を受けづらいルートを提案するアプリなども開発されています。ナビゲーションに、大気汚染の条件を指定できるわけです。

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最近発売された、Noordung 社の、e-bike は、オートバイに似せたかのようなデザインが特徴的です。このガソリンタンクにあたる場所にある、boombox には4つのスピーカーが内蔵されており、イヤホンを使わずに走行中に音楽を楽しめるようになっています。

しかし、同社が強調する一番の特徴は、この、boombox 部分にPM 2.5などを検出するセンサーを内蔵していることです。スマホの専用アプリを通じて、空気の質の変化を把握したり、汚染の著しい箇所を回避したするのに役立ちます。可能な限り、良い空気を吸うための機能がウリなのです。

似たような機能を、前述のデータを使ったアプリなどで実現するメーカーは他にも出てきており、こうした傾向を見ていると、日本人が考える以上に、ヨーロッパでは自転車に乗る際、とくに自転車通勤時の大気汚染の影響を気にする人が少なくないことをうかがわせます。

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ところが、最近この懸念を払拭するような新しい研究結果が発表されました。イギリスのレスター大学がレスター市と共同で実施した調査研究です。同大学の環境衛生と持続可能性センターの、Rikesh Panchal 博士が筆頭研究者で、“Journal of Transport & Health”に掲載されました。

クルマで通勤する人と自転車や徒歩で通勤する人の大気汚染の影響を調べて比較した研究です。それによれば、クルマで通勤するケースで測定された有害ガス、NOxの値が、自転車や徒歩で通勤する人のそれよりも、濃度が高かったというのです。粒子状物質の濃度はドライバーのほうが、わずかに低いという結果でした。

これは当然ドライバーのほうが影響が少ないと考える常識を覆す結果です。論文では、クルマの車内の大気汚染物質の濃度は、自転車や歩行者が直面する濃度より、かなり高くなる可能性があり、自転車や徒歩のほうが空気の質が良いと結論づけています。NOxが過剰なイギリスのような国では特に重要な結果としています。

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研究の条件や詳細な内容はリンク先で見ていただくとして、これは驚きの結果と言えるでしょう。自転車通勤する人が、より大気汚染の影響を受けるわけではなく、クルマ通勤のドライバーが、大気汚染の影響から守られているわけではないという、一般的な感覚とは大きく異なる結果です。

もちろん、クルマのドライバーと自転車・徒歩通勤との比較であり、ヨーロッパでの大気汚染が懸念される状況には変わりありません。ただ、少なくとも、クルマ通勤より自転車通勤は有害ガスの影響が小さいという結論です。排気ガスの影響を心配して自転車通勤に懸念を感じている人には朗報でしょう。

ヨーロッパでは、環境の問題や健康増進、コロナ禍、ガソリン価格の高騰などもあり、クルマでの通勤を止めて、自転車通勤を始める人は増えています。そのメリットを感じる反面、デメリットや気になることもあると思いますが、クルマ通勤と比べた大気汚染の影響という懸念は、一つ減ったのかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

なぜ厚労省は全数把握を廃止できないのでしょう。無症状の人や軽症で自分で判断して自宅療養する中には既に漏れている人もいて意味なく医療現場を逼迫させるだけです。せめて報告項目を早急に激減させるべきでは?

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