October 09, 2022

クルマの中の安全では不十分

交通安全も進歩しています。


クルマについては、その安全性の向上を図るため、さまざまな装置が開発されてきました。以前からあるシートベルトやエアバッグ、衝撃吸収ボディ、アンチロックブレーキ、横滑り防止装置などだけではありません。近年は、ペダルの踏み違いによる誤発進抑制機能なども搭載されるようになりました。

メーカーによって呼び方は違いますが、衝突被害を軽減するブレーキだったり、車線はみ出しを警告したり、ハンドル操作を自動でサポートしてくれたり、自動のハイビームとか、後方への誤発進防止とか、そこまで必要かと思うような安全装置も含め、軒並み装備されるようになっています。

クルマのドライバーや同乗者の安全性は、近年大きく向上してきたと思いますが、クルマの外にいる人、すなわち歩行者やサイクリストにとっては、あまり変わっていません。従来と同じようにクルマに轢かれていますし、その被害の大きさもほとんど変わりません。

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しかし、ようやくクルマの外の安全性が、今後向上していく展望が見えてきました。その一つが、“C-V2X”と呼ばれる技術です。クルマとクルマ、あるいはクルマと周囲のあらゆるものとの通信を可能にするネットワーク技術で、これからコネクテッド・カーとしてつながるクルマを実現していくための通信システムです。

あらゆるものがネットに接続される、IoTの流れもあり、クルマの自動運転やコネクテッドカーに欠かせないインフラともなります。同時に通信規格が5Gとなり、高速で低遅延、大量の端末が接続できる通信となることで、安全機能の実現も期待されています。

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すでにクルマメーカーや半導体メーカー、各種団体などが実証試験を行っています。“C-V2X”を搭載した半導体チップであれば、基地局を通さずに、直接その場での通信も出来ます。このため、瞬時の状況把握や信号のやり取り、警報、そして危機回避行動が必要となる交通安全の面で大きく貢献することが見込まれているのです。

クルマに“C-V2X”が搭載されることで、自転車との衝突の多くを防げる可能性が出てきます。なぜなら、クルマと自転車の事故の多くは、自転車が見えていないことから起きていると考えられるからです。死角に入ったり、気づかなかったり、見落としたりしていて、見えていなかったために衝突しているのです。

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“C-V2X”技術によって、ドライバーの視覚を支援することで、未然に防止できる自転車との事故は多いはずです。自転車の接近を検知すると、ドライバーに対し警告を発し、見えていない自転車がいることを知らせるわけです。例えば、次のような場合です。

1.クルマの前方、側方や後方に自転車がいるのに、死角に入っていることがあります。

C-V2X



2.右折(日本の左折)しようとした時に、サイクリストの接近が見えていないケースもあります。

C-V2X



3.見通しが悪いため、交差する方向から来る自転車が見えない場合も多いはずです。

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4.路肩から発進しようとした際に、後方から来る自転車を、つい見落とすこともあるでしょう。

C-V2X



5.左折(日本の右折)しようとした時、対向車線の左折(日本の右折)車で隠れてしまうこともあります。

C-V2X



特にこの5つのパターンで自転車の存在に気づけば、その衝突の多くが未然に防止できると考えられています。クルマのメーカーの一つ、アウディは、このテクノロジーを発表する準備が出来ているとしています。関係者の見方では、2023年中か翌年には市場に出てくると予想されています。

もちろん、一部のクルマへの搭載では効果も限られます。まだ開発途上なので、もしかしたらスマホアプリで実現するかも知れませんが、自転車側にも何らかのハードウェアが必要となるでしょう。でも、ようやく自転車や歩行者との安全性を向上させる安全装置という方向性が見えてきたわけです。



近年、クルマのドライバーの安全性が大きく向上してきたことで、ドライバーの身に起こる事故、それによる不幸な出来事が減ったり、軽減されてきたのは確かでしょう。クルマのメーカーも製品を売るために、いろいろな安全装置を開発し、大きくアピールしてきました。

しかし、ドライバーの不幸はそれだけではありません。人身事故を起こせば、多額の賠償責任を負うことになります。保険でカバーできる部分はあるとしても、刑事罰で交通刑務所に入ったり、行政罰で運転の欠格期間が出来たりします。なにより人を死傷させたという精神的ショックは大きいに違いありません。

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つまり、ドライバーや同乗者が怪我をしなくても、歩行者やサイクリストとを死傷させるのは大きな不幸であり、クルマメーカーとしても防ぐ必要があります。これまでも、クルマの外側へのエアバッグなど、被害軽減の考え方はありましたが、製品の売上につながらなかったのか、あまり普及していません。

ドライバーも、あまり気にしてこなかった部分でしょう。しかし、それを起こした時の不幸を考えれば、未然に防ぐことの重要性、そのための装備も意識すべきでしょう。技術の進歩で、歩行者やサイクリストの安全向上の道筋が見えてきた以上、コネクテッド・カーの実現を待たずに、速やかに搭載、普及を目指していってほしいものです。










◇ 日々の雑感 ◇

アメリカの中間選挙まで1ヶ月、結果いかんではトランプ氏の復権など世界の今後に影響するので気になります。

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