October 15, 2022

デジタル化を助けるアナログ

世界でデジタル化が進んでいます。


発展途上国も例外ではありません。例えばアフリカでは携帯電話を使った決済の普及が加速しており、2021年には世界のモバイルマネーの決済額の7割、7千億ドルをアフリカが占めました。ちなみに、スマホ決済などを含めた電子決済ではありません。

スマホのQRコードやクレジットカードを使う決済は、通信が出来る場所、圏内にいなければなりません。先進国ではどこでも使えますが、アフリカの場合はそうもいきません。ここで言うモバイルマネーは、日本の交通系の電子マネーのように、事前にチャージして使うタイプのものです。

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アフリカでのモバイルマネーは、主に携帯電話を使って、送金したり決済したりします。このモバイルマネー決済で世界の7割を占めるほど、アフリカのデジタル化は進んでいるわけです。背景には、リープフロッグと呼ばれる、一足飛びの成長があります。

例えば日本なら、まず電気が通って、通信用の電柱が立ち、電報、そして固定電話が使えるようになりました。その後、アナログの携帯電話が普及し、2Gで携帯電話はデジタルになりました。その後、通信規格も3G、4G、5Gと進化してスマホで通信するようになったわけです。

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アフリカの場合は、電信も固定電話もなしに、一足飛びに携帯電話が使われるようになりました。ひと口にアフリカと言っても国ごとに違いますが、アフリカ全体では年間2億台以上の携帯電話が売れています。もちろん安価で手に入る3Gの携帯電話が主ですが、急速に普及しています。

多くはプリペイドカード式で、必要に応じて安い方を使い分けたりするため、一人で複数のSIMカードを持つのが一般的と言います。そのため、携帯電話の普及率を算出するのは難しいのですが、少なくとも5億人以上が携帯電話を使っていると見られます。

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アフリカの人口は12億超ですが、その半分以上が未成年であり、大人に限れば8割以上は保有していると見られます。これほど急速に普及した背景には、銀行口座を持っていない人が多いことがあります。つまり、日本のように銀行振込やクレジットカードを使った決済が出来ないのです。

そのため、給与のやり取りから日常の買い物まで、現金を使わざるを得ませんでした。しかし、交通手段も発達していないため、現金のやり取りも一苦労です。当然ATMもありませんし、現金の保管という点も不便です。これがモバイルマネーを使えば飛躍的に利便性が高まるわけで、携帯電話が普及するのも当然でしょう。

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アフリカでは、3Gのフィーチャーフォンで決済する方法が普及しています。例えば、ケニアで開発されたエムペサ、“M-PESA”です。まず日本円で数千円の携帯電話を手に入れ、街中や村落の出張所などへ行って、現金を渡してチャージしてもらいます。このお金をショートメッセージ、SMSを使って送金したり決済するのです。

携帯電話とその電話番号さえあれば、銀行口座も本人認証も必要ありません。“M-PESA”以外にも、国によって“OPay”とか“Zapper”とかいろいろ決済プラットフォームはあるようですが、このモバイルマネー決済を使うために、急速に携帯電話が普及したのです。

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現地だけでなく、中国やヨーロッパ資本の通信会社が多数進出しており、携帯電話回線用のアンテナも整備されています。まだまだ貧困層も多いアフリカですが、逆に言えば、これから大きく成長するポテンシャルのある市場でもあるわけで、企業進出が進むのも自然な流れです。

スマホも普及しつつありますが、まだデータ通信料が高いので、そう簡単には使えません。プリペイドの3G携帯で、基本料金なしに、必要な時だけSMSを使って送金したり決済できれば十分という人は多いでしょう。中国製の端末も、プレペイドのSIMも安く手に入ります。

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ただ、1つ問題があります。それは自分の持つ端末を充電するのが難しいのです。ある程度の都市部に行けば、携帯電話屋、チャージが出来る売店、そして充電が出来る店もありますが、いちいち行くのが困難な人も多いのです。それで電池の持ちがいい端末が人気ですが、やはり充電は避けて通れません。

ソーラーパネルで充電できる装置も売られていることは売られています。しかし、価格は2万〜3万円と高価で多くのアフリカ人には手が出ません。数千円の頭金を払い、モバイルマネーで一日数十円ずつ返済する仕組みもありますが、ローンを組めない人は多く、充電がネックになる人は、特に農村部で多いのです。

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通信インフラはリープフロッグで発達しましたが、電力インフラが整っていないのが問題です。電化も進んでいくでしょうが、リアルの送電線を整備するのはたいへんです。当面の携帯電話の充電には、わずかな電力しか必要ないこともあります。ちなみに実際に充電サービスを利用すると、電気代は1回20セントにも満たない額です。

そこで、この問題で苦労している人々のために充電サービスを展開している会社があります。Buffalo Grid 社です。携帯電話を充電するためだけに、半日かけて歩かなければならない人を手助けするサービスであり、次の10億人をつなぐビジネスです。アフリカ諸国以外にも、インドやバングラデシュ等へ展開しています。

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ソーラーパネルで発電した電力を提供する機器を使用します。最大10台の充電コネクターを備え、この機器の充電一回で、30〜50台分の携帯電話を充電することができます。街の出張所に設置して提供するだけでなく、広く分散する集落の必要とする人たちに届けることもしています。

充電された機器を自転車で運ぶのです。携帯電話以外にも、医療から教育まで、必要とされるオフグリッド電力の需要を満たすためにも利用できます。なるほど、どうしても通信だ、決済だといったところに目が行きがちですが、それを支える電力網が無い場所では、充電が欠くべからざるインフラなのは間違いないでしょう。

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ほかにも、やはり電力が無い状況にある場所、難民キャンプの人々に必要な電力を無償で供給したりもしています。送金や決済だけでなく、連絡や情報の収集、教育や自立するための活動など、電力が欲しい場面はあると思います。こうした社会的活動のため、寄付も募っています。

地元の雇用も生むでしょうし、多くの人が充電のために長い時間かけて歩かなくて済むのは画期的な効果です。リープフロッグで、モバイルマネー決済などデジタル・インフラが重要になる中、充電の提供という基本的な部分で、自転車というアナログな手段が使われているのも面白いところです。




◇ 日々の雑感 ◇

マイナンバーカードの目的の一つは、国民の所得状況を把握し、税や社会保障の負担を不当に免れる人を無くすためと総務省のサイトに書いてあります。脱税防止というより、政府があれだけ作らせたがっているのは国民の懐具合を知りたいのです。少しでも多くの税金を取りたいのは飛鳥時代、大宝律令の昔から変わっていません。

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