October 18, 2022

自分なりの創意工夫を楽しむ

自転車はいろいろな使われ方をします。


そして、その使い方ごとに、もっとこうであったらいいのに、という不満や不足を感じる人がいます。一般的には、最初から自転車はこういうものだと思っている人が多いと思いますが、なかには既存の自転車に飽き足らず、改良や新しいものを生み出そうとする人たちがいます。

中国の深圳(シンセン)で活動する、SupportInFun というチームの人たちもその一例です。コロナのパンデミックで移動や外出が制限され、スポーツジムや他の運動施設にも行けなくなりました。運動不足を余儀なくされる中で、何か運動が出来る方法はないかと考えました。

自転車に乗るのは、いい運動ですが、外出禁止となると屋外には出られません。そこで室内で使えるエアロバイクやスピニングバイク、もしくはトレッドミルやローイングマシンなどの器具を購入することが考えられます。ただ、いろいろ買うのも経済的ではありません。

GOEBIKEGOEBIKE

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そこで、それらを1台でまかなえないものかと考えました。出来たのが、“GOEBIKE 2IN1 Rowing Bike”です。屋内でスピニングバイクとして使ったり、また室内でのボート漕ぎ、ローイングマシンにもなります。屋内ではスタンドで固定してトレーニングマシンとして使うわけです。

屋外では、普通の自転車だけでなく、ローイングバイクになります。自転車として走行するだけでなく、ローイングマシンとしてトレーニング出来たり、両方を組み合わせた動きで、移動しながらフィットネスすることが出来ます。たしかに、これは欲張った一台です。



インダストリアルデザイナーの、Mark Richardson さんは、自転車を個人の交通手段として、よりアクセスしやすく、もっと多様で、持続可能なものにすることが出来ないかと考えていました。そのアイディアをオーストラリア・メルボルン近郊にある、Monash University の“Monash Art, Design and Architecture”で発表しました。

モジュラー式でアップサイクルする、DIYのベロモービル、“FAB Velo”です。メーカーや工房で製造するのではなく、エンドユーザーが不要になったもの、廃棄されたものから自分で制作できる自転車です。例えば、下の画像の“FAB Velo”は、家庭にある不要になったものを再利用して作られています。

FAB VeloFAB Velo

FAB Velo

乗らなくなった自転車や、使わなくなったクルマ椅子、壊れた金属製品のフレーム、テント、シャワースクリーンなどから出来ています。ただ、不用品を使って何か作ろうと考えた時に、問題となるのは、その結合方法です。それぞれパーツの太さが違うなど、上手く接合出来なかったりします。

そこで、結合する部分については3Dプリンターでコネクターをつくり、接合を可能にします。それぞれの家にある不用品によって、全くデザインの違う自転車を自由に創り出せることになります。不用品やパーツを有効に再利用することで、廃棄物を少しでも減らそうという考え方なのです。( ↓ 動画参照)

FAB Velo

FAB VeloFAB Velo



もっとニッチな分野で改造をする人もいます。ドイツ在住の、Simon Schmitz さんは、ローカルなレースに出場しています。それは、家庭用の電動工具の一つ、電動ドライバーを動力源とするビークルによるレースです。家庭用スクリュードライバーで動く、フル電動の、e-bike のレースということになります。

欧米ではDIYは一般的で、家庭用のドリルとか、ネジ回しなどの電動工具が普及しています。これを何か別のことにも使えないかと考えるのでしょう。電動工具を動力装置として組み込んで、DIYの乗り物をつくってしまう人は少なくないようです。それが、自作の乗り物のレースにまで発展したのでしょう。

Simon SchmitzSimon Schmitz

Simon SchmitzSimon Schmitz

軽量化するためカーボンファイバー製のフレームです。後ろを2輪にして、跪くような姿勢で乗るのは、重心を低くしてカーブでのスピードを上げるためです。14Vの電動ドライバーで最高時速40キロ近くまで出ると言います。ただし、航続距離は6キロメートルほどです。

通勤用にも使えませんし、著しく汎用性がありません。レース用オンリーです。しかし、こういう趣味のニッチな分野でもこだわりを持って、改良を重ねる人がいます。少しでも軽くしたいとか、レースに勝ちたいというモチベーションには強いものがあるのでしょう。( ↓ 動画参照)

Simon SchmitzSimon Schmitz



ニュージーランド在住の、Kevin Harvey さんは79歳ですが、妻の、Beverley さん、89歳は認知症を患っています。Kevin さんはクルマ椅子を押して散歩に出かけていましたが、登りの場所でクルマ椅子を押し上げる代わりに、電動アシスト自転車を使えばラクなのではないかと思いつきました。

そこで自転車のフロントフォーク部分をクルマ椅子に溶接したオリジナルのバイクを制作しました。スピードは出しませんが、ずり落ちないようにシートベルトも取り付けました。散歩コースでは、通りすがりの人に手を振って、Beverley さんが嬉しそうな笑顔を浮かるのが、Kevin さんのが喜びです。

Kevin HarveyKevin Harvey

Kevin HarveyKevin Harvey

後ろに牽引するのではなく、前に見えているので安心感があります。乗用のカーゴバイクもあるでしょうが、乗り慣れたクルマ椅子のほうが落ち着いて乗れます。ブレーキなど細かい部分を修正し続け、乗り心地を改善しています。特に目立とうとしたわけではありませんが、地元の新聞にも載りました。

Kevin HarveyKevin Harvey

Kevin HarveyKevin Harvey

◇ ◇ ◇

みなさん、それぞれの使い方に沿って、自転車の改造をしています。もちろん、ある程度の器用さや技術が必要ですが、クルマの改造などと比べれば、はるかにハードルが低いのも確かでしょう。そして、上手く改造出来れば満足度も高まります。自転車にはハンドメイドの楽しさもあると言えそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

5年に1度の中国共産党大会が開かれています。習近平国家主席は党の核心として更に権力集中も進んでいるようですが、古今東西、権力の集中がもたらした弊害は数多いわけで台湾情勢なども含め今後が憂慮されます。

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