比較的過ごしやすい日もありますが、だんだんと気温も下がってきました。暦の上では早いもので、もう明後日には二十四節気の立冬です。さて、そんな時期ですが、今回は最近の自転車関連のニュースの中から気になったものをいくつかピックアップしてみたいと思います。
自転車で“あおり運転” 55歳の男を逮捕 2か月前も“逆走”で逮捕・罰金刑に
警察は1日、自転車で迷惑運転をしたとして、55歳の男を逮捕しました。車のドライブレコーダーに、”迷惑運転”をする自転車が映っていました。道路交通法違反の疑いで逮捕されたのは、井ノ口秀信容疑者(55)です。
先月13日夕方、名古屋市内を走る車のドライブレコーダーの映像には、前を走る車が何かをよけようとした次の瞬間、1台の自転車が現れる様子が映っていました。車に向かって足を伸ばし蹴るようなしぐさが確認できます。この男が、井ノ口容疑者とみられています。
車通りが多い道路での迷惑運転。警察は、こうした行為がドライバーに危害を及ぼす恐れがあるとして、1日に井ノ口容疑者を逮捕しました。
警察署に連行される際、警察官から囲まれた井ノ口容疑者は「警察からまたお前かって言われるんだぞ!」と叫んでいました。実は以前にも、自転車で迷惑運転をしていました。
今年8月、名古屋市内を走る車のドライブレコーダーの映像には、車道を逆走する自転車が映っていました。その後、男は道路上に自転車を放置し、立ち去っていきました。
警察はこの映像などから井ノ口容疑者を特定し、今年9月に逮捕。その後、罰金15万円の略式命令が出されていました。
前回の逮捕から2か月もたたないうちに再び逮捕された井ノ口容疑者。警察の調べに対し「やったことに間違いない」と容疑を認めていて、警察が詳しい動機などを調べています。(2022年11月2日 日テレニュース)
今年8月に名古屋市内でドライブレコーダーに記録された、国道を逆走してきて、トラックの前の路上に自転車をとめ、そのまま去って行った人物のニュース、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。逮捕されて罰金刑になっていたようです。( ↑ 動画参照)
その男が今度は、あおり運転で再び逮捕されています。8月に罰金刑になったばかりなのに、また逮捕されるような行為をするとは、懲りない男です。8月の事件も動機が不明で不思議な気がしましたが、今回もなぜ、あおり運転をしなければならなかったのでしょうか。
最近は、自転車であおり運転というニュースが多いですが、この人の場合は、また特殊なような気がします。なぜ懲りずに迷惑行為を繰り返すのか不明ですが、こうした自転車で迷惑行為をする人のおかげで、一般の自転車利用者の印象も確実に悪くなっているように思います。
悪質自転車に“赤切符” 31日から摘発強化 「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せず歩道を通行」の4行為対象
自転車の交通違反による人身事故が相次いでいることから、警視庁はきょうから取り締まりの強化を始めました。「自転車の事故が増えていますので、気をつけてください」けさ、東京・池袋駅近くで警視庁の警察官が、自転車で通勤中の社会人らに取り締まり強化の対象となる違反行為について書かれたビラを配り、注意を呼びかけました。
警視庁は、これまでに悪質な行為を除き、罰則を伴わない「警告」を行ってきましたが、きょうから「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せず歩道を通行」の4つの行為を対象に「赤切符」を積極的に交付します。警視庁は「安全運転を心がけ、事故防止につとめてほしい」としています。(2022年10月31日 TBSニュース)
少し前にも取り上げましたが、東京では警視庁が自転車の取締りを強化し、積極的に赤キップの交付をすると打ち出しています。周知期間が終わって、いよいよ10月の31日から摘発の強化が始まったことが、各メディアから多数報じられています。相変わらず関心が集まっているようです。( ↑ 動画参照)
まだ始まったばかりで、どのくらいの摘発件数なのかについては報道されていませんが、取締りの強化に反発するような声は、これまでのところ伝わってきていません。テレビなどでも報じられたので、さすがに警戒したり、自制をしている人も多いのかも知れません。
前の記事のような確信犯はともかく、ふだんと同じように走行していたら赤キップを切られ、困惑や不満を申し立てる人も、今後は出てくる可能性があります。4つの行為は危険で悪質であり、道交法上も摘発されて然るべきですが、どのくらいの割合で検挙され、送検されていくのか興味深いところです。
渋谷や新宿で…都心で続出! 危険な“迷惑自転車”
コロナ禍で自転車利用が増える中、都心で相次ぐ危険な自転車運転。
信号無視や“ながら運転”が各地で横行...衝突事故も起きていました。
なぜ迷惑運転をしてしまうのか? 取材しました。(2022年10月28日 FNN)
このニュースの動画を見ると、あらためて、いかに自転車の交通ルールが守られていないか、カオスな状態となっているかが感じられます。多くはルールを知らないわけではないようです。しかし、それが取り締まられず、今まで普通に出来てしまっていたことから、習慣のようになっているのでしょう。( ↑ 動画参照)
横断歩道を渡っている人の中を平気で突っ切るとか、スマホを見ながら前を見ていないとか、いつ事故になってもおかしくありません。実際に歩行者と衝突して、相手を死傷させる事故も起きています。クルマと比べて青キップがないぶん、不公平感はあるとしても、これを放置できないと考えるのは当然です。
やはり、どこかで歯止めをかけなければ、この無法状態は悪くはなっても、良くはならないでしょう。警視庁が強硬姿勢をとらざるを得なかったのも仕方ないと思います。誰もが、自分や自分の家族がいつ巻き込まれてもおかしくないわけで、被害に遭ってからでは遅すぎるのも確かです。
前にも書きましたが、こうした違反をする人には、自転車が車両という意識がないのが根底にあると思います。歩いているのと同じように、横断歩道に侵入してすり抜けますし、スマホを見ながら走行しますし、逆走だろうが、どこを走ろうが気にならないのは、歩行者と同じ感覚だからでしょう。
一時停止の標識を無視するのも、自分が車両だと思っていないからだと思われます。車道を横断する時は別としても、歩いている時には交差方向からクルマが来るか、たいして確認もせず、当然一時停止もせずに曲がり角を曲がったりします。それと同じ感覚なのでしょう。標識を無視すると言うより、そもそも気にしていません。
歩行者感覚にさせたという点で、この無法状態を招いた原因は、警察の道路行政の痛恨の失敗、すなわち自転車を歩道走行させたことにあります。その失敗を棚に上げて、今さら急に取締り、しかも赤切符というのは、乱暴で強引な気がしないでもないですが、もはや啓発活動などでの改善が期待できないのも確かでしょう。
個人的には、こうした危険行為に、歩いていても、自転車に乗っていても脅威を感じますし、取締りには賛成です。しかし、これだけ違反行為が当たり前のように行われている中で、果たして限られた人員での取締りで、交通秩序が形成されていくでしょうか。そのあたりには疑問も感じます。
やはり、赤キップの積極的交付だけではなく、自転車をあらためて車両として位置付け、国民の意識を変える必要があるのではないでしょうか。これまでの交通行政の失敗で、歩行者の延長のような気分で自転車に乗っている間違った慣習を、一度断ち切る必要があると思います。
そのためには歩道走行を止め、軽車両としての法律遵守を徹底させるような根本的な転換、けじめをつける必要があるのではないでしょうか。今のような歩行者感覚のまま、いくら赤キップを切ったとしても、ザルで水を汲むような、キリのないことにならないでしょうか。そのあたりが気になります。
「飼い主を選べないワンちゃんも可哀想」自転車のカゴに犬を乗せ、車の間を横断…ドライブレコーダーが捉えた“危険な走行”
都内で自転車の取り締まりが厳罰化されましたが、危険な走行が後を絶ちません。車道の真ん中を堂々と走行する自転車に、かごに犬を乗せたまますり抜ける自転車。大惨事につながりかねない危険な走行です。
■右折目的で?車道の右折専用レーンを自転車で堂々と…
宮崎県内を車で走っていると、目の前に現れたのは、あろうことか車道を堂々と走る1台の自転車。さらにその直後、車の右折専用レーンへ進入します。この違反行為について…
道交法に詳しい 高山俊吉 弁護士 「右折専用ラインを自転車が走行することは、右折目的であるとしても許されません」
3か月以下の懲役、もしくは5万円以下の罰金が科せられる可能性があるといいます。
■「飼い主を選べないワンちゃんも可哀想」 カゴに犬を乗せて車の間を横断
自転車は車道を走る場合、原則左側を走行しなければならないのですが、都内の交差点では目を疑うような光景が!車の間をすり抜けるように現れたのは1台の自転車。よく見てみると、前のカゴには犬が。
ドライブレコーダーの撮影者 「なんで右からっていう、一瞬ワケがわからなかったです。飼い主を選べないワンちゃんも可哀想かなと思います」
自転車は車の間を抜け反対車線に出ると、周囲を見回し、そのまま横断してしまいました。あまりにも危険すぎる運転…
ドライブレコーダーの撮影者 「タイミング的にも右折車が何台もこちらに向かって走ってきていたので、とにかく車とぶつからないように祈って見守るしか出来なかった」(2022/11/03 TBSニュース)
これも、典型的な歩行者感覚に見えます。歩行者として、クルマの間を縫って横断するのは危険ですが、当たり前のように見る光景です。問われれば、このような横断が禁止なのは知っていると答えるかも知れませんが、あまり罪の意識はなく、普通のこととしてやっているような気がします。( ↑ 動画参照)
自転車 ちゃんとルール守って 都内で“徹底”求める大会
自転車の交通ルール普及のための競技大会が開かれた。
東京・豊島区で開かれた大会では、60代以上の参加者が、一本橋やカーブでの適切な運転や、正しい位置での一時停止などの種目に挑んだ。
都内の自転車事故での65歳以上の割合は年々増えていて、警視庁は交通ルールの徹底を呼びかけた。(2022年11月4日 FNNニュース)
こうした地道な活動も大切だと思いますが、おそらくこのような大会に参加するような人は、危険な行為をする層とは違う気がします。つまり、あまり効果は見込めないということです。こうした活動をいくら続けても、今の混沌とした交通秩序の改善は達成できないと思います。
上で述べたように、日常的に歩行者感覚で自転車に乗り、信号も一時停止も関係なし、どこを走ろうが勝手と思っている人たちの行動を変えさせることにはつながらないでしょう。もっと根本的な部分で、啓発のやり方についても考え直す必要があると思います。
大鳴門橋で計画の自転車道 来年度の着工から5年程度で完成へ
徳島県と兵庫県の淡路島を結ぶ大鳴門橋で計画されている自転車道について、24日、徳島県の検討委員会が開かれ、来年度の着工から5年程度での完成を目指す方針が示されました。
徳島県と兵庫県は、サイクリングの愛好家に人気の淡路島と鳴門市を結ぶ大鳴門橋に自転車道を整備して観光の振興につなげる考えで、来年度にも着工する計画です。
徳島県は24日、徳島市内で自転車道の活用や課題を話し合う検討委員会を開き、着工後、4年から5年程度での完成を目指す方針を示しました。
大鳴門橋では、渦潮を見ることができる遊歩道「渦の道」の利用者が年間55万人に上りますが、完成後は遊歩道も含めた利用者が最大75万人に増えるとの見通しも明らかにしました。
一方、出席した自転車の競技団体や有識者の委員からは、歩行者の安全性を確保するルール作りや、サイクリングの愛好家が利用できるビジター施設の整備などを求める声もあがりました。
委員の1人で徳島県自転車競技連盟の理事長の中西裕幸さんは「歩行者の迷惑にならないよう分かりやすいルールを作り、みなさんに伝えていきたい」と話していました。徳島県は委員の意見を踏まえて、関係団体とも協議を進めることにしています。(10月24日 NHK)
大鳴門橋に自転車道を 動き出した計画に徳島でも高まる期待
大鳴門橋に自転車道を整備しようという計画。
徳島と兵庫の両県が来年度の着工を目指し、協力する考えを示しました。完成までには5年程度かかる見通しですが、徳島で計画に関わってきた人は、早くも完成後を見据えて動き出しています。
【大鳴門橋に自転車道計画】
長さ1.6キロの大鳴門橋。その高速道路の下に幅4メートルの自転車道をつくる計画が動き出しています。総工費は、およそ58億円。県は、年間で最大75万人の観光客を見込んでいます。
(観光客) 「自転車が大好きな友達がいるので、その話をしたら、きっと来たがると思います」。
(土産物店) 「レジャーで自転車に乗る人が増えてきているので、鳴門の方にも足を運んでくれたらいなと思います」
【もともとは四国新幹線を通すため】
大鳴門橋は昭和60年に完成。国が計画した新幹線を通す構造が設けられました。しかし、実現しないまま22年前には、新幹線の空間の一部に渦潮見ることができる観光施設も作りました。
【四国新幹線はどうなる?】
ただ、今もそれ以外の鉄道を通すための空間は空いたままです。自転車道で新幹線はどうなるのか。新幹線を要望してきた県は。
(県の担当者) 「大鳴門橋の自転車の整備については、四国新幹線の工事が着手される際には撤去されるものと認識しており、工事着手までには期間を要することから、この期間を有効に活用するのであれば、問題はないものと考えている」
【自転車道で観光客を、5年程度で完成目指す】
自転車道で目指すのが観光客の増加です。「しまなみ海道」の自転車のイベントには、国内外からや約7000人が参加。淡路島にも大勢の愛好家が集まります。(以下略 11月02日 NHK)
大鳴門橋の自転車道整備で初会合【徳島】
大鳴門橋の自転車道の話題がいくつか出ていました。これまで、このブログで何度も取り上げてきましたが、ようやく実現への道筋が見えてきたようです。しかし、これまでの経緯を見ると、何度も機運が盛り上がるのですが、なかなか進まず、期待がしぼむということが繰り返されてきました。
そう考えれば、方針決定程度では、まだどうなるかわからないと懸念している人も多そうです。技術的な問題からコストの問題まで、まだまだ予断を許しません。何度も紆余曲折を経てきたことを考えると、まだ楽観はできませんが、願わくば、このまま順調に進んでほしいものです。
◇ 日々の雑感 ◇
イーロン・マスク氏が買収したツイッターの取締役全員や全従業員の半数が解雇され、広告主が出稿を見合わせたり別のSNSに乗り換える動きも報じられています。改革の意思なのでしょうが、利用者は離れないでしょうか。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(4)
そして、そんな状況でも歩行者死亡の元凶は歩道でも車道でも対自動車が9割以上を占める。残りの1割も原付きや自動二輪がほとんど。つまり歩道の自転車は実はとても安全な存在なのです。
自転車の車体重量なんて男女の体重差程度、速度もランナーに毛が生えたようなものですから当然ですね。
歩道内での歩行者交通死の元凶としては、日本の自動車乗りが歩道前一時停止義務を守らず飛び出すモラルの劣悪さがほとんどすべての元凶です。
残るは制御不能になった暴走自動車が歩道に突入したなど(だからこそ歩道、自転車レーン、車道それぞれの境界線には頑丈なボラード等があるべきだし、自動車への規制や課税強化で自動車を減らすのも有効)。
また、自転車レーン整備がなかなか進まないなか、自転車の車道走行を叫べばどうなるか?
間違いなく自転車利用は減ってしまうでしょう。
繰り返しになりますが、歩道内にも車道にも自転車レーンが無い国では、極端に自転車の交通分担率は極端に低いのですからね。(日本で自転車ナビマークだけが描かれたのうなのは自転車レーンとは認められない)
したがって、オランダのような独立自転車道ネットワーク整備を叫ばず、車道走行だけを叫ぶ人は実は自転車利用を減らしたい邪悪な勢力だと思わざるを得ません。
そして自動車乱用が増えて公害も重大事故も渋滞も不健康も増える。
これはオランダの歴史も証明している。
サイクルロードさん、主張には順序が大切です。まずは自転車が安心して通行できるオランダのような自転車専用道路ネットワーク整備がなされてから、それから自転車の歩道通行についてあれこれを言うべきです。
安心して通行できる自転車専用道路ネットワーク整備がされてないうちに自転車の歩道通行について批判するのは、自転車利用衰退を願う邪悪な人々の姿勢、主張と全く一緒なのですからね。
また、交通違反シーンだけをまとめた動画ならば自動車の信号無視や速度超過、一時停止無視、横断歩行者等妨害等違反についてもユーチューブに同様のものがあるので、自転車だけをあげつらうのではなく、自動車の違反行為のオンパレードも是非、公平のために批判していただきたい。