January 10, 2023

発想が固定観念を砕く可能性

世の中には発想力の豊かな人がいます。


いろいろな分野や立場にそのような人がいると思いますが、エンジニアの、Sergii Gordieiev さんも、その一人と言えるでしょう。以前、少し取り上げたことがありますが、割れてしまった自転車のホイールを使って、実にユニークな自転車を創り出してしまった人です。

自転車の車輪が円形であるという常識にとらわれておらず、なかなか凡人には思いつかない発想と言えるでしょう。ただ補修してタイヤとして復元するのではなく、フレームまで延ばして新たな形にしてしまうところがユニークです。特に何かに役立つとは思えませんが、周囲をあっと驚かせるアイディアです。( ↓ 動画参照)

Just a normal bike Mathematics: 0.5 х 2 = 1 wheel


独創的な発想力に加え、エンジニアだけに、それを実際に作ってしまうところが、なかなか真似の出来ないところでしょう。さらに、YouTuber でもあります。“The Q”というチャンネルを運営しています。この方、実はウクライナの人です。サイトのロゴはウクライナ国旗のカラーですし、“Stop Russian attack”と書かれています。

戦時下で、爆撃があったり停電したりで、いろいろ大変だろうとは思いますが、それに負けずに日常生活を送り、YouTube への投稿も続けています。投稿するアイディアには自転車に関係したものが多いところをみると、おそらく自転車好きなのだろうと思います。

Epic Bicycle Formula 0.5 + 0.5 = 0.33 + 0.33 + 0.33


ちなみに、ホイール2分割に飽き足らず、3分割にも挑戦しています。他にも、自転車に関係するいろいろな動画が投稿されています。どれもユニークな発想が際立っています。馬鹿馬鹿しかったり、思わず笑ってしまうようなものもありますが、その発想の豊かさに感心します。( ↑ 動画参照)

147 nuts and not a single bolt


ナットでフレームを作ってしまおうなんて考える人は、おそらく他にはいないのではないでしょうか。いちいち溶接して面倒そうですし、見た目にインパクトはありますが、実用性があるとも思えません。でも、こういうものをわざわざ作ってしまうのが面白いところでしょう。( ↑ 動画参照)

game changer elliptical bike


こちらは、同様のものを他でも見たことがありますが、ペダルをこぐのではなくステップ、歩くような動きで進む自転車です。これは比較的よくある発想ですが、エンジニアだけあって、実際に自分で制作出来てしまう器用さや技術力もスゴイと思います。( ↑ 動画参照)

crazy tires from hot glue gun sticks


こちらでは、プラスチックのような素材を溶かして、タイヤを自作しています。いわゆるチューブレスタイヤで、クギや鋲などを踏んでもパンクしません。これは、場合によっては実用的ですが、すでに似た製品も売られているので、発想自体は比較的ポピュラーと言えるでしょう。( ↑ 動画参照)

Which wheel color would you choose?


こちらは、その上の動画で自作したチューブレスタイヤの色を、LEDを使って随時変えるというアイディアです。夜間の視認性アップにもなりますし、目立ちたい人には持ってこいでしょう。カラータイヤや光るタイヤでなく、リアルタイムで色を変えるという発想がユニークです。( ↑ 動画参照)

Spectacular cycling on ice


丸のこぎりの歯をタイヤにすることで、氷上でも走行できるというアイディアです。円を描いて走行したら、氷が切りとられて湖に落下しそうに見える、漫画に出てきそうなアイディアです。うっかりすると流血しそうですし、ナンセンスではあります。( ↑ 動画参照)

さて、Sergii Gordieiev さんの動画チャンネル“The Q”に、また新しい動画が掲載されていました。こちらは、テニスボールをタイヤチューブの代わりに使うというものです。前後2輪で60個のテニスボールを使っています。( ↓ 動画参照、動画には一部他の商品のプロモーションが含まれています。)

60 tennis balls = 2 bicycle tires


これも、かなりの労力をかけて制作しており、実用的にはナンセンスなのですが、見方によっては新しい可能性を秘めているように感じます。まず、タイヤチューブの代わりにテニスボールを使っても、クッション性に関しては申し分ありません。

構造的な違いは、1本のチューブではなく、30個のテニスボールになっている点です。つまり、30分割されたチューブということになります。何かでパンクした場合、ボール30個のうち1個が破損するだけで、他の29個でそのまま十分に走行可能と思われます。

出先でパンクに見舞われたとしても、わざわざその場で修理をする必要がなく、帰ってからボールを交換すれば済むというのは、ラクです。修理も、穴のあいたボール1個の交換で済みます。テニスボールを使うかどうかは別として、このチューブを分割するというアイディアは面白いのではないでしょうか。

チューブのどこかに穴が1箇所開いただけで走行不能になるのは、考えてみれば不合理です。30か、それ以上に分割されていれば、他の29は無傷です。そのまま走行できるのも利点ですし、修理も分割チューブの1個分の交換、もしくは修復で済むのはリーズナブルです。

このテニスボール自転車、メイキングシーンを見ても、簡単に交換できそうにはありません。ですから、このままでは無理としても、チューブを分割するというのは、もしかしたら、今までの常識を覆す画期的なアイディアとなりうるのではないでしょうか。

このテニスボールは、ホイールに頑丈に固定されているので無理そうですが、もし簡単に横から交換できたら、さらに便利です。替えのボールを携行していれば、その場で1個交換するだけで済みます。これはラクですし、ボール代も、1回に1個で済みます。

insane airless tires


Sergii Gordieiev さんは、タイヤへの関心が高いのでしょうか。タイヤ関連の動画が目につきます。以前に、上のような動画も投稿しています。こちらは、テニスボールではなく、硬めの塩ビのパイプを切断してタイヤにするというアイディアです。たしかにパンクは防げます。( ↑ 動画参照)

Epic Cycling | Truly Unique Shoe Bicycle


こちらも突拍子もないアイディアです。タイヤの代わりに靴を使うというアイディアです。これもナンセンスで、ウケを狙ったものに見えます。でも、よくよく考えると、これもテニスボールタイヤと同じで、一度にパンクすることはありません。( ↑ 動画参照)

最近は厚底でクッション性のいいシューズがあるとは言え、靴を使う必要はないでしょう。しかし、タイヤではなく、放射状に伸びたスポーク状の部分の先端に、クッションのあるものを取り付ければ、分割されたタイヤとして成り立ちそうな気もします。

ジョークのように見えますし、おそらくはそうだと思いますが、案外そのような中にブレークスルーが隠れているかも知れません。考えてみれば、タイヤが1本のリング状になっているというのは固定観念であり、タイヤを分割することで得られるメリットもあるのではないでしょうか。

テニスボールにしても、靴にしても、このままでは実用的とは言えませんが、タイヤの常識に囚われない発想です。素材や加工技術の進歩は別として、タイヤという仕組みは、基本的に変わってきませんでした。しかし、このようなユニークな発想が、これまでの常識を変える可能性はありそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

中国のコロナ感染者が億単位という推測になっています。このような感染爆発を防ぐためのゼロコロナだったはずですが開き直ったように見えます。医療崩壊して死者急増したら政府共産党は批判に耐えられないとされていましたが、このまま死者何百万人となっても平気で無視して認めないのでしょう。過去にもあった事ではあります。

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