February 03, 2023

人々を笑顔にするための工夫

オランダの冬も寒くなります。


ヨーロッパ大陸でも北に位置する国ですが、海洋性気候で比較的温暖とされています。しかし、夏は涼しいものの、冬の寒さは東京と比べて厳しいとされます。雪はあまり降りませんが、平らな国土で北海からの風が強いため、真冬には氷点下10度を下回ることも珍しくないと言います。

オランダ・北ブラバント州在住の、George Barratt-Jones さんも冬の寒さは苦手でした。特に駅で電車を待っている時などは、風が強く吹き抜けることも多く、本当に寒くてうんざりします。東京のように頻繁に電車が来るわけではなく、本数が少ないので、待ち時間も長くなります。

そして、ご多分に漏れず、時刻表通りには来ません。5分10分ではありません。30分以上遅れるようなことも少なくありません。それが普通なので、ヨーロッパ人が来日すると、30秒遅れて発車しただけでアナウンスの入る山手線はクレイジーだと驚くのもよくわかります。

ですから、電車を待つ間、カフェで一息つくわけにもいきません。電車が来るまで近所を走って身体を温めるわけにもいかず、いつ到着してもおかしくない電車を寒いホームで待ち続けるしかありません。この寒くて長くて辛い時間をなんとか出来ないかと考えていました。

CYCLO KNITTERCYCLO KNITTER

George Barratt-Jones さんは、その時エイントホーフェンのデザインアカデミーに通っていました。たまたま出た課題が織物の技術を使って何かを作るというものでした。どうせデザインするなら人の役に立ち、さらに人々を笑顔にするようなものを作りたいと考えていたので、駅と織物がつながりました。

その名も“CYCLO KNITTER”、固定された自転車、エアロバイクのペダルをこぐと、ニットのマフラーが織られるというものです。いわば自転車編み機です。これだけでは、そう驚くようなプロダクツではありませんが、彼はこれをエイントホーフェン駅のホームに設置することにしたのです。

CYCLO KNITTERCYCLO KNITTER

これを使ってペダルをこげば、身体が温まって寒さをしのげます。ただのエアロバイクとは違い、その運動によって、ニットのマフラーが出来るというメリットもあります。出来上がったマフラーを首に巻けば、そのことでも寒さが軽減できるでしょう。

すでにマフラーを巻いている人ならば、寒そうな誰かにプレゼントすることも出来ます。これによって、ペダルをこぐ人も、マフラーをもらった人も、見ている周囲の人も笑顔になるに違いありません。そして、その辺りを走っている間に電車を逃すこともありません。

CYCLO KNITTERCYCLO KNITTER

人間が一番力を出せて、持久力もあるのは足です。このニットの編み機、足でペダルをこぐ形なので、手を使うよりパワーが出せます。織るスピードも断然速くなります。実用的な長さのニットのマフラーを織るのに、たった5分しかかかりません。待ち時間に十分織れるのは現実的と言えるでしょう。

それこそ電車が遅れれば、2〜3本織れてしまうかも知れません。実験したら、2時間で30本以上のマフラーが織れました。駅のホームで、ただペダルをこぐだけでは、モチベーションも上がりませんが、これならペダリングする気になりそうです。電車を待つ時間を温かく、しかも有意義に過ごせます。



タワーのような形にしたのは、目立つとともに、マフラーが織られて伸びていくのを見せるためです。単なるエアロバイクにしか見えないのでは人目も集まりません。材料は木材に加え、古いチューブをベルトドライブに使うなど工夫がこらされています。

なかなかユニークな発想です。マフラーは無料で持ち帰ってもらう想定ですが、もしかしたら、ニットのメーカーなどの宣伝やプロモーションに使えるかも知れません。人々に織ってもらって、それを必要とする人に配るなど、チャリティーにも使える可能性がありそうです。

FIRST CLASS BUS STOPFIRST CLASS BUS STOP

FIRST CLASS BUS STOPFIRST CLASS BUS STOP



この、George Barratt-Jones さん、ほかにも作品を公開しています。“FIRST CLASS BUS STOP”は、バスを待つ時間を豪華で楽しくするための工夫です。普通にあるバス停にバーを作って、ファーストクラスのバス停にするというアイディアです。バス待ちの乗客を少し幸せにします。( ↑ 動画参照)

HOT GUYHOT GUY

HOT GUYHOT GUY

HOT GUY”は、街の広場などにあるモニュメントですが、中に発熱する機能が仕込まれています。つまり、寒い冬にこのモニュメントを抱きしめると温かく感じるのです。広場で待ち合わせなどをする人たちを、やはり少し幸せにするでしょう。

COME AND GROWCOME AND GROW

COME AND GROWCOME AND GROW



COME AND GROW”も広場などに設置します。そこを通る人々、それぞれ見知らぬ人たちが協力してパズルを解くと、大きく膨らんだ木が光るという仕組みです。寒い夜に明かりが灯れば、それだけで少し幸せになります。見知らぬ人同士の交流が生まれたり、周りで見ている人も含めて、笑顔が生まれるはずです。( ↑ 動画参照)

KEEP MOVING BENCHKEEP MOVING BENCH

KEEP MOVING BENCHKEEP MOVING BENCH



KEEP MOVING BENCH”は、動くベンチです。現代人は一日に座る時間が長過ぎで、そのことで健康を害すと言われています。これは、オランダの医療機関によるキャンペーンで使われました。人々に座り過ぎだということに気づかせ、健康のために改善できることを意識させるベンチなのです。( ↑ 動画参照)

HOT HANDSHOT HANDS

HOT HANDSHOT HANDS



HOT HANDS”は、街頭で『手』を温める装置です。冬は、かじかむ手を誰でも温めたいはずです。このオブジェの回りには自然と人が集まり、見知らぬ人同士の会話や交流も生まれるでしょう。手だけでなく、心もあたたかくしてくれるに違いありません。( ↑ 動画参照)

どれも魅力的なプロダクツです。エアロバイクやバス停、モニュメントやベンチ、どれもそのままでは、何の変哲もないありふれたものに過ぎません。でも、人々を少し幸せにするという視点で工夫をしてみると、寒い冬でも、退屈な待ち時間でも、より楽しく過ごせるかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

クジラにトドに今度は北九州市の工場地帯沿岸にイルカの群れですか。日本人は近所に現れる海の動物が好きですね。嫌な事件が多い中、こうしたニュースでホッとしたり、テレビ局もバランスをとっているのかも知れません。

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