February 09, 2023

誰もやらなかった組み合わせ

自転車がきっかけになることがあります。


通勤を自転車にしたら痩せて健康になったとか、店の配達に自転車を使ったら素早く届けられて評判になったとか、アメリカの都市で自転車インフラを整備したら若者が住むようになって企業が進出し税収が大幅増になったとか、枚挙に暇がありません。このブログでもいろいろ取り上げてきました。

ポーランドのブィドゴシュチュという街を拠点に活動する、“Orkiestra Na Dużym Rowerze” というバンドもそうでしょう。元々は2017年にミュージシャン仲間で結成した普通のバンドでした。ポーランド国内のツアー活動を開始し、2枚のシングルをリリースしています。

Orkiestra Na Dużym RowerzeOrkiestra Na Dużym Rowerze

Orkiestra Na Dużym RowerzeOrkiestra Na Dużym Rowerze

2020年になって、地元のブィドゴシュチュ市の市立文化センターが主催した音楽フェスティバルでのプロジェクトとして、ディレクターに提案されたのが、きっかけとなりました。それは、自転車に乗りながら演奏してみてはどうか、というアイディアです。

それぞれ乗るのではなく、6人乗りの自転車に一緒に乗るというものでした。最初はみな驚きましたが、話を聞くうちに、すぐ同意しました。メンバーが皆自転車好きだったこともありますが、音楽に加えて、文化や環境に対する考え方などに共感したからです。

Orkiestra Na Dużym RowerzeOrkiestra Na Dużym Rowerze

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すなわち、型にはまらないアートな空間を創出したい、他の人とは違うスタイルで自分たちを演出したい、人々を笑顔にしたい、移動するにも環境負荷を少なくしたい、といったことです。最初は自転車に乗りながら演奏するなんて無理だと思いましたが、プランを練るうちに楽しみになりました。

特別な6人乗りの自転車の設計と製造は、Grzegorz Klucznik さんという珍しい自転車を制作することで知られていたビルダーに依頼しました。一番後ろのサドルには、コントラバス奏者がペダルをこがずに後ろ向きに乗ることにしました。さすがに前向きは無理だったからです。

Orkiestra Na Dużym RowerzeOrkiestra Na Dużym Rowerze

Orkiestra Na Dużym RowerzeOrkiestra Na Dużym Rowerze

Orkiestra Na Dużym Rowerze”というバンド名はポーランド語ですが、英語だと、“Big Bike Orchestra”となります。その名の通り大きな自転車に乗ったバンドなわけですが、こんなバンドは聞いたことがありません。世界的にも無いでしょう。それだけでも話題になり、耳目を集めることになります。

オートバイやトラック等ではありません。自転車を使うことによって、環境負荷をかけないという点でも好印象です。ポーランドも含めたヨーロッパでは、これは大事な視点です。見た目にもユニークで、親しみがわきますし、エコなイメージもあります。

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ツアーで各地に出かける時には、まずこれで街中を演奏して走行します。誰もが注目しますし、その姿を見て笑顔になります。初めて見た人でも、眉をひそめる人はいないでしょう。バンドの宣伝としても効果的で、その街での公演の集客にもなるに違いありません。

おかげで2021年にはテレビ出演も果たしました。素人が勝ち抜きで争うオーディション番組に、「ブリテンズ・ゴット・タレント」という番組があります。スーザン・ボイルなど無名の素人が優勝して話題になったテレビショーです。これは、世界60か国以上で、それぞれTV番組になっています。

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そのポーランド版、“Mam talent!”という番組に出演し、準決勝まで勝ち上がりました。最初は、こんな人気番組に出るとは思いもよらなかったのですが、自転車に乗って演奏するバンドがいるとの噂が瞬く間に広がり、番組プロデューサーの耳にも入り、出演を打診されたのです。

国内でこれまで100回近いコンサートを開き、ポーランドのヒットチャートにも長期間ランクインする人気となりました。SNSで動画が拡散され、国内での知名度も上がりました。もともとバンドとしての実力もあったのだと思いますが、まさに自転車がブレークのきっかけになったと言えるでしょう。( ↓ 動画参照)









Orkiestra Na Dużym RowerzeOrkiestra Na Dużym Rowerze

ビデオクリップも続々制作され、ポーランドのメディアでは、新曲のリリース時などに報じられるようになりました。彼らへの関心はSNSを通して海外にまで広がっています。彼らの夢は、世界すべての大陸を訪れて、このスタイルで演奏をすることだそうです。

もちろん舞台の上でも演奏しますが、この自転車に乗りながら演奏するというスタイル、人々のすぐ近くで聞いてもらえる点も気に入っています。近いと、街を行く人たち、集まってきた人たちの笑顔になる様子が、間近に見られて嬉しいのです。( ↓ 動画参照)









Orkiestra Na Dużym RowerzeOrkiestra Na Dużym Rowerze

演奏しながら自転車に乗るバンドというアイデア、最初は単なる思いつきだったと言いますが、実に効果的なプロモーションになったのは間違いないでしょう。通勤と自転車、配送と自転車、健康と自転車などではなく、音楽と自転車です。誰も考えないような組み合わせは、これからも生まれてきそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

中国の気球撃墜、迷い込んだのではなく操縦されており、過去に同国の軍事ショーで展示されていて民間のものではなく、中国自身が他国の気球を撃墜した過去もあり、どう見ても非は中国にあるのに強硬な態度をとる。コロナの発生源とされた時もそうでしたが、自身が不利になるとムキになって逆ギレする、恥も外聞もない国ですね。

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