March 08, 2023

交通安全を実現するためには

少しずつ陽気も良くなってきました。


二十四節気の一つ、「啓蟄」は土中で冬ごもりしていた虫が、大地が暖まって春の訪れを感じ、穴から出てくる頃とされます。気温も徐々に上がってきました。さて、そんな季節ですが、最近の自転車関連のニュースの中から、いくつかピックアップしておきたいと思います。


ヘルメット4月から「努力義務化」 自転車ヘルメット着用を啓発 高松市

4月から変わります!自転車のヘルメット“努力義務化”すべての人が対象に 自転車店では

自転車用ヘルメットが2,000円引きで購入できます

自転車利用者の乗車用ヘルメット着用が努力義務化されます。

自転車のヘルメット着用 4月から全国で努力義務化 すでに努力義務の山形…自転車事故の死因の6割が頭部のけがも、高校生以上の着用率低く

自転車ヘルメット 4月からすべての年代で努力義務化 依然低い着用率も専門店では問い合わせ増


来月から自転車に乗る時のヘルメット着用が努力義務化されます。それに関連したニュースが各社から報じられています。これはごく一部に過ぎず、他のメディアでもたくさん報道されています。特に自転車に関心がない人に対しても、相応の周知効果があるのではないでしょうか。

実際に、どれほどの人が着用するようになるのか、来月のスタートが注目されます。しかし、努力義務化されたからと言って、特にママチャリに乗る人が、一斉に着用するようになるとは考えにくいものがあります。掛け声倒れになる可能性は否定できないでしょう。

私も、ロードバイクなどに乗る時はヘルメットをかぶりますが、ママチャリに乗る時までヘルメットをかぶる気にはなりません。世間では大多数の人がママチャリに乗って歩道を走行していますが、歩行者にとってみれば、みなヘルメットで歩道走行していたら違和感を感じるのではないでしょうか。

個人的には、かぶりたいと思う人が、かぶりたいケースで着用すればいいと思います。つまり、個人の自由です。それを行政が努力義務とは言え、法制化するのには違和感を覚えます。このあたりのことは、少し前にも別に記事を書きました。→『本当に必要なことは別にある

今回、これが啓発となって、かぶる人が増えることには異論はありません。今まで考えてもいなかった人が考える機会にもなるでしょう。ただ、警察や行政は、市民にヘルメットを強要するより、もっとやるべきことがあるはずです。つまり、構造的なインフラ整備を進め、交通安全を進めることです。

転倒くらいならともかく、クルマとの事故にどれだけ効果があるかという疑問は世界的に指摘されているようですし、警察や行政がヘルメット着用こそ、死亡事故減少の切り札と勘違いして、力を入れるとしたら困ったものです。結果、その間違いに気づいて、海外ではヘルメット着用義務を逆に廃止するところも少なくないのです。


日常的にスマホゲームしながら運転、死亡事故の高校教諭は依願退職…初公判で起訴事実認める

ながら運転スマートフォンでゲームをしながら車を運転し、死亡事故を起こしたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)に問われた名古屋市西区、元公立高校教諭の男(45)の初公判が24日、名古屋地裁であった。

男は「間違いありません」と起訴事実を認めた一方、具体的な過失の内容や程度について争う方針を示した。

検察側は冒頭陳述で、男がスマホゲーム「ドラゴンクエストウォーク」をしながら運転することを日常的に繰り返していたと指摘。事故当日も帰宅途中にゲームをしながら運転し、横断歩道を渡っていた自転車に直前まで気付かなかった結果、死亡事故を起こしたと主張した。

起訴状などによると、男は昨年5月31日、同区の交差点で自転車の高貝真也さん(当時55歳)をはね、死亡させたとされる。男は県立名古屋工科高の教諭だったが、同年8月に依願退職した。(2023/02/25 読売新聞)


高校の教諭という、生徒の模範となるべき人が、スマホゲームをしながらクルマの運転をするとは言語道断です。退職して社会的な責任はとったのでしょうが、被害者は死亡しているわけですから、刑事責任として厳罰にすべきですし、民事責任も問われるでしょう。

自転車に乗っている人が亡くなっていますが、基本的にクルマのドライバーがよそ見をしているなどとは考えていません。道路を走る上で、ある意味、生死を委ねざるを得ないわけで、少なくともゲームをしながら運転する人を根絶するような対策をとってほしいものです。


“凶器”になった自転車〜加害者にならないために 知っておきたいルールは

加害者散歩が日課だった母。車には人一倍、気をつけていました。自転車の相手も、まさか命を奪ってしまうなんて想像さえしなかったかもしれません。

車と同じように、ときには凶器へと変わってしまう自転車。その交通ルールを学ぶ機会は少ないのが現状です。被害者にも加害者にもならないように、知っておいてもらいたいことがあります。

いつもと変わらない朝に

朝食を終えて少ししたころ、テーブルにおいていたスマートフォンが鳴りました。着信音のメロディーで、すぐに90歳の母の携帯電話からだとわかりました。高齢の身にもしも何か起きたらと心配して、すぐに電話に出られるように母専用の着信音にしていたからです。

しかし、声の主は母ではありませんでした。「どなたかはわかりませんが、この携帯の持ち主が道路に倒れています。すぐに来てください」若い女性の声がそう告げました。去年6月、ふだんと変わらない朝。母は、いつもと同じ時間に、ひとりで散歩に出かけていました。

若い女性が知らせてくれた場所は、散歩道の途中の道幅の狭い道路でした。駆けつけたときには、すでにたくさんの人が集まっていました。その中心に、母が倒れ込んでいるのが目に入りました。「お母さん、お母さん」すでに意識がなく、けいれんする両足に手をあてながら、とにかく声をかけ続けることしかできませんでした。

加害者もしも交通事故なら、はねた車やバイクはどこにいるのだろうか。母の身にいったい何が起きたのか、そのときはまだわかりませんでした。

車には気をつけていたのに…

ほどなくして救急車が到着し、母と一緒に乗り込みました。母は救急病院に搬送されましたが、その後息を引き取りました。警察官からは、母は道を渡ろうとしていたところ自転車にはねられたと聞かされました。事故の相手は、当初想像していた自動車でも、バイクでもなかったのです。(以下略 2023年2月20日 NHK)


こちらはニュースではありませんが、自転車にはねられて亡くなった方の遺族の手記が載っていました。ある日、突然、何の罪もない人の命を奪ってしまうということについては、自転車も同じです。このことの重い責任を、自転車に乗る人も肝に銘じておくべきでしょう。


「自転車乗車中の死角」に関する危険を疑似体験 日常の運転で起こりうる“危険な場面”を体験する動画を公開

危険予知JAF(一般社団法人日本自動車連盟 会長 坂口正芳)は、交通事故防止効果のある「実写版」危険予知・事故回避トレーニングに新規動画1作(「自転車編」)を2月28日(火)からウェブサイトとYouTube公式アカウントに公開しました。

危険予知トレーニングとは

交通安全教育において事故防止効果のある手法とされており、道路交通に潜む危険を事前に予測し、適切に対応することにより交通事故を未然に防止しようとするものです。「安全」に危険な場面を覚えることで、予測する能力のトレーニングになります。

自転車ナビライン走行中の危険、自動車編に新しい動画を公開。

JAFは危険予知トレーニングを実写版の動画とし、ウェブサイトに公開しています。今回は「自転車編」に新たに新規動画を追加いたしました。( ↓ 動画参照)



1.自転車編:

自転車の安全な通行を促すため、車道の左側端や交差点に「自転車ナビマーク」・「自転車ナビライン」があります。今回、車道の左側を自転車ナビラインに従って走行しています。停止車両の右側方を通過しようとしたところ、車の死角から、逆走してきた自転車が飛び出してきて、危うく接触しそうになりました。本動画ではそんな日常の運転で起こり得る危険なシーンを体験します。

今回公開した内容のほかにも“危険な場面”を想定したさまざまな動画を「実写版」危険予知・事故回避トレーニングとして公開しています。また、これらの動画をクイズ化した「交通安全3分トレーニング※」も公開。継続的なトレーニングや企業の講習などでお役立ていただけます。JAFでは、今後も交通安全に役立つコンテンツの充実を図っていきます。(2023年02月28日 JAF)


JAFの危険予知トレーニングの自転車編が更新されたというニュースです。こういうシーンを経験された方も少なくないのではないでしょうか。逆走してくる危険を予知するのも大切ですが、本来、こんな逆走はあってはならないルール違反です。ぜひ、逆走を止めさせる方策を探ってほしいものです。


無施錠の自転車を盗む、自衛隊員を停職処分

自衛隊員陸上自衛隊米子駐屯地(米子市両三柳)が6日、市内で無施錠の自転車を盗んだとして第8普通科連隊の男性陸士長(20)を停職10日の懲戒処分にしたと発表した。処分は6日付。

駐屯地広報室によると、陸士長は2022年4月8日午後7時半ごろ、米子市内の飲食店駐輪場にあった無施錠の自転車を盗んだ。

無灯火で運転していたところ、同7時45分ごろ警察官に職務質問され、窃盗容疑で摘発された。事実関係を認めて反省しているという。

第8普通科連隊の堀田朗伸連隊長は「誠に遺憾。隊員一人一人にコンプライアンス順守を徹底する」とコメントした。(2023/3/6 山陰中央新報)


自衛隊員を含む公務員でも、時々自転車盗で捕まる人が出ます。そんなことをすれば、窃盗罪に問われるだけでなく、社会的にも大きな制裁を科されることになるのに、想像力が働かないようです。普通の会社員でも何らかの懲戒処分を受けると思いますが、公務員ならば余計に非難されるでしょう。

それだけ、自転車盗なんてと甘く考えている人が多いということなのだろうと思います。社会人になる前にも、勝手に拝借するようなことをしていたのかも知れません。公務員だと自転車盗も大きく報じられます。公的な機関などは、職員に対し、よもや自転車盗などしないよう、あらためて警告を徹底したほうがいいと思います。


自転車の事故を減らす強力なカギとなるか、パナソニックと京セラ、トヨタらの実証実験

実証実験自転車の重症または死亡事故は、警視庁の調べでは減少傾向にあるとのことですが、自動車と衝突する事故は全体の約8割と多く、そのうちの約半数が交差点で起きています。

パナソニック サイクルテックなどが2022年に自転車ユーザーを対象に行った調査では、見通しの利かない交差点で死角から接近する自動車に気がつかず、事故を起こしそうになった経験のある人は約6割にのぼっています。

そこで、パナソニック サイクルテック、パナソニック システムネットワークス開発研究所、京セラ、トヨタ自動車、豊田通商の5社は共同で、電動アシスト自転車と自動車とを無線でつなぎ、見通しの悪い交差点での事故を回避するシステムを開発し、実証実験を行うことにしました。

実証実験これは、カーナビやETCなどを支える「高度交通情報システム」(ITS)を利用しています。実験では、ITS向け専用周波数760メガヘルツの無線装置を使います。

装置は、走行中の電動アシスト自転車と自動車が見通しの悪い交差点に向かって走行すると、双方に接近を知らせ、減速を促します。自動車の運転手がそれを認識して停車すると、自転車から自動車へお礼のメッセージが送られます。

この実験は、神奈川県横浜市の京セラ事業所内にあるテストコースで行われますが、さらに公道での実証実験を実施した後、2025年以降の社会実装を目指すということです。(2023.03.07 Forbes JAPAN)



KDDIや出前館、スマホ位置情報を活用した事故防止サービスの実証実験を開始

実証実験コロナ禍によりデリバリーサービスの需要が増加するとともに、自転車・原動機付自転車と自動車の交通事故も多発しています。

これらの事故の中では、「信号のない交差点における出会い頭事故」が最多。原因は、自転車や原付が建物などの死角に隠れてしまい、さらに従来の自動車センサーでも検知できないため、自動車運転者からの発見が遅れるとのことです。

このような背景を踏まえ、KDDI株式会社、株式会社出前館、三井住友海上火災保険株式会社、MS&ADインターリスク総研株式会社などは共同で、スマートフォンの位置情報を活用して運転手に車両を通知し安全運転を支援する実証実験を開始しました。

実証期間は2023年2月1日から2023年2月28日までの約1ヶ月間。東京都板橋区の公道で行われます。

スマートフォンの位置情報で危険を察知

本実証実験では、現在の自動車のセンサーでは検知できない死角を補うことを目的とした1)自転車・原動機付自転車と自動車の出会い頭情報提供機能 2)運転後の自転車・原動機付自転車の運転結果フィードバック機能の2つの機能を検証します。

1)自転車・原付と自動車の出会い頭情報提供機能は、KDDIがトヨタ自動車とともに開発した、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム )で計測したスマートフォンの位置情報を利用しています。

本機能では、スマートフォンの位置情報を活用し、自転車・原付・自動車の位置情報をトラッキングサーバーに定期的にアップロードします。また事故の発生可能性が高い、見通しの悪い交差点付近において自転車や原付、自動車の接近をトラッキングサーバーが予測・検知すると、通知音やバイブレーション、警告画面を通じてそれぞれの運転手に自動通知します。

路や交差点の形状、乗り物の種類に応じて、通知のタイミングを個別に設定しているため、精度の高い事故防止が可能です。また、位置情報はアプリ上のものを活用するため、au回線以外でも利用することができます。

運転後のフィードバック

さらに本実証では、2)運転後の自転車・原付の運転結果フィードバック機能も検証されます。

運転中の一時停止違反や急ブレーキの実施などが記録され、それらが運転後に運転手にフィードバックされます。

1)自転車・原付と自動車の出会い頭情報提供機能に加えて、2)運転後の自転車・原動機付自転車の運転結果フィードバック機能を組み合わせることで、配達員やドライバーなどの運転意識の向上を測り、事故問題の根本的な解決につながることが期待できます。

出前館と日本交通など複数の賛同企業の協力で効果的に機能を検証
今回の実証実験では、KDDIとトヨタが自転車・原付の存在通知機能、運転結果フィードバックの提供などのサービスを提供します。

さらにドライバーとして出前館と日本交通が参画。

出前館の配達員が自転車、原付側の位置情報を提供し、日本交通のドライバーが自動車側の位置情報を提供し、2社が機能を事故削減効果や受容性を検証することにより、効果的に実証を進めます。

上記以外では、三井住友海上とMS&ADインターリスク総研が、事故の削減・被害軽減効果のデータ提供・検証、およびリスクマネジメント支援などを行い、実証支援します。

そして今後各社は、本実証で得られた成果をもとにして、自転車・原付と自動車の事故削減に向けた取り組みを継続し、さらに本機能の普及に向けて様々なパートナー企業と連携しながら社会実装を目指します。(2023/2/22 Techable)


2つのニュース、交差点での事故を防止するとという、よく似た取り組みに見えますが、無線とスマートフォンの位置情報など、内容が少し違うでしょうか。それぞれ別の企業が参加していますので、別のもののようです。偶然かぶってしまったのでしょうか。

技術によって、交通事故が減るとしたら、それに越したことはありません。ただ、クルマと違って、自転車に何らかの装置を設置させたり、携行させるのは難しい面があると思います。仕組みや意図はわかりますが、接近の警報装置などを、どう普及させ、携行させるかが難しそうな気がします。

自転車側には装置を使わせずに、交差点での衝突を回避させるような方法はないものでしょうか。海外でも同様の開発をしているという例を過去に取り上げましたが、いまだに実用化にはこぎつけていないようです。5Gやセンサー、GPSなどを使って技術的には見えてきているのでしょうが、実装の難しさなのでしょう。

クルマのほうには装置を取り付けやすいと思います。ですから自転車に知らせて回避させるのではなく、クルマのほうが回避するという考え方に立つべきではないでしょうか。海外では、自転車道が優先という交差点もあります。自転車が来ていたら、クルマのほうが停止する義務があります。

これならば、自転車に装置を取り付けさせたりしなくて済みます。全ての自転車への実装は困難だと思われるので、道路交通の仕組み、すなわちクルマ優先を考え直してみるという方向性はあるような気がします。実験に水を差すつもりはありませんが、技術だけでは解決に至らない部分もありそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

WBCは、まだ開幕前の強化試合の段階ですが、かなり盛り上がっています。侍ジャパンへの期待も高まります。

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