サブスクリプション方式、サブスクです。定額の支払いで使い放題になる仕組みです。ネットが身近になったことで簡単に利用できたり、家に居ながらにして受け取れたり、配信が可能になるなどで、大きく広がった感があります。たくさんの種類のサブスクが登場し、過当競争になっている分野も少なくありません。
音楽配信、映画や動画配信、本や雑誌、マンガ、ゲーム、家具・家電、時計、バッグやアクセサリー、服やファッションアイテム、食品や食材、クルマ、おもちゃや子育て関連商品、ランドセルのサブスクまであります。シェアオフィス、PCで使うソフトウェア、ツール類、ニュース配信などもサブスクになっています。
学習塾や学習コンテンツ、英会話などの習い事、リスキリング、カフェや飲食店の利用権、フードデリバリーの頼み放題なんてサブスクもあります。ウォーターサーバー、ビールサーバー、ルームフレグランス、花き、寝具、撮影機材、化粧品、キャンプ用品、楽器、美容家電、シャワーヘッドのサブスクもあります。
ホテル利用権、エンタメのチケット、住む部屋、マッチングアプリの使い放題もサブスクと言えるでしょう。忙しい人向けに本の要約が読めるサブスク、移動中用に本を読み上げてくれるサービス、電動歯ブラシのサブスクに至るまで、ありとあらゆる分野に広がっていると言えるでしょう。
内容やシステムは、さまざまです。服のサブスクの中には、全て新品が届くものもあります。一回使って返却されたら、もう他に使えないわけで採算がとれるのかと思ってしまいますが、帰ってきた服は自社系列で中古品として販売するのだそうです。
あまり話題になることは少ない気がしますが、自転車のサブスクも登場し始めています。日本でもサービスが始まっています。貸し出す車種も、展開する地域も、料金も、サービス形態もさまざまですが、少しずつ利用が広がりつつあるようです。
もちろん内容によっても違いますが、自転車のサブスクには、いろいろな利点が考えられます。例えば、メンテナンスを無料で提供してくれる場合は、初心者にとって心強いのではないでしょうか。乗り続けているうちに、どうしても乗り心地が悪化しますが、素人でも、自転車を一定の状態を保って乗ることができます。
スポーツバイクに一度乗ってみるとか、電動アシスト自転車を試してみるのにも使えます。興味を持っても、いきなり購入するのは敷居が高いでしょう。じっくり試してみて、気に言ったら購入に切り替えることも出来ます。一般的には月額が多いですが、1日とか1時間から貸すようなところもあります。
子供用の自転車は、すぐにサイズが小さくなってしまうので、サブスクならば、適正サイズに交換しながら乗ることもできます。欧米などでは、カーゴバイクやタンデムなどを貸し出すところもあるので、必要な期間だけ必要な車種を使うのにも適しています。
自転車通勤を始める決意をしたけれど、続くか不安という人も、とりあえずサブスクで始めることが出来ます。ロードバイクやマウンテンバイク、フォールディングなど、自分に合う車種を探したり、いろいろなスタイルの自転車趣味を試してみるのにも、持ってこいと言えます。
日本のママチャリは格安で売られていますが、スポーツバイクや電動アシストなどは、それなりの値段がするので、購入をためらう人も多いはずです。これまで、自転車を購入するにも、なかなか試乗して選べないことも多かったので、サブスクで試せるのは、自転車趣味の敷居を下げることになりそうです。
移動手段として乗りたい時だけ乗る場合は、シェアサイクルのほうが使いやすい面もあります。でも、必ずしもシェアサイクルのサービスがある地域ばかりではありません。その代替としてレンタル、サブスクという使い方も考えられます。借りたり返却する場所に融通の利くサービスもあります。
中には、盗難にまで対応してくれるサービスもあります。無施錠で放置していいわけではありませんが、盗難に遭った場合には独自にGPSで捜索してくれ、見つからなければ同等品を新たに届けてくれます。盗難が心配な街に住んでいる人なら、値段によっては所有に代わる選択肢になりそうです。
自転車の場合、他のサブスクと同じように配送で自転車が届くサービスもあるようですが、地元のローカルな自転車店が、その地域限定でサービスを提供する事例もあります。これは、最近街から減っている自転車店にとっても、新たな収益の形になる可能性があるでしょう。
使う側にとっても、自宅の近くの自転車店なら、トラブルの時にすぐ持って行けます。メンテナンスや調整など、何かと安心感があるに違いありません。もちろん採算がとれるかという問題はありますが、地域の自転車屋さんにしても、試して購入してくれるかも知れませんし、顧客の拡大に役立ちそうです。
日本の場合、格安で粗悪なママチャリが市場を席捲しており、自転車は安いものと思われているので、なかなかサブスクが成り立ちにくい面はあるでしょう。しかし、スポーツバイクに乗ったら目から鱗という人は多く、少しずつ増えているので、非ママチャリの利用者拡大の点でもサブスクが貢献するかも知れません。
必ずしもママチャリが悪いとは言いません。タイヤが太くて低速でも安定走行でき、足つき性が高く、日本の歩道走行に適した自転車と言えます。しかし、多くは重くて坂がキツイですし、速さや軽快性に欠け、自転車本来の楽しさ、パフォーマンスをスポイルしているのは否めません。
ママチャリでも、それなりの価格のものは品質もいいですが、量販店やホームセンターなどでは格安で粗悪なものも売られています。自転車の楽しさを感じられないばかりか、すぐ錆びたり劣化しますし、そうすると使い捨てのように扱われ、駅前などへの放置自転車を増やす原因となっています。
スポーツバイクはもちろん、シティサイクルでも相応の品質の自転車に乗れば、自転車に乗るのが、もっと楽しくなるはずです。その入り口として、サブスクが果たす役割は小さくないでしょう。街の自転車屋さんの減少に歯止めがかかれば、修理を頼めるようになって使い捨ても減るでしょう。
そう考えると、格安粗悪なママチャリが席捲する日本の自転車市場、街の自転車屋さんの減少、駅前などへの放置自転車、自転車と言えばママチャリだと思っていて、自転車なんて最寄り駅か近所のスーパーへのアシにしかならないと思っている日本人の意識、いろいろなことがサブスクによって変わっていくかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
東京では今日にも開花宣言が出されそうです。気温が高かったので早まったようです。来週には満開でしょうか。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(2)