郊外をツーリングする人もあれば、街を気ままにポタリングする人、輪行を楽しむ人などもあるでしょう。アメリカ出身でロンドン在住の、Travis Nelson さんは、Sigrid という相棒と一緒に、ロンドン市内や周辺をサイクリングして楽しんでいます。
この、Sigrid は人ではありません。メス猫、ノルウェージャン・フォレスト・キャットという種の4歳です。彼女を前カゴに乗せてサイクリングするのが定番の楽しみ方なのです。もともと、犬のようにリードをつけて散歩していました。犬ならともかく、散歩好きの猫というのも珍しいと思いますが、よく散歩に連れ出していました。
ある時、散歩するのに慣れているので、自転車に乗るのも楽しむかもしれないと思いつき、自転車に乗せてみました。すると、すぐに気に入り、自転車に喜んで乗るようになったと言います。街中で、周囲に渋滞するクルマがいたりしても平気で、落ち着いたものです。
Nelson さんも、Sigrid ちゃんもアメリカ・カリフォルニア州の出身で、同地にいた時から散歩が好きだったそうです。ビーチに行ったり、サンフランシスコ周辺の電車にも乗ったりしたので、街中を散策することに物怖じしなくなったのでしょう。
実は、青い目を持つ白い猫は、8割程度と高い確率で聴覚障害があることが知られています。Sigrid ちゃんも聴覚障害です。おそらく、そのこともロンドンの騒がしい街中でも平気でいて、むしろ楽しんでいるように見える理由だろうと、Nelson さんは考えています。
Nelson さんが自転車を準備し始めると、Sigrid ちゃんは明らかに興奮し始めると言います。もともと好奇心旺盛なのですが、早く出かけたいとばかり、玄関でニャーニャー鳴き始めます。知らない人には、無理やりネコを自転車で運んでいるように見えるかも知れませんが、決してそうではないのです。
そんな自然な流れで一緒にサイクリングするようになりました。今では、近所に熱心なファンが出来、挨拶を受けるために、頻繁に停まる必要があります。初めて見た人も、思わず笑顔になって、写真撮影などを求められることもあります。やはり、サイクリングするネコが珍しいのでしょう。
今や、彼女のSNSには20万人以上のフォロワーがいて、一部の動画は500万回以上も再生されるほどになっています。今は、サイクリストが走行コースなどをアップできるSNS、“Strava”にまでアカウントを持っており、走行したルートが公開されています。
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必ずしもネコ好きでなく、特にサイクリングが好きではない人にまで、ファンが広がっていることにも驚いています。この人気で、“Sigrid Rides: The Story of an Extraordinary Friendship and An Adventure on Two Wheels”という本まで出版することになってしまいました。
当初、Nelson さんはピストに乗っていました。せっかく速い自転車なのに、前カゴをつけてネコを乗せていることで、サイクリスト仲間には笑われていました。Sigrid ちゃんを乗せている時には、あまりスピードは出せませんが、それでも一緒にサイクリングするほうがいいと話します。
Sigrid ちゃんと出かける時には、いろいろ準備が必要です。耳に日焼け止めを塗り、風が強い日には専用のゴーグルをつけさせます。乗車中の安全のためストラップを装着しますし、彼女の席、カゴの下には吸水パッドを敷いたりなど、いろいろ面倒な作業もあります。それでも一緒に乗るのが楽しいのです。
SNSに写真や動画をアップするのは、最初は単なる趣味でしたが、今や多くの人が癒されるなどと喜んでくれます。このことも嬉しい理由です。ロンドン市内では、とかくクルマとサイクリストでいがみ合ったりしがちですが、多くの人にサイクリングの楽しさを思い出してもらいたいとも考えています。
犬の場合は散歩をするのが当たり前ですし、なかには年老いて足が弱くなって歩くのが困難になってしまった愛犬を、散歩する代わりに自転車に乗せてサイクリングをするという話は聞くことがあります。しかし、猫を乗せてサイクリングをする人というのは、あまり聞いたことがありません。
ただ、人間と同じで、いろいろな性格のネコがいるのでしょう。サイクリング好きのネコがいてもおかしくありません。先入観では、犬はともかく、ネコが自転車に乗るのを楽しみそうには思えません。でも、試してみれば、案外サイクリングを気に入るネコはいるのかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
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Posted by cycleroad at 13:00│
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