台湾で、他社のブランドの製造を請け負うOEMメーカーと言えば、半導体の、TSMC が有名です。先端半導体の製造では圧倒的な存在、世界最大の専業半導体ファンドリーです。ブランドは、Apple でも、製造は、TSMC なのです。パソコンのみならず、半導体産業の大きな集積地が台湾となっています。
実は、自転車の製造でも台湾は一大集積地です。世界最大の自転車メーカー、GIANT をはじめ、MERIDA、Pacific Cycles などがありますし、やはりOEMで製造されているブランドがたくさんあります。全てを台湾で製造しているとは限りませんが、台湾のメーカーに製造委託するブランドは少なくありません。
Cannondale、Specialized、SCOTT、Pinarello、BMC、Trek、Bianchi、など、欧米の有名なブランドでも、台湾でOEM製造されているモデルは少なくないのです。Acer はパソコンメーカーなので、“ebii”は異業種による参入ということになりますが、同じ台湾という立地をいかしたのかも知れません。
さて、この“
ebii”、メーカーのアナウンスによれば、AIにより乗り手の傾向や個人的な好みを学習し、道路状況などに応じてギアをシフトさせると言います。シティユース向け、通勤をラクにしたい都会の住人のためのスマートバイクという触れ込みです。
乗ったわけではないので、どんなものか判断しかねますが、アップダウンやストップ&ゴーに応じて、いちいちシフトをするのが面倒という人もあるでしょう。しかも単なる自動シフトではなく、一人ひとりに合わせたシフトチェンジを実現し、必要な電動アシストのレベルも学習して最適化するとあります。
専用アプリがインストールされた手持ちのスマホとは、Bluetooth や LTE で接続します。走行速度などの情報に加え、バッテリーの残量、推奨ルートなどを確認することが出来ます。省電力モードか、スピード重視のブーストモード、その中間モードなどの設定を選ぶこともできます。
自転車から離れると自動でロックされ、近づくとアンロックされる機能もあります。家族や友人に貸す時など、遠隔操作でのロック解除も可能です。もし盗難に遭った場合は、内蔵のGPSロケーターで追跡する機能もあります。駐輪時に動かされた時にはアラートも発します。
衝突検知センサーも装備されていて、衝突防止のために対向車やライダーに警告します。後方から接近する物体を知らせるレーダーもあります。48V、350Wモーターで、20マイルまでアシストし、1回のフル充電で、70マイルの航続距離となっています。
バッテリーは取り外し可能で、スマホやタブレットなどの充電に使うことも出来ます。重量は約16キロ、チェーンではなくベルトドライブで、油圧ディスクブレーキを備えています。エアレスタイヤなのでパンクの心配もありません。視認性を高める360度方向のライトも装備しています。
ロックや盗難防止、センサーなど、近年アクセサリーとして開発され始めた電子的な機能をふんだんに盛り込んだモデルと言えそうです。今のところ、発売日や価格、入手方法などについては発表されていませんが、パソコンメーカーが売り出す世界初の自転車ということになるのでしょう。( ↓ 動画参照)
わざわざ異業種参入するのですから、それだけ電動アシスト自転車市場の将来性を見越しての判断なのは間違いなさそうです。もしかしたら、Acer 社にしてみれば、電動アシスト自転車はスマホやアプリで制御する、広い意味でのコンピュータの周辺機器の延長のような位置付けなのかも知れません。
AIが乗り手の好みを学習した自転車の乗り心地が、他と比べてどう違うのか、どれほどのアドバンテージをもたらすのかは、わかりません。ただ、家電でも何でもAIを搭載するのが時代の趨勢のようになっています。それが電動アシスト自転車にも波及していくのは、時間の問題ということなのかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
各地で桜が満開となっています。関東はずっと菜種梅雨で気温も低かったですが、ようやくお花見日和ですね。
Posted by cycleroad at 13:00│
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