April 04, 2023

創意工夫が新たな製品を生む

生命の進化は系統樹で描かれます。


教科書などで一度は目にしたことがあると思いますが、枝分かれした木のような図のことです。元は同じ種類だったものが、何かの理由で枝分かれして、次第に違う種として進化していく様子を表しています。生命に限らず、枝分かれしながら発展していくものは、いろいろあるでしょう。

卑近な例ですが、自転車用品も似たようなイメージがあります。すなわち、同じ用途のものが、違うデザイン、違う使い方、違う効果のものなどに枝分かれして進化していくケースは多いでしょう。結果として、数え切れないほどの自転車用品が生み出されています。

もちろん、その全てが生き残るわけではありません。消費者に支持されなかったり、淘汰されたり、廃番となって流通しなくなり、忘れ去られた用品も無数にあるに違いありません。しかし、次から次へと新しい自転車用品が考案され、世に問われます。よくアイディアが尽きないものだと感心します。

系統樹


系統樹ですから、突然新しい種が現れることはありません。例えば最近の電子的なアイテムにしても、目的としては盗難防止だったり、行先案内だったりするわけで、全く新しく生まれた製品のように見えますが、旧来のアナログなロックとか地図などからの派生と見ることが出来るでしょう。

このブログでもいろいろ取り上げて来ましたが、実にたくさんの枝分かれが、日々起きています。例えば定番の工具のように、なかなか枝分かれが起きないものもありますが、少しでも枝分かれ、すなわち差別化して、新しいアイテムと認知してもらうために、開発者はしのぎを削っているのでしょう。

今まであったものと同じでは、価格競争するしかありません。なかなか先行している製品、顧客のついている商品には太刀打ちできません。何かしら新しいこと、目先を変えたり、ニッチなニーズを捉えたり、斬新なデザイン、意外性、違った価値などをアピールことになるのでしょう。

PopsiclePopsicle

最近も、また新しい自転車用品が生まれようとしています。従来品との違いをアピールしている以上、また新たな枝分かれではあると思いますが、それが消費者に支持され、無事に枝として伸びていくかはわかりません。そんなものを、いくつか取り上げてみたいと思います。

こちらは、“Pop-Cycle”、用品ではなく自転車そのものの新しい形を提案しています。フォールディングバイク、折りたたみ自転車はたくさんありますが、これは折りたたむのではなく、伸び縮みさせる自転車です。コンパクトバイクのジャンルに、スライディングフレームという革命を起こすと意気込んでいます。

PopsiclePopsicle

たしかに、小さくして持ち歩けるようにするのがフォールディングバイクとするならば、折りたたみだけが手段ではありません。伸び縮みさせてコンパクトにするという考え方はあるでしょう。過去にもありましたので、全く新しいアイディアではありませんが、枝分かれになる可能性はあります。

折りたたみ自転車の場合、フレームの折りたたみ方によっては、ヒンジ部がウィークポイントになるケースがあります。この“Pop-Cycle”は、ダイカスト方式で製造されたアルミフレームでスライド式、パーツが溶接ではなくボルトで止めなので、フレームの剛性が折りたたみより有利と言えるかも知れません。



スライドさせる手間が数秒なのも利点と強調しています。もともと、シートポストやハンドルバーの高さなどもスライド式で調整する自転車は多いのですから、フレーム自体をスライドさせる手はあると考えたようです。一部の折りたたみ式と違って、タイヤの間が縮むだけなので、持ち上げることなく運べるのも便利です。

ダイカスト製法が、材料費を抑え、溶接の手間を省き、時間効率の良さから、環境負荷が相対的に小さいとも主張しています。クラウドファンディングでは、40日を残し、すでに目標額の4倍を超える販売金額に達しており、一定の支持を集めています。

KTOP Bike RackKTOP Bike Rack

こちらは、“KTOP Bike Rack”、クルマに自転車を積むためのラックです。これが新しい点は、自転車を横倒しにして運ぶ点です。これまでのラックだと、自転車を直立した形で固定するのが当たり前でしたし、そのスタイルを疑うこともありませんでした。

そうすると、クルマの全高と併せた地上高が高くなります。これで普通は問題ありませんが、天井の低い場所、建物の入り口などで、つい自転車を積んでいることを忘れて、クラッシュさせてしまう恐れがありました。そのままでは入れない駐車場やガレージもあるでしょう。

KTOP Bike RackKTOP Bike Rack

そのために以前、センサーでアラームを発するアイテムを取り上げたこともありましたが、横に倒して積むならば、よほど低い場所でない限り、クラッシュは避けられるでしょう。なるほど、言われてみれば当たり前のことですが、今までは見た記憶がないので、おそらくこれは新しい工夫と言えそうです。

基本的に自転車を1台載せることを想定しています。こちらもクラウドファンディングサイトでは、あと22日を残して、目標金額の70%までに達しています。基本的にニッチな自転車用品なので、大きな支持ではありませんが、評価する人はいるようです。



こちらは、“Saddle Box”、サドルの中が収納になっているという製品です。サドルですから、あまり大きなものは入りませんが、いつも携行する工具などを収納しておくのには便利でしょう。ダイヤル式のカギもついているので、セキュリティにも配慮しています。

サドルと言うと、いかに自分のお尻にフィットするかが焦点であり、定番のものから、硬さや形状などを工夫したものなどが売られています。特に初心者の場合、最初はお尻の痛みに悩まされる人も少なくないですし、サドルに求められるのは、その部分だと思っていました。

Saddle BoxSaddle Box

Saddle BoxSaddle Box

その意味で、サドルを物入れにするというのは、あまり考えられてこなかった製品ではあります。意外性があると言えなくもありません。フタとなるサドルには鍵がかかるものの、シートポストごと盗まれそうなど、ツッコミどころはありますが、これも一つのアイディアでしょう。

こちらは、クラウドファンディングサイトで、あと27日を残して、0.02%と、ほぼ支持されていません。開発者は19歳で、人々が面白いと思ってくれるかの運試しと書いていますし、さすがに製品化は難しそうです。ただ、チャレンジする精神は大事でしょう。



世の中には、自転車屋さんで売っているようなもの以外にも、ネット上などで無数の自転車用品が存在しています。系統樹の全体像はとても掴みきれませんが、相当の大きさなのは間違いないでしょう。もちろん、結局は育って行かない枝も多いと思いますが、まだまだ無数の枝分かれが続いていきそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

トランプ前大統領がニューヨーク州の大陪審に起訴されました。次の大統領選への逆風かと思えば、予備選の支持率は上昇しているようです。ウンザリしている人がいる一方でまた大統領に返り咲く可能性もあるのでしょうか。

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