各地で入学式や入社式も済み、新生活がスタートしたという人も多いでしょう。陽気もよくなってきました。さて、そんな時期ですが、今回は最近目についた自転車関連のニュースの中から、気になったものをピックアップしてみたいと思います。
自転車ヘルメット、品薄に 帽子型が人気―努力義務化で
4月から自転車のヘルメット着用が“努力義務化” 着けないと致死率は2倍に…命を守るための着用を
自転車乗車時ヘルメット浸透なるか
「自転車ヘルメット着用を」長崎県警呼びかけ 努力義務化後に死亡事故も
自転車ヘルメット努力義務化で問い合わせ増
滝川クリステル、自転車で転倒し眉脇を10数針縫うケガ…「ヘルメットをしていれば」1日から努力義務化
自転車ヘルメット着用の実態調査 着用率4%にとどまる
自転車ヘルメット「着用義務化」でわかった危険度
自転車のヘルメット着用努力義務化 かぶらなきゃ違反になるの?
自転車のヘルメット着用を呼びかけ 警視庁が新学期にあわせ都内で子ども達に交通安全イベント
【自転車ヘルメット努力義務化】4月1日以降「着用する」は13% - 着用しない人の理由は?
“ヘルメット努力義務”開始の日に自転車事故 重体の33歳女性死亡 現場は“危ない歩道”だった 富山
茨城県鹿嶋の鹿島学園高校に自転車用ヘルメット30個贈る
ヘルメット着用が努力義務化。オシャレを邪魔しないヘルメットと自転車の交通ルール
「ヘルメットの先が全部とんがっていた」自転車ヘルメット努力義務化 着用しない理由を聞いてみると…
自転車ヘルメット着用率4% 最高は熊本、最低は兵庫 13都府県で調査
自転車「ヘルメット」着用努力義務化 かぶっていない人に対し、警察はどうする?
自転車のヘルメット購入費用 2000円を補助 東京 江東区
『死んでからじゃ遅い』小6で車にはねられ意識不明に…生死の境さまよった18歳語る“自転車ヘルメット着用”の重要性
自転車ヘルメット着用「努力義務」に “もしもの事故”に備え命を守るため
時津町の道路脇で男性死亡 ヘルメット着けず 自転車の自損か
自転車のヘルメット着用“努力義務化”も…なぜ着用進まない?髪型の乱れの対策を美容師に聞いた
未着用でも罰則なし、それでも啓発強化する自転車ヘルメット…34%「必要性を感じない」
3月の中盤から今月上旬にかけて、ヘルメット着用の努力義務化のニュースが圧倒的な量でした。上に掲げたのは、ごくごく一部に過ぎず、すごい量のヘルメット着用関連のニュースが、テレビや新聞などで流されました。これは、単に注目されたということ以上のニュースの多さに感じます。
これまでも道交法改正で、自転車が原則車道走行になるなど、注目すべき大きな変更はありましたが、これほどの量の報道がなされたことは、これまでなかったように感じます。ただ、実際には、あまり関心のない人も多いようで、どれだけ着用率のアップにつながるかは、予断を許しません。

警察も周知に力を入れたということなのでしょう。そしてマスコミが大々的に報じ、キャンペーンであるかのような量の報道になっています。努力義務であるにもかかわらず、自転車利用者に対し、ヘルメットを着用しろという同調圧力をかけているように見えてしまうのは、私だけでしょうか。
もちろん、ヘルメットを着用するのが悪いと言いたいわけではありません。私もママチャリなどではかぶりませんが、ロードバイクに乗るなど車種や場合によって着用します。ヘルメットも複数個持っていますし、ヘルメット着用に反対するものではありません。
ただ、着用するかしないかは個人の判断にまかせればいいと思います。必要だと思えばかぶればいいですし、今日の乗り方なら不必要と思えば、かぶらなくてもいいでしょう。それを、今回は努力義務とは言え、法律で定めることには違和感を感じざるを得ません。
海外では、むしろ義務化していたのを廃止する動きもあります。世界的な自転車先進国オランダのヘルメット着用率は、0.5%以下です。ヘルメットを義務化すると乗る人が減り、渋滞や環境などの点でも逆行するのでヨーロッパでは義務化しないのが一般的です。(このあたりは
別の記事に書いたので、よろしければ参照してください。)
本当に必要なことは別にある
私は以前から主張しているように、警察や行政はもっと別にやるべきことがあると思います。つまり、クルマと自転車の事故を減らすべく、ルールの徹底を図ったり、インフラ整備を進めたり、ドライバーの啓発を進めたりといったことです。

自転車のルールを徹底させるためには、まず自転車の歩道走行を廃止すべきです。歩道であろうと車道であろうとお構いなし、方向も秩序も無しに走るために交通ルールが守られないことになります。その結果、自転車利用者のルール無視や危険な走行で事故が起きている面は否定できません。まずここに秩序を確立すべきです。
加害者となるドライバー側への対策も必要です。ヨーロッパなどでは、自転車や歩行者との事故を減らすために、都市部の制限速度を30キロ以下にする規制を進めています。そして自転車レーンを整備し、交差点などを工夫して、物理的に事故を起こさせない工夫を進めています。私は、このような方向性が正しいと思います。
そのような本来必要な事故防止対策を進めず、ヘルメットを着用させることで事故死者を減少させようとしているように見えてしまいます。ヘルメットを着用したほうがいいと啓発するのは反対しません。しかし、それを法制化するのは違う気がするのです。
自転車は被害者側です。自転車王国オランダでは、自転車レーンなど、インフラ整備を進めています。そのため、ふだん街中で自転車に乗っていても危険と感じないため、ヘルメットを着用したいと思う人が、ほとんどいないわけです。それが当たり前であり、オランダ人にしてみれば、ヘルメット着用強要は本末転倒です。
例えば、クルマの排気ガスの有毒性を除去するためには、マフラーにフィルターを取り付けるなどの対策が求められます。クルマには有害な排気ガスを垂れ流させておいて、人間の鼻と口に全てフィルターの取り付けを義務付ける政策をとったら、人々は怒るに違いありません。それと同じことです。クルマ側を対策すべきです。
ハイヒール・リンゴ 「努力義務」になった自転車のヘルメット 大事なことだとは思いますが、先に徹底すべきことがあるのでは
努力義務は任意です!自転車のヘルメットについて
「自転車だけ乗ってる人って交通ルールわかってない」「逆走とか」…自転車のルール徹底が必要とヒロミ指摘
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「罰則ない」「不審者っぽい」 自転車ヘルメット“努力義務化”に集まる散々な声! 50人以上に聞いてわかった世間の無関心 「それより運転マナー改善が先だ」
芸能人や政治家などの意見も載っていました。私と似た意見、もっとやるべきことがあるはずと考える人もあるようです。日本の道路や行政の考え方が、クルマ優先になっているのがおかしいのです。本来は、人間の命が優先であり、クルマの通行の効率などを優先するのはおかしいと気づく国は増えています。
今回の措置で、どのくらい着用率が上がるか、自転車の事故死者数がどれだけ減るかは、まだわかりません。しかし、それが自転車の利用を人々が減らしたことによるものなら、正しい対策とは言えません。もっと根本的に事故を減らす対策が必要であり、「クルマ優先」の考え方を見直すべきだと思います。
事故「過失割合」に影響も? 4月からヘルメット着用の“努力義務化”
(前略)
交通に詳しい櫻井正弘弁護士:「裁判で今後『ヘルメットをつけていない』過失が争われることは、十分多くなると思います。(改正)道路交通法上で努力義務になったにもかかわらずつけていない。これは被害者の落ち度である。こういった主張がおそらく出てきますので、皆さんにはぜひつけていただきたい」(2023/03/30 テレ朝ニュース)
気になる記事もあります。この記事によれば、自転車に乗っていて事故に遭って被害を受けた場合、それはヘルメットを着用していないからいけないのだ、という議論に、今後なっていくということのようです。これはおかしいのではないでしょうか。
なぜ、被害者側のヘルメット非着用が落ち度とされなければならないのでしょうか。事故の原因として、自転車側のルール無視や危険走行があったというならばわかります。しかし、ヘルメットを着用していなかったのが悪いからと過失割合が上がるというのは、納得のいかない話です。
ヘルメット着用が努力義務化!ノーヘル事故だと「自転車保険」は適用外?
「4月1日から、改正道路交通法が施行され、すべての自転車利用者のヘルメット着用が義務化されました。ただし、今回の法改正は罰則規定のない“努力義務”のため、実際どこまでヘルメット着用が浸透するか不透明です」(社会部記者)
近年、自転車事故による死者数は減少傾向ではあるものの、毎年300人以上が亡くなっている。警察庁のデータによると、自転車乗車中のヘルメット着用状況別の致死率(死傷者のうち死者の占める割合)は、着用よりも非着用が約2.6倍も高く、死亡者の約6割が頭部に致命傷を負っている。
このような背景から、ヘルメット着用が義務化されるのだ。かつてバイクも、ヘルメット着用は努力義務であったが、1986年に罰則規定のある完全義務に。近い将来、自転車も同様に規制が強化されることが予想されている。
さらに、今後ノーヘルで自損事故を起こし、死亡もしくは頭部にケガを負った場合、保険の補償適用外になるとの噂もある。多くの商品の約款で「故意または重大な過失によるケガ」については、保険金が支払われないと明記されていることなどが理由だ。
「現時点で補償内容を変える予定はありません。今回のヘルメット着用は“努力義務”なので、ケガをした場合などはこれまでどおり保険金のお支払いの対象となります」(損害保険ジャパン広報部)
まだ“努力義務”の段階なので、“重大な過失によるケガ”には該当しないということだ。
「ただし、今後バイクと同じように罰則規定のある完全義務化となれば、保険会社の約款で、頭部のケガに関しては補償適用外になる可能性はかなり高いと思います」
こう警鐘を鳴らすのは、交通事故案件を多く扱っているアディーレ法律事務所の長井健一弁護士だ。
ヘルメット着用の義務化で、死亡事故を減らす一定の効果は期待できる。だが、いっぽうで事故の原因となる、自転車利用者による道路交通法違反の増加も問題視されている。罰則規定のあるルール違反をする運転者が、じつはたくさんいるのだ。(中略)
「道交法違反で自損事故を起こしてケガした場合、保険金が貰えなくなる可能性があります。とくに飲酒運転やスマホを操作しながらの事故でのケガは、事故態様やケガの部位などから重大な過失によるものと判断されると、保険金は支払われません」(長井弁護士)
交通違反の取り締まりや規制が強化されるのは、死亡事故やケガを減らすために必要なこと。事故を起こさないに越したことはないので、まずはヘルメットの着用を含めた自転車の交通ルールを面倒がらずに守る。それが自分の命と生活を守ることにつながるのだ。(2023/04/07 女性自身)

保険の支払いに関連しても、気になる記事がありました。今は努力義務なので今まで通り保険金が支払われるものの、完全義務化になれば補償適用外になると言う話です。これは、今回は経過措置で、警察や行政は完全義務化を目指しているということなのでしょうか。
警察や行政は、有無を言わさずヘルメット着用を義務化するつもりなのでしょうか。それは、あまりに市民の自由を無視しています。上でも述べたように、市民に自発的対策を啓発するのはいいですが、被害側に対策を強制するのは違うでしょう。権威主義の国ならともかく、もしそうだとしたら、これは問題だと思います。
理由はいろいろですが、例えばヘルメットを着用すれば、髪型が崩れるので、かぶりたくない人もいます。命のほうが大事と言う人もあるでしょうが、例えば、若い女性の間では、以前SNS上で、「前髪が崩れたらこの世の終わり」という言葉に多くの共感が集まりました。それくらい重要に考える人は多いのです。
私は、ヘルメットを着用したほうが、怪我をするリスクが減るということに異論を述べるつもりはありません。しかし、クルマの加害事故がなければ、ヘルメットがなくても問題ない場合は多いはずです。オランダのように、ヘルメットを着用しなくても大丈夫、事故にならないような、本来あるべき姿に向けた対策をしていくべきでしょう。
“軽トラあおり運転男”「交差点を斜めに走る自転車を見て、危ないので注意しようと思った」衝突された自転車の男性大けが 愛知県警が実況見分
先月、軽トラックであおり運転し、自転車の男性に衝突、大けがをさせたとして危険運転致傷の疑いで男が送検された事件で、警察は8日、男を現場に立ち会わせ、実況見分を行いました。
警察によりますと、名古屋市中村区の自称自営業・富野弘之容疑者(59)は、先月28日、名古屋市中村区の路上で軽トラックを運転し、自転車の男性に対し「あおり運転」をおこなった上、歩道上ではねて、大けがをさせた疑いがもたれています。
警察は8日、富野容疑者を現場に立ち会わせ、当時の状況を調べました。
富野容疑者は、「相手にわざとぶつかったわけではない」と供述していましたが、その後の警察への取材で、「交差点を斜めに走る自転車を見て、危ないので注意しようと思った」などと供述していることが新たにわかりました。(2023/4/8 中京テレビ)
たしかに、自転車でデタラメな走行をする人はいます。しかし、だからと言って衝突して大怪我をさせていいわけはありません。最近はあおり運転が多いですが、中にはこのように、妙な正義感から、あおり運転をする人もいます。とんでもない行為ですが、このような人もいるのは確かなので気をつけたいものです。
自転車がパンクしたらタクシーが修理拠点まで搬送 17日から福島県いわき地方振興局が実証実験
自転車を活用した中山間地域振興に取り組む福島県いわき地方振興局は17日から、走行中に故障した自転車をタクシーで運ぶ「サイクルタクシー」の実証実験を始める。
走行中にパンクなどで修理が必要になった際、専用ラックを装着したタクシーが自転車と利用者を最寄りの修理拠点まで運ぶ。振興局によると、県内初の取り組みという。
振興局は昨年、「いわきの里鬼ケ城」「田人おふくろの宿」「ワンダーファーム」のいわき市内3カ所に自転車の修理拠点を設けた。サイクルタクシーは、市内の尼子タクシーと常交タクシーがそれぞれ2台を運行する。
走行中に自転車が故障した場合、いずれかの会社に電話で連絡すれば、専用ラックを装着したタクシーが駆けつけ、自転車と利用者を最寄りの修理拠点まで運ぶ。タクシー1台につき自転車2台まで折りたたまずに積載できるという。
実証実験は当面、継続する。費用は各タクシー会社の乗車料金に準じる。利用する場合は各タクシー会社に直接申し込む。(2023/03/16 福島民報)
趣味のサイクリストならば、大げさと感じるかも知れません。でも、自分でパンク修理なんて出来ないという人のほうが、世の中的には大多数です。自転車による観光振興で、旅行客を集めたい自治体にとっても、イザという時の安心をアピールするのに有効なのではないでしょうか。
「本当にぞっとする事故」危険交差点…タクシー衝突 自転車の男性は倒れたまま動けず
<この動画は削除されました。>
21日、札幌市で記録されたドライブレコーダーの映像です。前に止まっている黒い車が動き出した次の瞬間でした。
突然、画面左側から現れた自転車が、右側を走行していたタクシーと激しく衝突。近くにいた男性が駆け寄りますが、自転車に乗っていた男性は倒れたまま動きません。
現場は片側二車線の道路で、中央分離帯には切れ目があります。信号や横断歩道はありませんが、歩行者などが頻繁に横断するため、事故が起きやすい危険な場所です。
撮影者:「あれが自分の立場だと考えたら、本当にぞっとする事故。運転する側も、確認は当然しなくてはならないが、歩行者や自転車も、一度立ち止まって確認して渡ってほしい」
警察によりますと、自転車に乗っていた男性は病院に搬送されましたが、命に別状はないということです。(2023/03/31 テレ朝ニュース)
ぞっとする事故ですが、これは、自転車の人の不注意でしょう。安全確認もせずに横断するなんて無謀と言うしかありません。ただ、普段はやらないのに、ふとエアポケットにでも入ってしまったかのように、ミスをしてしまうこともあります。気をつけたいものです。
【自転車】東京駅前でナイトレース初開催!「丸の内クリテリウム」を観戦!
(前略)
国内では前代未聞のナイトクリテリウム
このレースは、自転車ロードレースの国内プロリーグを運営するジャパンサイクルリーグ(JCL)が、東京都の後援を受け開催したもの。「全世界から注目される丸の内エリアでの国際レース開催」を目指すJCLが、自転車ロードレースのショーケースとして行うエキジビジョンレースだ。
そもそもクリテリウムとは短距離の周回コースで行われる自転車ロードレースで、都市部で行われることが多い。昨年11月に観戦したツール・ド・フランスさいたまクリテリウムもそのひとつだ。
今回は日没後に行われるナイトクリテリウムということで、国内ではほぼ前例のない試み。しかも、コースが東京駅の真ん前というのも前菜未聞のシチュエーションだ。ロードレースの本場ヨーロッパでは、ツール・ド・フランスなどで活躍した選手たちがエキジビジョンで走るナイトクリテリウムが盛んなようだがあまり情報が入ってこないので、その雰囲気を日本で味わうまたとない機会となっている。
コースは、東京駅から皇居へと向かう行幸通りを一部封鎖した1周約400mで、これを60周する約24kmのレースだ。中央の歩道部分は皇室行事などで馬車列が通るときに使われるが、この日はチームピットや表彰台のステージなども設置されていた。(以下略 2023-04-05 ミミヨリ)
たしかに、夜間のクリテリウムが日本で行われたというのは聞いたことがありません。ヨーロッパでは、サッカーと並ぶ人気を誇るロードレースですが、日本ではマイナーなスポーツと言わざるを得ません。ただそれも、少しずつ変わってきているようです。
◇ 日々の雑感 ◇
エンゼルス大谷翔平選手は先輩菊池投手から3号ホームランを打つも逆転負け、11点とっても「なおエ」ですか。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(5)
cycleroadさん,こんばんは.確かにヘルメットや自転車保険の義務付けで自転車自体が格段に安全になる訳ではなく,自転車の交通安全対策の本質的な問題がそっちのけになってしまうという意味では私も貴兄とほぼ同意見です.
自転車の安全対策上,私が最も重要だと思うのは右側逆走の排除を徹底する事です.現在の法令では自転車通行可(歩行者優先)の歩道では自転車が左右両方向に通行できるとされていますが,この法令上の矛盾と不備欠陥が自転車の走り方の乱れを助長しているのは明らかです.
ヘルメットで事故の際の致死率低減に力を入れる事も大事ですが,それよりも車道左側を走っていて事故を未然に防ぐ知識や知恵,乗り方のテクニック,注意力に判断力を養う方がより重要です.