April 25, 2023

分けることで生まれる値打ち

自転車はたくさんの部品から出来ています。


クルマでも機械でも何でもそうですが、製品を構成する部品は、それぞれ違うパーツメーカーが製造しています。機械などの工業製品なら、そのように分業で生産するのが効率的なので、それぞれ部品メーカーが生産するのが一般的です。細かいパーツも含めて、全て一社で製造することは、まずないでしょう。

ですから、どこかのブランドの完成品の自転車を買ってきたとしても、フレームにブランド名が入っていこそすれ、コンポなどのパーツは別のメーカー製なのが当たり前です。自転車の場合は、それが外から見えているため、いろいろなメーカーの部品の組み合わせだということが一目でわかります。

VanpowersVanpowers

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実際に自転車メーカーは、ほとんどのパーツは作ってませんし、細かな部品も含めて、多くの部品メーカーから仕入れて組み立てるのが普通です。逆に有名な人気ブランドの完成品モデルだったとしても、コンポなどの重要なパーツは、それぞれの名のあるメーカーのものを使っていなければ、買ってもらえないでしょう。

フレームまでOEMという場合もありますが、そのモデルを特徴づける部分なので自社で設計し、材料の金属を溶接したり塗装したり、近年は素材によって一体成型などで製造されることになるでしょう。トップチューブとかダウンチューブとか、それぞれ部位の名前はありますが、フレーム全体で一つの構成要素です。

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ところが、そのスタイルを覆す新興メーカーが出てきました。Vanpowers 社です。同社の“City Vanture”は、フレーム一体ではなく、チューブごとに別々で、それをユーザーが組み立てる方式です。ジョイント部材に穴があいていて、ボルトとナットを使い、適正なトルクで絞めつけて組み立てます。

このことにより、部分ごとに色を変えるなどカスタマイズすることが出来ます。DIYが好きな人なら、自分でつくる喜びを感じるでしょう。メーカーに組立を依頼することも出来ますが、自分で組み立てをするぶん、価格が安くなっているので、リーズナブルな価格で手に入れることが出来ます。( ↓ 動画参照)

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一般的に、溶接でつなぐ部分をネジ止めするわけです。金属を高温で加熱して溶接すると、どうしてもその部分が弱くなり、長年の使用で破断したりします。この溶接をなくしたことで、接続の精度も上がり、振動などによってフレームが破損するリスクが下がるのだそうです。

この“City Vanture”は、スポーティな電動アシストバイクで、例えばダウンチューブにバッテリーが組み込まれていますが、バッテリーが劣化したら簡単に交換することも可能です。全体の梱包もコンパクトに出来るので、梱包費や輸送費の軽減にもなり、価格低減に貢献しています。( ↓ 動画参照)





Roetz 社の電動アシスト自転車、“Life”も組立式です。同社はモジュラーシステムと呼んでいます。フレームまで分解・組み立て式にしているのは、廃棄物を少なくする目的です。劣化したり破損した部分は、そこだけを交換することで、半永久的に乗り続けられるように設計されています。

自転車は環境に優しい乗り物です。しかし、年間莫大な台数が廃棄されています。このことは環境負荷を上げてしまいます。そこで、仮に廃棄する場合でも、一台丸ごと捨てるのではなく、最低限の部分だけを廃棄することで、大幅に自転車としての廃棄物を減らせるという考え方です。

Roetz-LifeRoetz-Life

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他社の電動アシスト自転車は、アシストモーターなどが一体になっているものが多く、どうしても自転車ごと廃棄されることになります。モジュラー式ならば、必要な部分を交換・修理して使い続けられるというコンセプトです。全てのモジュールが簡単に分解・交換できるようになっています。

将来的にパーツがアップグレードされたり、より多くの種類のモジュールが利用可能になっても、部分的に交換するだけでいいので、全体を買い替える必要はありません。モジュールの交換によって、通常の電動アシスト自転車から、電動のカーゴバイクに再構成するような使い方も構想しています。

Roetz-LifeRoetz-Life

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不要になった部分、変えたい部分を交換しながら、元の自転車を乗り続けることが出来ます。耐久性にも配慮しており、バッテリーなどの消耗品部分など、最低限のモジュールを交換しながら乗り続け、ユーザーが一生乗れる自転車にしたいと考えているのです。

モジュール式で、なるべく自転車としてはシンプルな構造にする一方、例えば前後のタイヤの圧力をセンサーで監視しています。これにより、パンクを未然に防ぐことが出来ます。他に油圧ディスクブレーキの摩耗を検知したり、整備が必要になれば知らせるなど、故障やトラブルを極力防ぐためのシステムが搭載されています。

( ↓ 動画参照)


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自転車は、そもそも組立式であり、部品ごとに交換できるわけですが、両社の製品は、従来は一体だった部分まで分けることで、新たな価値を生み出そうとしています。これも一つの考え方と言えるでしょう。自転車のフレームの概念も、変わっていくのかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

日本のベンチャー、ispace 社が26日未明に目指す民間初の月面着陸、上手くいくでしょうか。期待が高まります。

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