April 28, 2023

タイヤが3つあることの恩恵

自転車は2輪だけとは限りません。


例えば3輪、トライクというのもあります。ただ、日本で走行しているほとんどの自転車は2輪で、トライクは滅多に見かけません。2輪で十分ですし、むしろ3輪だと駐輪ラックにとめられないとか、歩道を通るのに邪魔になるなど、不便だったり、面倒ということがあるのでしょう。

3輪独特の使いにくさや挙動ということもあります。カーブで車体を傾けると、2輪の片側が持ち上がってしまい、曲がりにくいといった特性です。トライクには、前2輪と後2輪がありますが、前2輪のトライクには、こうした特性を克服するようなステアリングシステムを導入したものなども登場しています。( ↓ 動画参照)

BiTrikeBiTrike



2輪で十分で、わざわざ使いにくい3輪にする必要はないという人がいる一方で、3輪ならではの利点、メリットもあり、それを活かすことを考える人もいます。あまり3輪の人気は高くなく、利用は限られていますが、もう一度見直してもいいのではないか、と考える人たちもいます。

ギリシャのテッサロニキという街に住む自転車デザイナー、Kostas Simelidis さんとそのグループもそうです。これまで、自転車に連結するトレイラーや、前2輪のトライクも制作してきましたが、“BiTrike”は、新たに開発された、後2輪のトライクです。

BiTrikeBiTrike

BiTrikeBiTrike

“BiTrike”は、普通の自転車のような挙動をする、Tilting trike 、車体を傾けられる、後2輪のトライクです。普通の2輪の自転車と同じようなバランス感覚で乗れる一方で、3輪の安定感があります。これまでの後2輪のトライクのような、地形や走る場所についての制約はありません。

カーブなどで車体を傾けても、後輪の片側の車輪が浮き上がらないような機構を新たに開発し、特許をとりました。2輪のように走れるだけでなく、大きな荷物を積める荷台も装備しています。3輪ならではのメリットでしょう。近年のニーズに応えるため、電動アシスト機構も搭載しています。( ↓ 動画参照)



BiTrikeBiTrike

普通の自転車として使っても、積載量が大きいという利点があります。カーゴバイクとしても使うにも、一般的なカーゴバイクよりも車体長が短いので扱いやすいのが長所です。これは一定のニーズが見込めるのではないでしょうか。(ちなみに、サイズ的な理由で、“BiTrike”は日本で歩道走行は出来ません。)

その一つは、高齢者のニーズです。3輪ならば安定するので、脚力の弱い高齢者が乗ってもフラつくことを防げます。停止していても転倒することがありません。普通の2輪に乗れたとしても、安全のため3輪に乗るという選択肢はあるはずです。

(日本で売られている大人用3輪自転車の例 ↓ )
大人用三輪車
大人用三輪車


そして荷物をたくさん積んでも安定して走行出来ます。日本でも近年問題になっていますが、高齢者がクルマの運転免許を返納した後の、ふだんのアシとして重宝するでしょう。普通の自転車でもいいですが、安定性や買い物などを考えたら、トライクには一定のアドバンテージがありそうです。

個人的に思うのは、より高齢になっても乗り続けられるという点もメリットだと思います。それを感じるのは、この“BiTrike”ではありませんが、3輪を愛用している、オランダはアペルドールンという街に住んでいる、御年90歳の、Peter Burkhardt さんです。

Peter BurkhardtPeter Burkhardt

彼は、毎日片道1時間かけて、17キロ離れた養護施設に入所している妻、Clara さんに会いに行きます。雨が降っていてもレインジャケットを着て出かけます。寒さも気になりません。本当に酷い天気の時はタクシーに乗るか、息子の運転するクルマに乗りますが、それは滅多にありません。

彼は毎日出かけます。理由は妻に逢って一緒にいたいからと話します。結婚して63年になるそうですが、毎日一緒にいたいのです。往復で2時間、強風の日にはさらに時間がかかりますが、関係ありません。灼熱の夏の日だろうと、雪の降る寒い冬の日だろうと、毎日出かけるのです。

90 year old man drives his bicycle 2 hours everyday to visit his wife in the hospice.MadeMeSmileu / kleutscher
によって


以前、濡れた路面の落ち葉で滑って転倒してから3輪車にしました。90歳でも毎日自転車に乗れる背景には、3輪ということがあるわけです。父のことを理解している彼の息子たちも応援してくれています。毎日自転車に乗ることが、父親の健康にも貢献していると感じています。

高齢になっても自転車に乗れるのは、むしろ自転車に乗っているからこそ高齢になっても元気ということがあるかも知れません。いずれにせよ、毎日自転車に乗るモチベーションがあるのは素敵なことですし、それを支えているのがトライクというわけです。

Peter BurkhardtPeter Burkhardt

高齢になっても買い物のアシになったり、好きな所へ出かけられる手段として、トライクというのは、もっと普及してもいい気がします。日本では歩道走行という特殊事情はありますが、サイズ的な要件さえ満たせば、トライクでも歩道走行は出来ます。

運転免許を返納しても移動に困ることがなく、高齢者のクルマの運転でしばしば起きる事故の悲劇を防ぐだけでなく、より健康・長寿に貢献することが期待出来ます。日本では高齢者にあまり人気がないのかも知れませんが、フラつくなどの危険も避けられて荷物も運べるトライクは、見直してもいいと思います。




◇ 日々の雑感 ◇

エンゼルス大谷翔平選手は3安打で投げては無傷の4連勝、ただサイクルヒットまであと1m、惜しかったですね。

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