前回は定番商品について取り上げましたが、昔からある自転車用品ではないもの、すなわちサイクリングや自転車生活に新しい付加価値をもたらそうとする商品も開発されています。近年の技術の進歩や、ライフスタイル、生活様式の変化なども背景にあるのでしょう。
こちら、“
Punks”はイヤホンではなく、耳の近くに置いて聞くオーディオスピーカーです。サイクリスト向けに開発されたワイヤレス通信システムでもあります。音楽などを聴くだけでなく、一緒に走行する仲間とグループ通信で、走行しながら声をかけあったり、自分のスマホにかかってきた電話に応答することも出来ます。


昔であれば、無線機とバッテリーを積むか背負って走行するしかなかったと思いますが、今はスマホがあります。自分のスマホのアプリを通じて音声でのやり取りが出来ます。文字によるチャットだと、画面を見ることになるため走行中は危険ですが、音声なら視界を妨げることはありません。
かと言って、イヤホンを使うと耳をふさぐ形になってしまい、周辺の物音が聞き取りづらくなり、危険の回避などの点でリスクを負うことになります。これは、ヘルメットのストラップ、あごヒモに取り付けることで、耳の前に小型のスピーカーを配置する形でイヤホンの弊害をなくしています。


プッシュトークやパーティーモードなどが用意され、一緒に走行する仲間とコミュニケーションがとれます。もちろん、家にいる家族と通話したり、地球の裏側にいる友達とリアルタイムに会話することも可能です。とてもクリアな音質だそうで、風切り音などを防ぐ工夫もこらされています。
市場に出回る、ほとんどのヘルメットのストラップに装着できます。ワイヤレスイヤホンのように耳から外れて落ちる心配もありません。トランシーバーと違って、携帯電話のネットワークを利用しますので、相手との距離の制約もありません。小型で軽量、防塵・防水性能にも優れています。
例えば、ハンドルバーに装着するスピーカーだと、必然的に音が大きくならざるを得ず、周囲の騒音になりかねません。こちらは耳元で鳴るだけなので、騒音とならないのも長所でしょう。走行中に手袋をしたまま操作できるなど、細かい配慮もされています。こういうニーズのある人には魅力的でしょう。
クラウドファンディングでは、つい先日締め切られ、目標の7倍を超える金額に達しています。自転車に乗りながら仲間とコミュニケーションするのも、これならぱ簡単で便利そうだと感じさせ、そういうニーズを掘り起こした部分もあったのかも知れません。

こちらは、“
RIDEO”、いわゆるキッズ用のバランスバイクです。バランスバイクとは、ペダルがついておらず、地面を足で蹴って進むタイプの自転車です。ペダルのついた自転車に乗る前に乗るもので、自転車の練習用にも最適とされています。自転車用品ではありません。
これまで、同種のバランスバイク、キックバイクは、子どもが自宅の近所とか近くの公園などまで行って乗るものでした。つまり、持ち運んで使うようなものではありませんでした。それをこの製品は、どこでも使えるように、折りたたみ式で持ち運べるようにしました。

親が持ち運んで使うアイテムに変えたわけです。自転車用品とは言えませんが、ある種の新しいアイテム、これまでにないスタイルで使う道具にしたと言えるでしょう。クルマに積むだけでなく、ベビーバギーのポケットに入れて運んだり、肩から提げて持ち運ぶことを想定しています。
子どもが、家の近所や近くの公園でしか使わないキッズバイクと違い、親が出先で子どもを遊ばせるなど、これまでとは違った場所や場面でも使うことが可能なアイテムとしています。その点でユニークで、ある意味新しい自転車製品と言えるかも知れません。
こちらも、クラウドファンディングでは、まだ26日を残して目標の2倍近い金額に達しており、多くの人の関心を集めたことがわかります。意外とかさばりますし、持ち運ぼうとは考えなかったキッズバイクに、別の視点を与えた製品と言えそうです。


こちらは、“
Kvisp”、愛犬を自転車に乗せて運ぶための自転車用品です。これまでにも、前カゴなどに乗せて運ぶ人はいたと思いますが、必ずしも安全とは言えず、犬にとっても危険が伴うものでした。それを専用のキャリアとして設計し、取り付ける場所もハンドルの手前にしました。
さすがに大型犬は無理ですが、小型犬であればほとんどの犬種に対応します。独自の専用ハーネスが犬を固定し、振り落とされたりしないようになっています。一体型の安全ストラップによって、犬が飛び跳ねたり、飛び降りたりするのを防いでいます。内側のトレーは洗浄のために取り外すことも出来ます。

目的地に着いて、ストラップを外せば、ハーネスにリードを取り付けて散歩させるようなことも可能です。実は、同じ場所に取り付ける、子どもを乗せるためのシートがありますが、その専門業者と提携して安全性を確保すべくテストを繰り返しました。チャイルドシートと取り付けブランケットは共通です。
犬にとっても、前カゴに乗せられるよりも専用のシートのほうが快適でしょう。前カゴと違って、前後輪の間に位置するぶん安定し、おそらく犬も乗り心地がいいと思われます。“Kvisp” は、「尻尾を振る犬」を意味するオランダ語に由来しており、自転車に乗る犬の幸せを願って設計されています。


ペットの犬と一緒に自転車で出かけたい人は少なくないでしょう。ただ、リードをひいて自転車に乗るのは、人間も犬も危険です。普通の前カゴに乗せるのも落下や飛び出しの危険があります。今まで、小型犬用のボックスなどに入れてカゴに載せるなどの方法はありましたが、新しい選択肢ということになります。
こちらもクラウドファンディングでは、まだ17日を残して、目標の13倍近い金額に達しており、多くの愛犬家のニーズをとらえたようです。愛犬と出かけたいがためにクルマを使わなくてすむという点でも、環境のことを考える人の割合の多いヨーロッパでは関心を集めたのでしょう。
新しい価値をもたらす自転車用品、製品もいろいろ開発されています。今までにないアイテムが開発されたことにより、これまでにないサイクリングのスタイルが確立したり、新しい形での自転車生活が広がるという点でも注目されます。今後も新発想の自転車用品の登場は続くと思われます。
◇ 日々の雑感 ◇
広島サミットの前に欧州や中東を歴訪していたとは言え、戦時下のゼレンスキー大統領訪日はサプライズでした。
Posted by cycleroad at 13:00│
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