May 28, 2023

本人が気づいていないリスク

自転車に乗っていて、ヒヤリとすることがあります。


いろいろあるとは思いますが、車道を走行中にクルマに追い抜かれる時、その側方間隔が狭い時もその一つでしょう。つまり、自分からごく近いところ、至近距離をクルマが通過するような場合です。クルマが来ているとわかっていても、あまりにギリギリのところを通られると焦ることがあります。

どのくらい間隔をとって通過するべきかは、道交法では定められていません。一部に1.5m以上を推奨する条例のある県もありますが、強制力のある定めではなく、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない、と安全な通行をすることが義務付けられているだけです。

ですから、ギリギリのところを通る追い抜きは禁止ではありません。一部の国では警察が取締りを行い、安全な間隔をとって追い抜かなかった場合に違反として検挙するところもあります。ただ、危険な追い抜き全てを取り締まるのはとても無理ですし、一定の抑止効果はあるとしても、なかなか守られていないのが実情です。

側方通過側方通過

違反にならないとしても、もしあまりに近い間隔で追い抜いて接触したり、自転車に乗る人が驚いたり、風圧でフラついたりして事故になり、相手を死傷させたりすれば、クルマのドライバーの責任が問われることになります。そのような結果を招かないようにするのは、ドライバー自身のためでもあるわけです。

当然ながら、具体的な定めがなくても間隔をとり、場所によっては対向車線にはみ出して追い抜くか、減速して危険のないように追い抜く必要があります。幅の狭い道路などでは、間隔をとるのが困難かも知れませんが、減速して相対速度を小さくすれば、比較的安全に追い抜けるはずです。

日本では、自転車は歩道走行するものと思っているドライバーが少なくありません。半世紀以上、歩道走行できたことも背景にあるわけですが、自転車が車道を走行していると邪魔だと思うドライバーや、対向車がいて追い抜けず、イライラする人もいます。中には、嫌がらせで、わざと至近距離を通過するような人もいます。

This image is in the public domain.Photo by Zondag2000,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

特にヒヤリとするのはトラックやダンプカー、バスなどの大型車両でしょう。高さもあって圧迫感がありますし、スピードが速ければ、相応の風圧を受けるので、車道走行に慣れている人でもフラついたりしかねません。逃げ場もなく、命の危険を感じるケースもあると思います。

嫌がらせでやるような人には腹が立ちますが、必ずしもそうとは限りません。追い抜く時の間隔が狭かったとしても、接触しなければ問題ないと思っていたり、それほど危険だと思っていない人もいるはずです。相手がヘルメットを着用したロードバイク乗りだと、追い抜く間隔が狭くなるドライバーが多いという調査結果もあります。

Photo by Bidgee,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.This image is in the public domain.

これは日本に限ったことではありません。どこの国でもある話で、当然ながら死傷事故も起きています。中には接触したことに気づかず、結果としてひき逃げ事件となるケースもあります。そして、事故になって初めて、自分が危険な運転をし、大きなリスクを冒していたと悟るわけです。

そこで、メキシコのサン・ルイス・ポトシ市では、大型バスなどの運転手に、いかに危険か、自転車に乗る人の脅威となっているかを体験させる取り組みが行われています。市の交通局が、バスの運転手などに対する講習で、実際に怖さを体験させます。( ↓ 動画参照)



体験では自転車ではなく、エアロバイクを使います。室内でのトレーニング用のペダリングマシンです。止まってペダルをこぐだけなのでフラついたりすることはなく、危険はありません。しかし、動画を見ると、その恐怖を十分実感したと思われるリアクションをとっています。

San Luis

体験した運転手は、この危険性に気づき、安全な運転をするようになるなどの効果が見られると言います。市民からも大きな支持が寄せられ、バスだけでなく、大型トラックの運転手などにも講習を受けさせてほしいとの声が上がっているそうです。



こちら、南米ボリビアでも同様の講習が行われています。今いち距離が離れていますが、それなりに速度差や風圧は感じたでしょう。ふだん自転車には乗らないドライバーも多いでしょうから、間際を追い抜かれるサイクリストの気持ちも、少しは理解できたのではないでしょうか。( ↑ 動画参照)

これは、なかなかいい取り組みだと思います。広く大型車両の運転手向けに行うべきです。怖がらせるのが目的ではなく、ふだんの自分の運転を、サイクリストがどのように感じているか、脅威を与えていたか理解できるでしょう。事故になる危険性、自分がとっているリスクを実感するに違いありません。( ↓ 動画参照)



日本でも、ぜひ導入してもらいたいものです。各バス会社、運輸会社などが実施するだけでなく、大型の免許更新の時の講習に含めてもいいのではないでしょうか。感じ方は人それぞれとしても、少なくとも追い抜く時にスピードを落としたり、気をつけることにつながることが期待でき、事故減少に貢献するのではないでしょうか。




◇ 日々の雑感 ◇

自転車で出かけるにもいい季節です。来月になれば梅雨入りも近づきますし貴重な晴れを活かしたいところです。

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