June 06, 2023

既存のものでは満足できない

何事にも飽き足らない人はいます。


自転車の世界でも、普通に道路で自転車に乗ってサイクリングしたり、レースをするだけでは満足しない人たちがいます。例えば、1970年代のアメリカ・カリフォルニア州に、自転車に乗って道路を走っているだけでは飽き足らなくなった人たちがいました。

そこで、それまであった実用車やビーチクルーザーなどに太いタイヤを取り付け、急こう配の山を下ってタイムを競う遊びを始めました。これがマウンテンバイクのルーツとされ、自転車の種類としてのMTBも、その遊び方に即して改良され発展してきたわけです。

Photo by Steve Bennett,under the GNU Free LicensePhoto by 	Lucifersworld,under the GNU Free License

やはり1970年代、アメリカ・カリフォルニア州の子どもたちは、それまでにない自転車の乗り方、遊び方として、当時の20インチのクルーザーバイクに乗って、モトクロスの真似事をして遊んでいました。これが広がり、Bicycle Motocross、すなわちBMXになったと言われています。

映画、「E.T」に出てくる空を飛ぶ自転車と言えば、どんなタイプの自転車かピンとくる人も多いかも知れません。車種としてのBMXも遊び方に応じて、いろいろと改良されてきました。BMXの競技としては、レースとフリースタイル系に分かれています。

This image is in the public domain.Photo by Phil Moore,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

フリースタイルは、さらにフラットランド、パーク、ストリート、トレイル、ヴァートなどに分かれています。フリースタイルはレースではなくワザを競うものなので、レース用の車体からさらに専用の競技向けに特化する形で分かれ、独自に発展してきています。

例えば、デタングラーもしくはジャイロと呼ばれるパーツはフリースタイル専用の部品です。ハンドルを空中でクルクル回しても後輪ブレーキのワイヤーが絡まなくするパーツです。ペグも専用部品で、前輪や後輪のハブ軸に取り付けて足場にしたり、手で掴むために使う部品です。

Photo by TAKA@P.P.R.S,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by 	Fabrizio Tarizzo,under the GNU Free License.

MTBもBMXも、元々あった自転車から派生して新しいスタイルになった自転車、あるいは競技ということになります。BMXのフリースタイルなどは、ジャンプしたり宙返りしたり、ロードバイクとは全く違う動きをするわけで、同じ自転車とは思えないジャンルになっています。

さて、そのBMXにも飽き足らず、もっと違う乗り方が出来ないかと考える人がいます。X Games パークのメダル最多獲得記録を持つBMXの元選手、Scotty Cranmer さんらです。MTBやBMXで、ホッピングとか、ポゴという、その場で飛び上がるワザがありますが、それ専用とも言うべき自転車、遊び方です。

Scotty CranmerScotty Cranmer

Scotty CranmerScotty Cranmer

なんと、タイヤがありません。自転車のフレームは使われていますが、もはや自転車と呼ぶべきかも迷うような変わりようです。タイヤの代わりに板バネのような部品が取り付けられています。タイヤが無いため不要なチェーンもついていません。

これで移動出来ないとは言いませんが、水平方向に移動するのには向きません。ただひたすら上下方向へジャンプする、つまりポゴするためのポゴ・バイクです。少しでも高く飛び跳ねたいというニーズに応えます。やったことがないのでわかりませんが、BMXの愛好家なら面白く感じるのかも知れません。( ↓ 動画参照)



動画の後半に出てきますが、ジャンプをしながら障害物を飛び越えたり、トリックを決めるような新しい遊び方も出来ます。これが新しい自転車のジャンルになるかはともかく、BMXからポゴに特化し派生した新しい自転車、あるいは遊び方と言えそうです。しかし、飽き足らないとは言え、タイヤを無くすとは突き抜けた発想です。

ちなみに、Scotty Cranmer さんは2016年、競技中に大ケガを負いました。トリックを決めた後に穴にタイヤをとられ、頭から着地してしまい、頭部と脊髄を損傷しました。現在はほぼ健常者と言えるほど回復しましたが、依然として身体の一部に麻痺が残っています。

Scotty CranmerScotty Cranmer

しかし、それにへこたれることなく、現在は、Xゲームを含む多数の大規模 BMXイベントでコメンテーターを務めたり、若手ライダーを指導したり、ショップを経営したり、YouTuber として自身のチャンネルで定期的に発信するなど、BMXに関するさまざまなキャリアを重ねています。

彼のオリジナルのブランドは、“CantSlowDown”です。自分自身や他の人達に、人生を当たり前だと思わないように動機付け、鼓舞するフレーズです。毎日自分自身に挑戦し、最高の自分になるため、そこに到達するために必要なことは何でもするし、自分が生きていることがどれほど幸運であるかを思い出したいと名付けました。

Scotty CranmerScotty Cranmer



ポゴバイクだけでなく、パークにトライクを持ち込んでみたり、"Roller Coaster Bike"と名付けた、自転車に乗ったまま宙返りしてしまうような自転車を制作してみたりと、単なるBMXではなく、これまでにない新しいスタイルにも挑戦しています。( ↑ 動画参照)

普通の自転車に飽き足らない人は、彼だけではありません。おそらく世界中で新しい遊びを考え出そうとしている人がいるはずです。一般的なクルーザーバイクからMTBやBMXが派生したように、さらにBMXなどが細分化し、新しい自転車、新しい遊び方が生まれてくることになりそうです。










◇ 日々の雑感 ◇

調査が進む吉野ケ里遺跡の石棺墓、魏志倭人伝に出てくる邪馬台国の卑弥呼の墓なのか期待が高まります。

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