何らかのニーズがあれば、それが簡単には実現できないものだったとしても発明、アイディアや工夫をこらすことで実現されることは少なくありません。必要に迫られば、なんとか実現しようと考える中で、何かしらの発明やブレークスルーが生まれることになるのでしょう。
そして、世の中にニーズは多く、多様です。自転車用品などを見ていても思いますが、定番で誰もが必要とするもの以外にも、実にいろいろなニーズを満たす製品があります。自分では必要と思わなかったり、思いもよらないような製品もあって、ニーズは人それぞれ、多種多様だとつくづく思います。
こちらはヘルメット、“
Inflabi”です。ただのヘルメットではありません。これは空気を入れて膨らませて使うインフレータブル・ヘルメットです。シティサイクルなどで着用していない人、かぶりたくない人は大勢いますが、かぶるのであれば、普通のヘルメットでも良さそうに思います。
しかし、このヘルメット、小さくたためるという大きな利点があります。重さもわずか140グラムしかありません。一般的なヘルメットと違い、自転車を降りた後の持ち運びやすさに優れています。そのまま置いておけば盗まれそうだし、持ち歩くにはかさばるし、バッグなどにも入らず面倒だと感じる人は少なくないでしょう。
膨らませて使うと聞くと、浮き輪などを思い浮かべて、クッション性はあったとしても衝撃には弱そうで、頼りなく思えてしまいます。しかし、この“Inflabi”、従来のフォーム代替品と比べて4倍の衝撃吸収性があると評価されています。年内にも欧州の“EU1078 安全認証”を取得する予定です。
折りたためるヘルメットというのは、これまでにもいろいろ開発されていますが、これは空気を抜くことで、かなりコンパクトになりそうです。一方で、しぼんだ状態から約20秒で使用可能になります。持ち運びやすさという点を重視する人などに対してニーズはありそうです。
こちらは、“
Bike Tow Kit”、自転車を牽引するためのアクセサリーです。トレイラーではなく、もう1台自転車を連結して走行することが出来ます。たしかに、日常生活の中で、2台の自転車を1人で運ばなければならない場面というのも考えられます。
例えば、雨が降ったり飲酒したため、駅の駐輪場にとめたまま帰って来てしまったため、家族の自転車を借りて駅まで自転車で自転車を取りに行くような時です。他にも、駅まで2人で2台の自転車で行って、見送った後、その自転車を引き取って持ち帰るようなこともあるかも知れません。
子どもと一緒に、それぞれの自転車に乗って出かけたものの、途中で子どもが疲れてしまうという場面も想定されます。そんな時でも、子どもを後部座席に乗せ、同時に子供の自転車を牽引することが出来るのであれば、安心して帰ってくることが出来るでしょう。
普通の自転車で、1人で2台を運んでいる人を見たことがあります。片手でハンドルを握り、もう片方の手で別の自転車のハンドルを握り、器用に走らせていました。しかし、ブレーキか上手くかけられなかったり、上手く並走させられずに倒れてしまうなど、危険が伴うのは確かです。
そんな時に、このキットが取り付けてあれば便利でしょう。前輪は外すため、クイックリリースである必要がありますが、安定して牽引することが出来ます。果たして、どれほどのニーズがあるのかという気もしますが、製品として売られているので、一定の需要はあるのでしょう。
エアロバイクを使って室内でペダリングしてトレーニングする人もあるでしょう。ただ、ペダリングするだけだと、どうしても下半身だけを動かす形になって、上半身を鍛えられないと感じる人もあるはずです。ペダリングしながら、上半身を別の運動で鍛えたいというニーズもあるかも知れません。
こちらは、“
CYCLE BOXER“、ペダリングにボクシングを組み合わせています。この組み合わせに意表を突かれたのは私だけではないと思います。果たして、サドルにまたがったままパンチが安定して繰り出せるのか、力が入るのか、などいろいろ考えてしまいます。これはなかなか思いつかない気がします。
ボクシングをやる人なら、フットワークも使いながらサンドバッグを打てばいいでしょう。ペダリングに加えて上半身も鍛えたいという気持ちはわからないでもないですが、それをボクシングにするとは独特の発想です。トレーニングに加えて、ストレス発散が出来るという利点があるのかも知れません。
どれもそうですが、いろいろなことを考える人がいるものです。製品として売られているものは、それなりのニーズがあるのでしょう。万人向けではないものの、ニッチなニーズに応えてみたら、案外売れたりすることもあるのかも知れません。誰も考えていなかったような、新たなニーズが生まれることもありそうです。
もちろん、ニーズがあると想定して開発し、製品化したものの実際には売れず、人知れず消えていく製品も数多くあるに違いありません。つまり、失敗作です。しかし、『失敗は成功のもと』とも言います。数々の失敗、試行錯誤のおかげで、自転車生活が豊かになっていくとも言えそうです。
◇ 日々の雑感 ◇
JAXAは「H3」の打ち上げ失敗、イプシロンS燃焼試験で爆発と重大事故が続いています。成功して当然と見られる辛さはあるでしょう。必ずしも緩んでいるわけではないと思いますが、失敗の連鎖を立ち切ってほしいものです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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