August 11, 2023

自転車観光を差別化する手段

行楽客のあふれるシーズンです。


近年は日本でも、自転車を使って観光振興を図ろうと考える自治体が増えています。このブログでもさまざまな事例を取り上げてきました。インバウンド、訪日外国人観光客も増加し、コロナ前の水準に近づいています。この人たちを引き寄せたいと考えている地域も多いに違いありません。

日本人には見慣れた光景ですが、訪日外国人にとって、日本の変化に富んだ自然は魅力的です。東京や京都だけでなく、少し足を伸ばして、日本各地を見て回りたいというニーズも高まっています。自転車は、そんな時に有効な移動手段の一つでもあります。

電車や路線バスなど公共交通機関が充実していない地域でも、自転車があれば、あちこち見て回れます。自転車に乗るという体験も含め、インバウンドに人気となっているサイクリングコースもあります。自転車をアピールすることは、インバウンドを惹き付ける重要なファクターにもなりえます。

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もちろん、日本人の観光客も対象です。メジャーなサイクリングコースや観光スポットを自転車で巡るツアーなどは近年人気が高く、各地の自治体が競って自転車をアピールする状態となっています。観光地渋滞にはまらず地域を周遊できますし、バスなどの時刻表と関係なく見て回れるのも便利です。

自分の愛車に乗ってきたり、輪行で訪れるサイクリスト以外は、現地で自転車を借りることになります。観光地や、自転車で観光振興をしようという自治体は、当然ながらレンタサイクル、シェアサイクルなどを整備することになるでしょう。

ただ、レンタサイクルと言っても、現状では多くの地域で画一的です。日本人は、自転車と言えばママチャリだと思っている人が多いので、ほとんどはママチャリを貸し出しています。少し良くてもシティサイクルでしょうか。大多数のレンタサイクル、シェアサイクルがあてはまると思います。

小径車
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そこで、貸し出す自転車の種類を変えてはどうでしょう。例えばスポーツバイクを貸し出すのです。初めてスポーツバイクに乗った人は、その軽さや速さ、快適さに驚くに違いありません。目から鱗が落ちる人も多いはずです。そして、自転車に乗る体験が、ずっと楽しくなるに違いありません。

楽しい思い出が残れば、リピートも期待できます。近年はスポーツバイクの認知度も上がりつつあり、乗ってみたいと思う人もあるでしょう。ただ、なかなか試乗できる機会がないのが実情です。どこかに旅行に行くことで、スポーツバイクに乗ってみることが出来るとなれば、それだけで訪問の理由になるかも知れません。

一部には出てきているようですが、まだまだ少ないと思います。スポーツバイクに乗ってみたい人だけでなく、ふだんスポーツバイクに乗っている人も、ママチャリでないならば、レンタルは選択肢になると思いますし、旅行先を選ぶ要素の一つとなる可能性があります。

Trimtab3X3Trimtab3X3

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さらに、スポーツバイクでも、珍しい車種を貸し出すという手も考えられます。いろいろありますが、例えば、リカンベントです。趣味のサイクリストならば知っていると思いますが、なかなか貸すところもないですし、乗ったことがない人は多いに違いありません。

例えば、ふだんロードバイクに乗っている人などでも、リカンベントに乗れるとなれば、関心が湧くのではないでしょうか。リカンベントに乗ったことがない人は多いと思いますが、3輪ならば比較的乗りやすいと思います。ベロモービルとして分類される自転車も有力な集客要素となる可能性があります。



フェアリングのついたリカンベントならば、途中で突然雨が降ってきても平気ですしスピードも出ます。画像は、“Trimtab3X3”というフェアリング付きのリカンベント、もしくはベロモービルです。もちろん、これに限るわけではありません。ヨーロッパなどでは、いろいろなタイプのリカンベントやベロモービルが売られています。

さらに、特殊な自転車を用意することも考えられます。こちら、Chen Liu さんという人が考えた“Solectrike”という自転車のコンセプトモデルです。これは、ビーチや海岸沿いを散策するための3輪の自転車です。目的の場所に着いたら、前後を切り離すことが出来ます。

SolectrikeSolectrike

Solectrike
Solectrike

エネルギーモジュールのほうは、最寄りのソーラーステーションに駐輪しておけば、充電できます。そして残ったビーチモジュールのほうを引いて、ビーチに行けば、リクライニングチェアのように使えるのです。日よけ用のパラソルや飲み物を入れるクーラーボックスなど、ビーチでくつろぐ装備が揃っています。

ホテルからビーチまで、クーラーボックスと、パラソルと、リクライニングチェアを持って行くのは大変です。それが全部自転車としてセットになっており、こいで行けます。貸出場所の近くでなくても、好きな場所でくつろげます。これはビーチリゾートに、持ってこいの自転車と言えそうです。( ↓ 動画参照)



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まだ製品化された自転車ではなく、コンセプトモデルに過ぎませんが、ビーチ専用の自転車という発想はユニークです。ビーチリゾートならば、こうした自転車を製造して貸し出せば、一つのサービスとなりますし、話題にもなるのではないでしょうか。

もう一つ、こちらもコンセプトデザインですが、“BIKE GUIDE”という自転車です。こちらは、Jihwan Yun さん、Kukil Han さん、Daehyun Kim さん、Bojoong Kim さんという4人の韓国人デザイナーによるものです。その名の通り、観光地で自転車ガイドツアーに使うことを想定しています。

BIKE GUIDE

BIKE GUIDE

BIKE GUIDE

BIKE GUIDE

一つの大きな電動の車体には、6台の電動アシスト自転車が組み込まれています。ツアーガイドが運転席に乗り、お客がそれぞれのサドルにまたがりペダルをこぎます。同行者と一緒に走行でき、観光案内なども見たり聞いたり出来ます。目的地に着いたら一台一台を分離し、それぞれで走行して観光することも出来ます。

こちらも、なかなかユニークな発想です。一般的なガイド付きの自転車ツアーだと、縦に連なって先頭をガイドが走り、観光客がついていきます。走りながらスポットの説明などをするのは困難ですし、信号などで途切れたり、はぐれたりしかねません。これならその心配はありません。



地域にシステムとして導入するならば、域内のステーションからリクエストし、迎えに来てもらうようなことも出来るでしょう。貸自転車のデリバリーのようなスタイルです。グループで移動してもよし、スポットに着いたら別々に走行してもよし、まさに観光地御用達の自転車と言えるでしょう。

それぞれ、コストの関係などで簡単ではないと思いますが、観光地で普通のママチャリを貸すだけでは芸がありません。これだけ多くの自治体が自転車による観光振興に力を入れている中で、差別化、集客能力の向上のためにも、オリジナルの自転車を貸すことを考えてみてもいいのではないでしょうか。




◇ 日々の雑感 ◇

甲子園では熱戦が続いています。年々暑さが過酷になるようで選手は大変ですがやはり夏が来た感じがします。

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