August 17, 2023

知らなくて乗らない人がいる

人によって思い込みがあります。


多くの人の考える一般的な認識だろうと思っていたことが、必ずしもそうではなく、自分の思い込みだったりすることもあります。常識的に考えて、自分には無理とか、やるべきではないと考えてしまうこともあると思いますが、もしかしたら、それは単なる思い込みかも知れません。

ある集まりで、定年退職間近という人と、たまたま話す機会がありました。定年後の楽しみを模索しているそうで、話の流れで趣味を聞かれたので、自転車に乗り始めてみてはいかが?と提案してみました。すると、その人はやんわりと否定し、年齢的に自転車に乗るなんて無理とおっしゃいます。

私も無理に勧めるつもりはなかったのですが、必ずしも自転車に乗ることに興味がないわけではなさそうでした。むしろ多少は関心があったようで、難しいでしょうとか、この歳で始めるのも恥ずかしい、サイクルウェアなんて、とても着れないなどとおっしゃいます。

そこで、彼の誤解を解くために自転車に乗り始めるのに遅いことなんてないという話をしました。無理強いするつもりはありませんが、興味はあるのに、年齢的に遅いとか、若い人が乗るものだとか、難しいなどと思い込んでいるとしたら、それは損をしています。そのときに話したのは次のような内容です。

ポタリングポタリング

日常のアシとしてのママチャリではなく、スポーツバイクに乗っているのは若い人ばかりではありません。ヘルメットをかぶっているので通りすがりにはわからないことも多いですが、中高年の方で、ロードバイクなどに乗っている人は決して珍しくありません。

若い時から趣味で乗っていた人も多いと思いますが、定年退職などを機に、ある程度の年齢になって始める人も、特に最近は増えていると言います。年齢によって無理というようなことはありません。若い人のスポーツというイメージがあるのでしょうが、老若男女、いつでも誰でも始められます。

ママチャリより乗りにくく感じるかも知れませんが、最初だけです。むしろ慣れたら、ママチャリには戻れなくなります。必ずしもロードバイクにする必要もありません。クロスバイクなどなら、もう少し乗りやすいと思いますし、3輪のトライクなどもあります。自分に合った車種を選べばいいのです。

もし身体を動かしたいと考えているなら、自転車は最適と言ってもいいでしょう。ランニングと比べてヒザへの負担が圧倒的に低いのが利点です。ランニングは、毎回の着地の際に、体重の3倍の衝撃がヒザや足首などにかかりますが、自転車は負荷が断然少なく、ヒザなどを痛めて断念に追い込まれることはありません。

ポタリングポタリング

必ずしもスピードを出す必要もありません。サイクリストが颯爽とツーリングしているイメージがあるかも知れませんが、自分の体力の範囲で、のんびり自転車散歩(ポタリング)するのも楽しいものです。徒歩の散歩より遠くまで行くことが出来ます。知らない街を探検するのもいいでしょう。

車道走行が怖いと感じる人もいますが、それも慣れの問題です。ただ、交通量が多くて自転車の走行空間に乏しく、危険が伴う道はたしかにあります。それならば、河川敷のサイクリングロードなどの安全な道、クルマがあまり通らない道などを選んで走るのも手です。

スポーツバイクに乗ったことのない人は、ピンと来ないかも知れませんが、乗れば自転車本来の楽しさを実感するはずです。ママチャリにも利点はありますが、どうしても車体が重く、坂なども含め快適に走行できない部分があります。スポーツバイクに乗ってみれば、その快適さに目から鱗が落ちるでしょう。

サイクリングが健康にいいのは間違いありません。心臓や血管の健康を改善し、心疾患や脳血管の障害、糖尿病などの慢性疾患のリスクを軽減します。心肺機能が上がり、血圧やコレステロール値を下げることにも貢献します。しばらく乗り続ければ、その健康効果を実感するに違いありません。

Robert MarchandRobert Marchand

年齢を重ねるにつれ、運動能力や敏捷性は低下するでしょう。しかし、自転車に乗っていれば、それらの体力的な衰えを大きく遅らせます。ムキムキにはなりませんが、適度に筋肉がつきますし、体幹が鍛えられ、つまづいたり転倒したりして骨折するリスクを下げることも研究で明らかになっています。

定年退職して家にこもりがちになったりする人もいますが、自転車に乗ることで外出したり、人と会ったりするなど、外向的になる効果も見込めます。社会的な孤立を防いだり、地域の活動に参加するなど、生きがいが得られたという人も少なくありません。うつ病を防ぐなどメンタルにもいいことがわかっています。

ママチャリを日常のアシとして使うのとは違う、スポーツとしての自転車の世界があります。あるいは、趣味としての自転車の楽しさがあります。実際にやってみないことにはピンと来ないかも知れませんが、少しでも興味があるなら、ぜひ体験してみることをお勧めします。

バイデン大統領バイデン大統領

自転車に乗ることそのものを趣味にする必要はありません。街を散策したり、写真を撮ったり、食べ歩きをしたり、何かの趣味と組み合わせて、その移動手段にもなります。クルマの運転免許を返納したとしても、移動の自由が確保できます。ロコモティブシンドロームを防ぎ、生活の質を向上させるでしょう。

余計なお世話と言われるかも知れません。私も無理に勧めようというのではありません。しかし、趣味の自転車なんて若い人のものとか、中高年になって始めるなんて常識外れとか、危ない、世間体が気になるなどと言う人もいますが、それらは思い込みです。少なくとも試してみてもいいのではないでしょうか。

もちろん、定年退職して始めるものの候補はいろいろあるでしょう。好きなことをやればいいと思います。ただ、自転車に関しては、特に日本人は誤解や思い込みが多い気がします。正しく認識せずに敬遠しているとしたら残念です。欧米には中高年で自転車を楽しむ人がたくさんいます。

バイデン大統領バイデン大統領

ちなみに、アメリカのバイデン大統領は80歳、彼も自転車好きです。以前、立ちゴケして世界中に報じられましたが、立ちゴケは普通のことです。靴をペダルに固定する器具や用具があるのですが、それが外れなかっただけです。その後も自転車に乗って楽しんでいるのが報じられています。

おそらく、読者の方の周りにも、自転車に乗るなんて思ってもみない人がいるのではないでしょうか。中高年であっても、自転車を始め、その楽しさに目覚めたり、健康になったり、そして乗り続ける人は少なくありません。もし機会があったら、是非そういう選択肢があることを教えてあげて下さい。




◇ 日々の雑感 ◇

猛暑が戻ってきています。自転車で走っていると、発汗を感じず気づきにくいので、熱中症対策は不可欠ですね。

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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんばんは.

近年のスポーツ自転車の乗り手を見ていると,若い世代より中高年世代,それも数十年来のベテランとか,何十年ぶりかで復帰したとみられる層が目立つようになっています.

まさに生涯スポーツの典型であり,それは決して悪くはない事ですが,やはりスポーツとしての自転車自体が多くの少年少女世代に明るい夢や希望を与える存在でないと,先行きは決して明るいとは言えません.そのために経験者として何とか役に立てる手立ては無いものかと,常々もどかしい思いを抱えております.

安全第一と称して如何にも苦痛な自転車だけを与えられ,劣悪で危険だらけの道路を通らされる現状では,誰も喜んで自転車に乗りたいとは思わなくなるでしょう.
Posted by マイロネフ at August 17, 2023 17:18
自動車業界と悪しき結託をしたメディアによる、自転車だけをやたらと悪者に仕立てようとする下劣な偏向報道に対して、私たちは積極的に抗議する。
まずはそこからでしょう。
Posted by 自転車の歩道通行は合法 at August 17, 2023 17:49
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃるように、自転車を楽しめるような環境があってこそ、自転車に乗ることが可能になるわけで、その整備も重要なことですね。
『如何にも苦痛な自転車』ばかりが自転車だと思われ、市場を席捲しているのも、環境あってのこととも言えますが、このあたりも少しずつ変わっていくといいなと思います。
Posted by cycleroad at August 20, 2023 15:34
自転車は歩道通行も合法さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
メディアの報道もいろいろだと思いますが、それをどう思うか、偏向だと感じるかどうかも人によって違うと思います。報道に抗議することが、まずすべきなのかも考え方によるでしょう。
Posted by cycleroad at August 20, 2023 15:38
 
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