September 07, 2023

馬鹿馬鹿しいほど話題になる

自転車で観光振興を目指す自治体が増えています。


このブログでは各地からの報道を時々取り上げているので、ご覧になっている方は実感があると思います。しまなみ海道やビワイチといった有名なコースがあるなど、実績のある地域だけではなく、今まで自転車になんて何の興味もなかったような自治体が突然、『自転車のまち』を掲げたりしています。

2018年の時点で、全国の294の市町村が、自転車による観光振興を目指しています。今はもっと増えているでしょう。猫も杓子もと言うと叱られそうですが、どこを見ても自転車を打ち出し、程度の差こそあれ、観光客の誘致を目指して競っていることになります。

有名な観光地で、他にも温泉などの観光資源があったり、インバウンドにまで名の知られるようなサイクリングコースがある自治体はいいでしょう。しかし、自転車に縁があると認識されていない、その他多数の自治体にとって、いかにアピールしていくかが課題なのは容易に想像がつきます。

Photo by Kosado,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by Nkns,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

自転車で観光客を誘致すれば、公共交通機関が充実していなくても、域内を周遊してくれて、地域への経済効果が期待できます。一定の観光客が見込める場所で自転車周遊を提案するなら比較的やりやすいでしょうが、そうでない場合、自転車で周遊する目的や見どころが不足していたりすると、難しいものがありそうです。

知名度は低くても、自然の風景などが魅力的なところはあります。ただ、どうやって一度来てもらうかが地元関係者の悩みということになると思います。自転車に関して無名な地域では、他との差別化も難しいでしょうし、予算の制約などもあって、広く知ってもらうのも簡単ではないでしょう。

そこで、何か話題を提供するような自転車に関するイベントを開くというのが、一つの選択肢になると思います。ただ、自転車関係のイベントと言っても、それこそツールドフランスのような世界的に有名なレースから、町内会レベルのお祭りまで、ピンキリです。

Photo by 663highland,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by Juanman 3,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

本格的なレースを主催するのは、ハードルが高く容易ではありません。アマチュア対象の草レースだったとしても、すぐに参加者が集まるわけではありません。それなりに知名度を獲得し、参加者の口コミなどの評価を得るには回数を重ね、年数もかかると思います。

そこで、他の地域でやっていないユニークなイベントというのは有力な候補になるかも知れません。世界で行われているユニークなイベントはたくさんあります。このブログでもいろいろ取り上げてきました。例えば仮装して自転車に乗るレース、自作のユニークな自転車を披露するパレードなどもあります。

Tour de DonutTour de Donut

Tour de DonutTour de Donut

ネイキッドライドは話題になりますが、日本では難しそうです。そのほかにも、自転車でジャンプして池に飛び込む競技だとか、スキー場のゲレンデをMTBでスリップしながら下るレースなんていうのもあります。日本では聞いたことの無いイベントもありますが、工夫次第でいろいろ出来そうです。

そんな中で、一つ参考になりそうなイベントがあります。アメリカ各地で行われているレースイベントで、その名も、“Tour De Donut”です。もちろん、自転車レースの最高峰、“Le Tour de France”のパロディであり、その知名度を借りたネーミングです。

Tour de DonutTour de Donut

イリノイ州スタントン、オハイオ州トロイ、テキサス州ケイティ、ワシントン州シアトル、カリフォルニア州サンルイスオビスポ、ミシガン州グリーンビル、ユタ州アメリカンフォーク、ペンシルベニア州ローレンスなど各地で行われていますが、それぞれ独立したイベントとなっています。

最初に考えたのは、イリノイ州のスタントンと言われています。1989年のことです。その後、これが話題となり、各地で行われるようになったようです。コースや細かいルールはそれぞれですが、共通しているのは、レースの最中にドーナツを食べることです。

Tour de DonutTour de Donut

しかも、ドーナツを1個食べると5分とか3分、実際のゴールタイムから引かれるのです。ですから、速さだけでなく、大食いを争うレースでもあるわけです。ドーナツをたくさん食べられる人が有利であり、中には優勝タイムがマイナスになってしまうこともあると言います。

これはユニークなイベントです。甘いジャンクフードが大好きなアメリカらしいイベントと言ってもいいでしょう。これならば、自転車に乗る脚力に自信がない人でも気軽に参加できます。ただ、出場しても、カロリーを消費して痩せるどころか、太ってしまう人続出でしょう。

Tour de DonutTour de Donut

Tour de DonutTour de Donut

レース形式ではありますが、そもそも真剣にタイムを競うのではなく、楽しみながら自転車に乗るライドイベントに近いと言えます。アメリカでドーナツは朝食に食べる人も多く、とても身近なフードです。なんとアメリカ軍の戦闘食(戦闘中に携行する糧食)にも採用されているほどです。

アメリカでは、他のイベントもそうですが、このようなバカバカしいイベントが少なくありません。でも、単なる自転車レースでは、一部の愛好者しか集まりません。ドーナツを無理にほおばって、むせながら走るナンセンスさが笑えるレースなら、話題性もありますし、誰でも気軽に参加する気になるのではないでしょうか。

Tour de DonutTour de Donut

Tour de DonutTour de Donut

日本で開催したというニュースは聞いた覚えがありませんから、開催するなら早い者勝ちです。そうでなくても、このツール・ド・ドーナツは参考になります。つまり、ドーナツでなくてもいいはずです。その地域の特産とかを使えば、産品のアピールにもなって一石二鳥です。

たこ焼きでもいいでしょうし、餃子、うどん、梨、地域のソウルフードでも可能かも知れません。面白いシーンが撮れれば、SNSにもアップしてもらえるでしょうし、テレビなどの取材でも入れば、低予算でも大きな宣伝効果が見込めます。その点では、バカバカしさが高いほどいいかも知れません。







特に有名なサイクリングコースがある必要はありません。食品会社などがスポンサーになることも期待できます。自転車での観光振興を狙う地域なら一考の余地はあるでしょう。邪道だとか、バカバカしいとか、一部の批判を覚悟で、踏み切ることが出来るかどうかがポイントになるかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

明日にも関東に台風13号が接近・上陸する恐れ、被害も心配ですが過ぎればまた猛暑と言うのもうんざりです。

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