September 10, 2023

少しずつでも改善をしていく

関東などでは、また猛暑が復活です。


台風13号は本体から遠く離れた場所に大雨の被害をもたらしましたが、気温も下げました。しかし過ぎたらまた猛暑が戻ってきています。さて、そんな折りですが、今回は最近の自転車関連のニュースの中から、気になったものをいくつか取り上げてみたいと思います。


自転車レース中の男子大学生、乗用車と衝突して死亡…「ツール・ド・北海道」初日、前の集団追い越しで反対車線へ 全日程の中止決定

ツール・ド・北海道8日午前、北海道上富良野町の道道で、自転車ロードレースの「ツール・ド・北海道2023」に出場中の男子大学生が乗用車と衝突し、死亡しました。

8日正午まえ、上富良野町の道道で「ツール・ド・北海道2023」に出場中の選手が、反対車線の乗用車と正面衝突しました。

警察によりますと、自転車の選手は、東京都の中央大学の4年生、五十嵐洸太(いからし・こうた)さん21歳で、心肺停止の状態で搬送後、死亡が確認されました。

現場は、片側1車線のカーブが連続する道路で、五十嵐選手は前の集団を追い越すため、反対車線に出たとみられています。大会の運営団体は、現場のコースについて、自転車のはみ出しを禁止していた上、反対車線の車両の通行を規制していたと説明しています。

一方、警察は、どこから、どこまで、何時から、何時までは、捜査中としていますが、自転車の走行車線は、富良野警察署が公式に通行規制、乗用車が走行の反対車線は、大会側で自主的に警備、規制していたとしています。乗用車を運転していたのは、63歳の男性でしたが、警察に対し「吹上温泉に行くため、規制前だったので、そのまま通行した」などと話しているということです。

「ツール・ド・北海道2023」は、国際自転車競技連合公認の自転車ロードレースです。今年は、8日から10日までの3日間の予定で、大会ホームページによりますと、初日は、旭川市をスタートして十勝岳を通り、東部の新得町までの174キロのコースでした。

この事故を受け、大会の運営団体は、10日までの全てのレースの中止を決めました。 警察は、大会の運営団体の管理や安全対策に問題がなかったか、業務上過失傷害の疑いも視野に捜査する方針です。(2023年9月8日 TBS)


昨日の時点で一番報道の多いのがこの事故のニュースです。若いサイクリストの生命が失われたことは残念なことです。詳細は記事にあるだけなので原因や、どういう問題があったのかはわかりません。不幸な事故ですが、教訓を今後のレースの実施に活かしていただきたいものです。


危険な自転車運転の取り締まり強化へ 福岡県で『赤切符』積極交付の地区を拡大



福岡県では、ことし自転車が絡んだ事故で6人が命を落としています。警察は、悪質な交通違反に対し、9月から刑事罰につながる『赤切符』を積極的に交付する範囲を広げ、取り締まりを強化します。(中略 )

「警察官が取り締まりをしている姿を見て、違反を思いとどまるような効果が期待できれば。交通違反がなくなれば、当然交通事故も減少していくものと思っております。」

また、自転車の取り締まり強化へ、新たな動きもあります。警察庁は、自転車の交通違反について反則金を納めれば刑事罰の対象にならない『青切符』の導入も視野に検討を進めていて、8月30日に1回目の有識者検討会を開きました。

効果的な交通安全教育のあり方などについても議論したうえで、ことし中に提言をとりまとめることにしています。気軽に乗れる一方、重大な事故にもつながりかねない自転車について、警察は「自転車も車両なので違反をすれば当然切符を切られると認識し、交通ルールを守るという意識を持ってほしい」としています。

去年1年間、福岡県内で事故につながる恐れがあるとして、警察が警告書を出した件数をまとめました。最も多いのが『無灯火』で1万1930件、並んで走る『並進』が9467件、『イヤホン』、『携帯電話の操作』、そして『一時不停止』と続きます。

警告書、いわゆる『イエローカード』にあたるものですので、赤切符のように刑事罰の対象ではありませんが、いずれも重大な事故につながりかねないものです。(2023/09/04 FBS)



イヤホンの着用で39人が警告 危険な自転車運転を取り締まり 検挙者も





自転車にも「赤切符」危険・悪質運転取り締まり




福岡では赤キップを積極的に交付して、自転車の取締りを強化しているとあります。昨年1年間、いわゆる『イエローカード』にあたる警告書を出していたのは、まさに警告であり、従わない人に対し、赤キップの適用も辞さないところを見せないと、警告の意味もなくなるという判断もあるのかも知れません。

日本は自治体警察制度なので、それぞれの都道府県でいろいろな考え方、取締り方はあるのでしょう。同様の福岡県についての記事がいくつか出ています。警察が自転車を止めて取締りをしていても、どうせ注意だけだと、タカをくくる人が多かったのかも知れません。取締りの実効性を上げるための赤キップということもありそうです。


「止まってください」と2度警告したが…「一時停止」無視、自転車の男に赤切符

警告自転車で一時停止を無視したとして、徳島県警鳴門署は5日、鳴門市内の無職の男(48)を道路交通法違反(一時不停止)容疑で鳴門区検に書類送検した。

県警は先月から、自転車利用者に対する交通違反の取り締まりを強化しており、強化後、赤切符(交通切符)を交付した初のケースという。

県警交通指導課の発表では、男は今月1日午前、自転車に乗り、鳴門市撫養町の一時停止の標識がある市道交差点で警察官が「止まってください」と2度警告を出したにもかかわらず、無視して一時停止をしなかった疑い。男は容疑を認めているという。

現場は、JR鳴門駅の南西約200メートルの信号機のない交差点で、この日は署員ら11人が集中取り締まりを実施していた。男には、現場で赤切符が交付され、同署が任意で捜査していた。(2023/09/07 読売新聞)


こちらは徳島ですが、警察官に注意されても無視した人がいたようです。クルマの場合と違って、たいしたことにはならないと、こちらもタカをくくっていたのでしょうか。そのまま見逃したら示しがつかないとの判断もあったのでしょう。青キップの導入検討も含め、各地で警察が自転車の取締りを本気で強化し始めているようです。


富士山噴火したら…専門家「逃げるのは徒歩や自転車で」、ハワイ山火事では車渋滞

富士山噴火富士山噴火時の避難計画が3月に見直されたことを受けて、山梨県富士吉田市で3日、「富士山噴火を知る」をテーマにパネルディスカッションが行われた。

計画内容について市民への周知を図る目的で、県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長や堀内茂市長らがパネリストとして登壇した。

新たな避難計画では、車両による渋滞を避けるため「噴火後に徒歩避難」が原則となった。噴火口の予測は難しい上、勾配の緩やかな市街地を流れる溶岩流は徒歩と変わらない速さと想定されるためだ。

藤井所長は、8月に米ハワイ州マウイ島で発生した山火事などで、車両渋滞による逃げ遅れが生じたと指摘。別の専門家は「渋滞回避が目的なので、自転車での避難は可能」とも語った。

地元の男子高校生からは「普段から必要な備えは何か」と尋ねられたのに対し、藤井所長は「噴火を正しく知り、主体的な行動をとれるようになることが重要だ」と語った。(2023/09/04 読売新聞)


首都直下地震とともに、可能性が高まっているとされるのが富士山の噴火です。東日本大震災の後も、津波に対してクルマで避難するなと散々注意が呼びかけられましたが、その後に起きた大きめの地震と津波注意報が出た後でも、多くの人がクルマで避難し、渋滞が発生して関係者を愕然とさせました。

富士山の噴火による避難でも大渋滞になるのは必至でしょう。ハワイの山火事も悲惨な災害でしたが、富士山の噴火による溶岩流については、それほど速くないので、徒歩や自転車での避難で十分なこと、クルマだと確実に渋滞が発生すること、自転車のほうが早く逃げられると、もっと周知していく必要がありそうです。


自転車盗難の被害が昨年から約4割増加 施錠促す「仕掛学」活用したタグで啓発 群馬県警

タグ自転車の盗難被害が7月末時点で852件発生し、昨年同期と比べて38.3%増えたことが3日までに、群馬県警のまとめで分かった。約7割が施錠していなかった。

被害を減らすため、県警は駐輪場に止めてある自転車に、工夫で人に一定の行動を促す「仕掛学」を活用したデザインのタグを付ける啓発を始めた。

1日午前10時半ごろ、伊勢崎市のJR伊勢崎駅高架下の駐輪場。伊勢崎署員らが鍵のかかっていない自転車を探し、ハンドルにタグを付けて回った。約1時間で55台に取り付けた。

県警生活安全企画課の福田晶人犯罪抑止対策室長は「持ち主に施錠を促すことで、被害を防止したい」と強調した。

タグは紙製で、愛知県警がデザインした。人の行動を誘導する「仕掛学」と呼ばれる研究を応用。「盗難防止検証中」「盗難追跡対象」などと記されている。追跡を連想させるレーダーのイラストが入り、「小吉 施錠すれば大吉」など、おみくじのような文言も記した。

同県警は1〜3月に同県内4カ所で1200枚以上を取り付ける実証実験を行い、昨年10〜12月の3カ月間に比べて盗難が約8割減ったという。

群馬県警によると、県内の被害は増加傾向にある。21年は直近10年間で最少の973件だったが、昨年は1359件に増え、コロナ禍以前の水準に近づいた。10月末までの2カ月間、県内16署が被害の多い駅などで重点的にタグを付け、効果を検証する。(2023/9/4 上毛新聞)


少し前にも東京の葛西署がこの取り組みを始めたこと、その以前の愛知県警が最初のようだと書きました。報道されて仕組みがバレてしまえば効果が減衰しそうに思えますが、追随した地区で、果たしてどこまで効果が上がるのか、興味深いと書きました。

今回の群馬県警の取り組みでは、盗難が8割も減ったとあります。かなりの効果です。日本では、無施錠が多く、ちょっと拝借という感覚の犯行も少なくないと言われることも背景にあるのでしょう。軽い気持ちで犯行に及ぼうとする人に対し、捕まって窃盗罪になることを意識させるのは、今のところ有効ということになりそうです。


弁護士に聞く自転車のルールの素朴な疑問 Q, 自転車専用通行帯上の駐車は違法では?

駐車禁止Q 自転車専用通行帯上の駐車は違法では?警察は取り締まれないの?

A:特に都市部では、ここ数年で道路の左側に「自転車専用」の路上ペイントや標識がある通行部分が置かれるようになってきました。

このように、特定の通行について指定する旨の車両通行帯が整備されている場合には、道路標識等によって指定された通行区分以外は、その車両通行帯を通行できません(道交法20条2項)。

例えば、「バス専用」と道路標示がされた車両通行帯は身近にみられるものですが、バス以外が通行することができません。この指定の車両通行帯に、指定された車両以外の車両が通行した場合には、違反となり、取り締まりの対象となります。

一方で「自転車専用」と道路標識等で指定された車両通行帯は、自転車や特定小型原動機付自転車以外の車両は通行できません。通行すると違反となり、同じく取り締まりの対象となります。

では、自転車専用の車両通行帯に自動車が駐車している場合には、違反になるでしょうか。この場合、道路に駐車しようとする場合には道路の左側端に沿うように駐車しなければならないとされていますので(道交法47条2項)、駐車車両は、道路の左端から、車両の幅分程度は道路を占有することになり、結果として自転車専用の通行帯をふさぐ形になってしまいます。

「駐停車禁止」でなければ取り締まりの対象にならない

ただ、自転車は駐停車車両がある場合には他の通行帯に迂回することで通行自体は可能ですから、完全に妨害されているわけではないと考えれば、自転車通行帯を塞ぐ形の駐停車は適切ではないにしても取り締まりの対象となるとまでは言えないと考えられます。

もちろん、多くの道路では「駐車禁止」となっている場合が多いでしょうから、駐車自体できませんので、問題になるとすればほとんどの場合は停車の場合でしょう。停車の場合であっても自転車専用通行帯の交通をまったく遮断することになるような停車は、道交法47条1項、2項の趣旨からしても適切とは考えられませんが、その道路が「駐停車禁止」となっていなければ取り締まりの対象とはならないと言えます。(2023.9.4 一般社団法人自転車協会)


ニュースではありませんが、自転車レーンへの駐車についての解説がありました。どうやら、自転車レーンへの駐車だけでは取締らないようです。実際に街でレーン内への駐停車は日常的に見かけますから、容易に想像がついたことですが、取締りの対象にならないとは残念な現状です。

クルマのドライバーは、自転車レーンなど意識もしてない人も多いはずです。せめて、自転車レーン内に侵入して停車しているだけでも取締りの対象になるということにしないと、レーンへの駐停車は全く無くならないに違いありません。レーンの意味がなくなるわけですから、ぜひ法改正をしてもらいたいものです。


青森県内で自転車盗難が急増

青森今年、青森県内で自転車の盗難被害が急増している。

1月から8月末までの発生件数は402件で、既に2020〜22年それぞれの年間認知件数を上回った。

主に鉄道の駅、商業施設の駐輪場が狙われている。

盗まれた自転車の8割に当たる325件は無施錠。

県警は「油断は大敵」として、施錠の徹底を呼びかけている。(2023年9月7日 東奥日報)


自転車の盗難が増えているという報道自体は、珍しくも何ともありません。ただ、なんで青森県内だけで、しかも急増しているのでしょうか。おそらく何か背景があるのでしょうが、そこは謎です。このような事象の原因までわかったら、興味深いですし、自転車盗防止にもつながりそうです。


自転車の安全へ路肩拡幅 倶知安―ニセコ間5キロ 開発局

路肩拡幅【倶知安、ニセコ】開発局は今秋、羊蹄山麓地域で増えているサイクリング愛好者の安全確保のため、国道5号の倶知安町比羅夫―道の駅ニセコビュープラザ(ニセコ町)間の5キロで路肩の拡幅を行う。

路面には自転車の通行場所であることを示す青い矢印の塗装も施す。地元愛好者らは事業を歓迎するとともに自転車、車の双方に交通ルール順守を求める活動を強化。

安心してサイクリングを楽しめる環境づくりを目指す。(以下略 2022年8月19日 北海道新聞)


こちらも地味なニュースです。土地の広い北海道ならではなのでしょうが、路肩の拡幅とはサイクリストには嬉しい整備と言えるでしょう。都市部なら車道を削るしかありませんが、郊外ならば拡幅の余地のある道路もあると思います。すぐにとは言いませんが、他県でも道路補修の際などに拡幅していくことを考えてほしいものです。


「京都市サイクルサポートステーション」事業がスタート

サポートステーション2021年10月に京都市自転車総合計画2025を策定し、「自転車共生都市・京都」の実現のため様々な自転車関連施策を推進している京都市では、市民や観光客等のサイクリストが安心・安全・快適に自転車観光やサイクリングを楽しめる環境を整え、地域の活性化につなげることを目的に「京都市サイクルサポートステーション」事業を実施する。

今回は京奈和自転車道(桂川サイクリングルート※)沿道の「京都市サイクルサポートステーション」4施設を京都市で初めて認定し、2023年9月中旬頃より運用を開始する。

※ 京奈和自転車道(桂川サイクリングルート)は、京都市の嵐山から奈良県を経て、和歌山市の和歌山港までを結ぶ、全延長約180kmの広域サイクリングルート。

「京都市サイクルサポートステーション」とは

サイクリストと地域の交流拠点となり、サイクリストに無償で駐輪スペース、自転車ラック、空気入れ、修理工具およびトイレなどの貸出サービスを提供する施設を「京都市サイクルサポートステーション」として認定する。(以下略 2023.09.01 サイクルスポーツ)


これも一般の人には関心の低い記事だと思います。地味な事業ではありますが、意外とこういう場所があると、特に輪行などで域外から来るサイクリストには便利だと思います。通行量にもよりますが、自転車版の道の駅のような場所として認知されれば、より地域活性化にも貢献しそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

ラグビーW杯、日本は今夜初戦のチリ戦で期待は高まりますが、本番前の試合は不調だったのが気になります。

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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんにちは.

ツール・ド・北海道の事故は,私も言葉にならない大変な衝撃を受けております.第一義的には右カーブの内回りで前の集団を追い越そうとして対向の乗用車と衝突した選手のルール違反に主な責任があるのですが,相手の乗用車は交通規制の前にコース内へ侵入し,ひとしきりレースを見た後移動しようとした矢先に衝突されたという話もあり,大会関係者の交通規制に何がしかの手抜かりがあったのではないかともいわれております.

こういう事故で,自転車ロードレースに対する世論に悪影響が及ぶことを,私は非常に懸念しております.いかんせん,日本人と自転車の歴史的な問題もあって,それでなくてもスポーツ自転車に対する一般の人々の眼は非常に厳しく辛辣なものがありますから,配信記事のコメント欄では大会の廃止論まで散見される状況になっています.

当面は自転車,特にスポーツタイプの乗り手の各人全てが,いつどこで走るにしても周囲の安全と事故防止に細心の注意を払いつつ,信頼を回復するように努力する以外に対策は考えつきません.
Posted by マイロネフ at September 10, 2023 14:34
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も、事故によってロードレースに悪い印象を持たれ、開催できなくなったり、ただでさえ日本では低い人気に拍車をかけてしまうことを危惧しています。
レースは、また特殊な環境ですので、一般の人が普段走行するのとは分けて考えるべきだと思いますが、主催者は、なるべく事故が起きうるような環境、コースの不備等をなくし、競技の普及と人気拡大を目指してほしいものです。
Posted by cycleroad at September 13, 2023 17:17
 
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