September 25, 2023

そこに力を入れるのは的外れ

暑さ寒さも彼岸までと言います。


彼岸入りを前に、ようやく少し暑さが和らいできた地域も多いようです。そんな季節ではありますが、最近は自転車関連のニュースがとても多くなっているので、今回は、その中から、気になったものをいくつかピックアップしてみたいと思います。


福山で自転車の70代はねられ死亡 全国交通安全運動初日

全国交通安全運動初日秋の全国交通安全運動の初日だった21日、福山市の信号機のない交差点で、自転車に乗っていた75歳の男性が軽貨物自動車にはねられて死亡しました。

21日午後6時40分ごろ、福山市沖野上町の片側1車線の市道の交差点で、道路を横断していた自転車が右側から走ってきた軽貨物自動車にはねられました。

警察によりますと、この事故で、自転車に乗っていた近くに住む中村安邦さん(75)が頭を強く打って病院に運ばれましたが、およそ2時間半後に死亡しました。

現場は信号機のない三差路の交差点で、警察は、車を運転していた60歳の男性から話を聞くとともに、自転車に乗っていた男性がヘルメットを着用していたかについても詳しく調べています。21日は、自転車に乗る際のヘルメットの着用などを重点目標に掲げた秋の全国交通安全運動の初日でした。(09月22日 NHK)


21日から秋の全国交通安全運動が始まりました。その中でも交通死亡事故は絶えないわけですが、気になったのは、『自転車に乗っていた男性がヘルメットを着用していたかについても詳しく調べています』という部分です。なぜ、着用の有無を詳しく調べる必要があるのでしょうか。

当然ながら、事故の原因を調べるのは必要だと思います。でも、ヘルメット着用の詳しい調査は必要なのでしょうか。秋の全国交通安全運動で、自転車に乗る際のヘルメットの着用を重点目標に掲げているとは言え、なんでもヘルメット着用に結びつけ、暗に要求するかのような報道が気になります。

何度も書いていますが、ヘルメットは事故が起きてしまった時の被害軽減策に過ぎません。着用を推奨するのはいいですが、ヘルメットを着用したからと言って、事故が減るわけではありません。ここのところ警察は着用の啓発に非常に力を入れていますが、そんなことをしても事故は減りません。

警察は、事故を減らすことを求められているのであり、そのために交通安全やルールの遵守、危険な場所の排除や改良といった、事故減少につながる方策を実行すべきであり、ヘルメット着用の啓発にだけ力を入れても仕方ありません。私は非常に違和感を感じるのですが、なぜこの点を指摘する人は少ないのでしょうか。


自転車同士が衝突 50代の女性が救急搬送も重体の模様 2人ともヘルメットを着用せず【岡山】

着用せずきょう(22日)午前、岡山市北区の市道で自転車同士が出合い頭に衝突し、女性が重体の模様です。

警察によりますと、きょう午前8時45分ごろ、岡山市北区津島福居一丁目の市道交差点で、50代の女性が運転する自転車と、20代の男性が運転する自転車が、出合い頭に衝突しました。

この事故で、50代の女性が病院に搬送されましたが、重体の模様です。2人ともヘルメットを着用していなかったということです。(RSK山陽放送)


こちらは自転車同士の事故です。この記事でも、『2人ともヘルメットを着用していなかった』という点がわざわざ取り上げられ、強調されています。大切なのは事故が起きた原因であり、再発防止には何が求められるのかという点なのではないでしょうか。

出会い頭ということですが、どちらかが一時停止しなかったか、どちらかが逆走していたために、見通しの悪い交差点で衝突してしまったのではないかと推察されます。こうした事故を防止するため、例えば左側通行の重要性を強調するのではなく、ヘルメット着用にばかりスポットを当てることに恣意的なものを感じます。


ピクトグラムでヘルメット着用啓発 松本市が自転車通行帯に表示

ピクトグラム松本市の市道の自転車通行帯に、ヘルメットを着用した人型デザインのピクトグラム(絵文字)が登場した。4月から自転車乗用時のヘルメット着用が努力義務化されたことを啓発するのが狙いで、全国的に珍しいとみられる。

松本城南側の外堀大通りに新設した自転車通行帯の起・終点などに、施工業者が路面表示した。ヘルメットはスポーツタイプを意識したデザインで、赤茶色にして目立たせた。

市は年に8キロずつ矢羽根の自転車通行帯を増やしており、今後は同様のピクトグラムに変更する。自転車推進課は、観光名所などを巡る3種類のサイクリングコースを念頭に、場所によってヘルメット部分の色を変えることも模索している。

市は、市内の高校に通う生徒や、高校生の市民にヘルメット購入補助金を出している。市の調査によると、高校生の登校時間帯の深志2交差点での着用率は約4割だが、全市的には2割程度とみられる。同課は「自転車の死亡事故をなくすため、地道な活動を続けていきたい」としている。(2023/09/20 市民タイムス)


道路上に記されている自転車のマークの頭の部分がツートンカラーになっていることに、どれだけの意味があるのでしょうか。おそらく、そこまで見ていない人が大半だと思いますし、これがヘルメットだと気づき、着用を啓発しているとまで理解し、気をつけようと思う人が多いとは到底思えません。

手間や余計な費用をかけてまでやる意味はあるのでしょうか。ピクトグラム自体は必要ですが、その細部に無駄な予算を使うくらいなら、もっとほかにすべきことがたくさんあるはずです。こんな部分を模倣する自治体が、ほかに出てこないことを期待します。


自転車のヘルメット着用促進に「ヘルメットをかぶっても崩れにくいおしゃれな髪型」大学生らが発表【岡山】

髪型きょう(21日)から秋の交通安全運動が始まりました。自転車のヘルメット着用率向上に繋げたいと、ヘルメットをかぶっても崩れにくくおしゃれな髪型を研究してきた大学生らが、考案した髪型を発表しました。

(ノートルダム清心女子大学2年 三宅心愛さん)「これで完成です。前を向いても、おでこの部分までちゃんと被ることができます」

ノートルダム清心女子大学の学生4人とJAF岡山支部などは、今年4月からヘルメットをかぶっても崩れにくい髪型を研究してきました。美容室のアドバイスも受け、髪の長さや手軽さなども考慮された髪型が完成しました。こちらは5分以内ででき、ヘルメットを脱いでもボリューム感がでるように工夫された髪型です。

(ノートルダム清心女子大学2年 三宅心愛さん)「髪型とヘルメットというのは、誰でもある悩みなのかなと。できれば実践していただいて、ヘルメットをみなさん被ってほしいなと」

ヘルメットの着用率は岡山県で7・4%、香川県で7・1%にとどまっています。学生らが考案した6種類の髪型は、今後カタログやJAFの講習会などで発信される予定で、ヘルメットの着用促進に繋げたいとしています。(2023年9月21日 TBS)


髪型など気にしない人から見ると、若い女性が『前髪が命。』とまで言い切るのを聞くと大げさだと笑うかも知れません。しかし、実際にセットした前髪が崩れることを非常に気にする女性が多いのは確かです。この『前髪が命』というフレーズもSNSで話題になったのですが、決して少数の意見ではないようです。

女性が非常に気にする髪型ですが、その日の服装に似合うとか、可愛らしく見えるではなく、『ヘルメットをかぶっても崩れにくいおしゃれな髪型』を選択までしてヘルメットを着用するでしょうか。何か、背後に関係者の無理強い、思惑があるように感じてしまうのは私だけでしょうか。


自転車ヘルメット「努力義務は非着用許可でない」

警察庁のまとめによると、4月に努力義務化された自転車乗車時のヘルメット着用率(7月調査時点)は、全国平均で13・5%にとどまっている。本県は平均を大きく下回る2・5%と、全国ワースト2位。最下位の新潟と0・1ポイントしか違わず、最下位と言っていいレベルだ。ヘルメットの着用意識を高めることは、安全意識を高めることでもある。運転免許がいらず、気軽でエコな乗り物である自転車は、一方で事故に遭うと加害者にも被害者にもなり得る。自転車利用者はそのことも十分に考えてほしい。

都道府県別の着用率上位は(1)愛媛59・9%(2)大分46・3%(3)群馬43・8%(4)鳥取30・9%(5)三重26・5%。愛媛は4月の努力義務化前から関連条例を施行するなどの取り組みを進めてきたといい、その成果が数字に表れたようだ。ただ、上位であっても2位以下は2人に1人未満しか着用していない。

一方、下位は新潟、本県に続き、秋田3・5%、大阪4・2%、福島4・3%―と、トップ3の1割に満たない。ワースト5は大阪を除き東北、北陸が占める。降雪、地形などにより、普段から自転車を活用しているかどうかも影響したとみられるという。

県警が発表した5月の自転車全国一斉取り締まり結果(本県関係分)によると、指導警告票交付数は265件で、前年を62件上回った。内訳を見ると併進、一時不停止、歩道通行の増加が押し上げた格好。どれも事故の要因になり得るものだ。自転車は気軽な移動手段という利点がある半面、歩行者を死傷させる恐れのある凶器でもある。

ヘルメット着用率下位について、雪や地形などで普段から自転車を利用しているかどうかも結果に影響したとされた。確かに積雪期ならそうかもしれないが、複数の大学や公的機関、商業施設などがコンパクトに集積されている弘前市などは、自転車が便利で、春以降の朝夕は通学・通勤の自転車が多数行き交う。

第1種原動機付き自転車(50シーシー以下のバイク)も、40年ほど前までヘルメット着用義務はなかった。もっとも自転車は運転免許が必要なバイクと異なるため、すぐに義務化とはならないだろうが、着用率が高まらない中で重大事故も多発するようであれば、議論も必要になるだろう。

今年7月には特定小型原動機付き自転車(電動キックボードなど)の交通方法などが規定され、ヘルメットは自転車と同様に努力義務となった。電動キックボードは条件を満たせば「自転車通行可の歩道」も走行できる。同じレーンを走る双方とも、交通ルールの順守は当然だが、それで事故のリスクがなくなるわけではない。自身の命を守るためにどうすべきかを真剣に考えてほしい。努力義務は非着用を正当化する抜け道ではない。(2023/9/16 陸奥新報)


こんな社説を載せる地方紙まであります。言葉尻を捕らえるわけではありませんが、禁止でない以上、本人の選択に任されているわけで、努力しましょうということ以上ではない気がします。非着用を変な理屈で責めるよりも、『交通ルールの順守は当然』となっていないことのほうが問題だと思います。


秋の交通安全運動自転車用ヘルメット着用率 宮城は10.8% 全国平均下回る

自転車ヘルメット啓発強化 秋の交通安全運動、県警が出動式

「秋の交通安全運動」岡山市で出発式 自転車のヘルメット着用などを呼びかけちなみに岡山県の着用率は7.4%(全国平均13.5%)

自転車ヘルメット着用率は? 群馬 茨城 栃木 東京 神奈川 千葉 埼玉では

自転車ヘルメットや事故防止など呼びかけ 秋の全国交通安全運動、島根県でも始まる

自転車ヘルメット着用率 徳島県は18.4% 全国平均上回る

自転車用ヘルメットの着用率 大分県は46.3%で全国2位

自転車ヘルメット着用率、全国最下位の新潟 知事「どうして」と困惑

自転車ヘルメット着用率 秋田県は3.5% 全国3番目に低い

トップ愛媛の59.9%に対し新潟は2.4% 自転車ヘルメット着用率に地域差 警察庁は効果を呼びかけへ

札幌の小学校で自転車用ヘルメット贈呈 “努力義務”北海道の着用率6.4% 全国39位

21日から秋の全国交通安全運動 ”自転車ヘルメット着用を”

着用率秋の全国交通安全運動始まる 県庁で出発式

自転車ヘルメットの県内着用率6・1% 秋の交通安全運動で着用訴え

県内の自転車用ヘルメット着用率 11%余 全国平均下回る

自転車ヘルメット 関東1都6県 着用率に地域差

「自転車ヘルメット 重要」 卓球・静岡ジェード選手が呼びかけ 静岡市葵区

自転車用ヘルメットの着用率 栃木県は全国平均をやや下回る


そのほか、自転車のヘルメットについてのニュースがスゴイ数になっています。上に挙げたのは一部に過ぎません。都道府県ごとの着用率が発表されたからなのでしょうが、順位や他の都道府県とのわずかな着用率の違いに一喜一憂する必要があるのでしょうか。

以前にも書きましたが、日経新聞の記事で読む限り、着用率の調査は都道府県ごとに任されており、任意の場所と時間に、1回に200台分ほど数えただけです。少し時間帯や場所が違えば、通勤・通学者や買い物客など利用者の属性が変わってくるでしょうし、結果として着用者数も違ってくるはずです。

つまり、調査・統計としての信頼性は乏しく、だいたいの傾向はつかめるとしても、この着用率にそれほどの意味があるとは思えません。報道機関なのに、統計的な不備を指摘せずにそのまま数字を載せていることにも違和感を感じざるを得ません。

着用率さらに、ヘルメットを着用しないと致死率2.6倍になると書いているメディアもあります。交通安全白書から来ていると思いますが、統計をとる手法に問題があります。これも何度か書いていますが、明らかに間違っています。少し考えればメディアもわかるはずです。

統計は、ヘルメットの努力義務化以前の期間が対象です。この期間、日本でヘルメットを着用して走行していた人のほとんどは、ロードバイクに乗っているような人たちでしょう。交通ルール遵守の重要性を理解し、自転車の特性やリスクもわかっています。相対的に事故に遭いにくいのは間違いありません。

一方で、交通ルールを知らず、あるいは無視して危険な走行をする人、ママチャリに乗っている人の、この期間のヘルメット着用率は限りなく低かったはずです。これらの条件を加味せずに、ヘルメットを着用してさえいれば、致死率が2.6倍違ってくるかのように結論づけるのは明らかにおかしいでしょう。

ヘルメット着用にばかりこだわることで、交通事故の原因、加害者としてのクルマの運転など問題、事故のリスクの高い自転車の走行、クルマ優先の交通インフラの不備など、本当に必要な対策から焦点がズレかねません。警察や行政もそうですが、マスコミもその点に留意すべきです。

ヘルメットの着用を啓発するのはいいですが、それが焦点ではありません。いかに事故に遭わないか、気づかずに危険な走行をしていないかが問題です。そして、クルマとの事故をいかに減らすかこそ、交通安全対策として警察や行政が取り組むべきであり、マスコミが注目して報道すべき点ではないでしょうか。


自転車ヘルメット「着用」1割 東京都がネットで調査 努力義務化「知ってる」は9割

知ってる今年4月から、自転車に乗る時のヘルメット着用が全ての年齢で努力義務となった。その状況について、東京都がインターネットでアンケートをしたところ「着用している」人はわずか1割にとどまった。一方で、9割以上は努力義務化を知っていると答えた。

ヘルメット着用状況の質問に対し、「常に着用している」と答えたのは7%、「時々着用している」は3・7%だった。ヘルメットを持っているのに「着用していない」は5・8%。

着用しない理由を、複数回答可で尋ねると「義務ではなく努力義務だから」が43・9%で最多。「置き場がなく荷物になる」「頭が蒸れたり熱がこもったりする」と続いた。「髪形が崩れる」「見た目が気になる」を選んだ人もいた。自転車を利用した時に衝突や転倒などでけがをした経験がある人は3割を超えた。

ヘルメットを持っていない人のこれからの対応は分かれた。「今後入手し、着用するつもり」は32・2%だったが、「今後着用するつもりもない」は26%だった。また25・4%は自転車を利用しないと回答した。

改正道路交通法の施行で、4月からすべての自転車利用者にヘルメット着用が努力義務化されたことについて、95・5%が「知っていた」と答えた。

都の担当者は「結果を踏まえ、着用率のさらなる向上に向けた取り組みを検討していきたい」としている。調査は、「インターネット都政モニター」500人を対象に7月19〜27日に実施。485人が回答した。(2023年9月16日  東京新聞)


ここのところ、自転車関連のニュースがやたらに多いのは、このヘルメット関連が多いからですが、東京都では9割の人が既に知っている話題です。着用率が都道府県でまちまちなのも予想されたことですし、今さらマスコミが、これだけ数多く報道する必要があるのか、不思議な気がしないでもありません。

マスコミには記者クラブという仕組みがあって、警察から睨まれて、事件や事故のニュースが取得できなくなろうものなら大変です。警察は着用率を上げるためにマスコミに取り上げさせたいのでしょうが、そうした圧力が存在したり、マスコミに忖度があるように思えてしまうほど、集中的かつ長期間継続しての偏った報道に見えます。


都筑区内自転車事故 73件で昨年同月比+12件

昨年同月比+9月21日から30日までは秋の全国交通安全運動。神奈川県内では、全交通事故の発生件数に対し、自転車が関係する事故の占める割合は増加傾向で推移している。県警は今年度、自転車交通事故防止対策を最重点課題と位置づけ、対策に力を入れる。

都筑区でも2023年8月末現在で73件と昨年同月末比12件増と増加傾向にある。都筑警察署は自転車関連事故の発生が多い、茅ケ崎中央地区(センター南駅周辺)、中川中央地区(センター北駅周辺)、池辺町地区(ららぽーと横浜周辺)を自転車指導啓発重点地区として、取り締まりを強化している。

同署担当者は「自転車は免許がなくても乗ることができる便利な乗り物である一方で、交通ルールが軽視されがちになっている」と話す。

反則金賛成9割

全国的な自転車関連事故の増加を受け、警察庁は8月、軽微な交通違反で「青切符」を交付し反則金を納付させる「交通反則通告制度」の対象に、自転車を新たに加えることを検討すると発表した。(以下略 2023年9月21日 タウンニュース)


神奈川県内では、自転車が関わる事故が増えているようです。もちろん、ここだけで決めつけるわけにはいきませんが、ヘルメット着用率が上がっても、事故が減っていない、減るとは限らないという例です。当然です。ヘルメット着用したから事故に遭わなくなるわけではない、もっと他に問題があることを示しています。


自転車事故、昨年比3割減 平塚署 AI活用し巡回奏功

3割減平塚警察署管内で今年発生した交通事故件数が、前年同期比で2割近く減少したことが同署への取材で分かった。

中でも、昨年県内ワーストだった自転車事故は73件減って158件となり、同署は「AIを活用した夕方・夜間の巡回などにより、事故に歯止めがかけられているのでは」と話す。

今年9月14日現在の事故発生件数は505件で、前年同期比で110件減った。自転車事故は231件から158件と3割以上減少、高齢者関係の事故も230件から175件に減った。

今年に入ってからの死者数は1人(前年同期比マイナス2人)だった。同署管内では昨年1年間で、大和署管内に次ぎワースト2位となる878件の交通事故が発生。自転車事故は308件で県内ワーストだった。

今年に入り自転車、高齢者関係の事故が大幅に減少したことについて、交通課ではAIによる事故発生予測マップを用いた警戒活動や、警察官がスポーツタイプの自転車に乗って街中を巡回する「湘南平塚サイクルポリス」の存在などが事故減少につながっているとみる。

事故発生予測マップは、朝方と並んで事故が多い午後6時から9時の事故データをAIが分析。注意エリアが色分けされた地図を参考に、赤色灯を付けた警察車両などで巡回にあたっているという。 同署では「交通ルールやマナーを守り、加害者にも被害者にもならないよう心掛けてほしい」と呼び掛けている。(2023年9月21日 タウンニュース)


一方で、平塚ではAIを活用して巡回し、事故を減らしています。AIがいいかはともかく、事故を減らすための努力が功を奏していると言えます。警察は、ヘルメット着用の啓発に力を入れるより、もっとやることがあるはずであり、やっている警察署もあるわけです。

私は何も、ヘルメットなどかぶるなと言いたいわけではありません。私自身、ママチャリ等で近所に出かけるような時は別として、必要な時にはかぶります。ヘルメットも複数所有しています。ただ、ヘルメットを着用するかどうかは個人が決めればいい問題です。

警察のアナウンスやマスコミの報道を見ると、ヘルメットを着用することこそが大事であり、事故を防ぐかのような論調になっています。しかし、それは誤りです。ヘルメット着用したからといって事故に遭わなくなるわけではないのは自明の理です。むしろヘルメットの着用にばかりに関心が向かい、大切なことが見逃されます。

大切なのは、事故に遭わないためにルールを守ること、危険な走行をしないこと、何が危険で事故を誘発しかねないか知ることです。警察や行政は、利用者にルールを遵守させ、危険な箇所を是正し、必要な自転車空間の確保などインフラの整備を進め、事故を減らすことこそが役割であり、やるべき仕事でしょう。

ヘルメット海外の事例などを見ていると、クルマとの事故で死傷するような場合に、自転車用のヘルメット程度では不十分で、結果として役に立たないというエビデンスを示した研究も少なくありません。それに基づく調査の結果、ヘルメット着用の義務や推奨を止めた自治体もあります。

ヘルメットを着用すれば、安心感が得られるかも知れませんが、実は死亡事故に対する防護としても疑問とされているのです。環境も違いますし、海外の研究をそのまま日本に当てはめるつもりはありませんが、日本のようにヘルメットこそ命を守るという警察のキャンペーンに、問題はないでしょうか。

誤った方向に導きかねませんし、もっと本当に必要な問題点が見失われかねません。これも何度も書いていますが、自転車先進国オランダのヘルメット着用率は、わずか0.5%です。200人に1人いるかいないかです。休日にロードバイクで遠出をする人などを除けば、オランダ人のほとんどがヘルメットをかぶっていません。

一方、調査によれば、移動距離あたりの死亡率が最も低かったのはオランダとなっています。このことだけを見ても、ヘルメット着用と事故の低減に相関性がないのは明らかに見えます。オランダ人は、日常生活の中の自転車での移動に、ヘルメットの必要性を感じていません。

オランダでは、自転車レーンなどインフラ整備が進んでおり、そのため自転車での通行に秩序が出来ています。クルマと事故が起きる要因も極力減らされています。そうしたことが事故防止や事故の減少に大切なのであり、警察や行政が取り組むべきです。オランダスタイルを目指すべきだと思います。

なぜか警察はヘルメット着用率の向上にこだわっていますが、それでは事故は減りません。むしろヘルメット着用にばかり人々の意識が行ってしまい、着用すれば安心かのような気にさせてしまうのも問題です。なぜ、必要なのはそれではないと、誰も声を大にして言わないのか不思議でなりません。










◇ 日々の雑感 ◇

中国政府は日本産海産物の輸入停止を止めそうにありません。一方、中国では海産物の消費が落ちているそうです。日本産の輸入でなくても、中国漁船は日本近海で漁をしていることをSNSなどを通じて中国国民に周知することで懸案となっている中国漁船の日本近海での違法操業や乱獲を止める効果が見込めるかも知れません。

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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんにちは.

まさに今回の貴記事と私も全く同意見です.ヘルメットや自転車保険の義務付けだけで,決して自転車自体の安全性が格段に向上する訳ではありません.警察庁等が自転車の事故防止のために注力すべき事は,車道左端に近い左側走行を基本とする自転車の交通ルールの正常化であり,そもそも事故に遭わないために正しいルールに基づいてより安全で快適に走るための注意力,判断力,走行テクニックを鍛え,「安全」と「楽しさ」を両立させる自転車教育の改革です.

中でも自転車同士の衝突を防ぐには,「自転車通行可(歩行者優先)」とされている併用歩道で自転車が左右両方向に通行可能とされている法令上の矛盾を無くし,左側通行を徹底させる事です.何回か申したと思いますが,これが自転車の交通ルールを乱す最大の元凶に他なりませんし,「自転車は歩道の右側を走るのが正しい」という恐るべき思い違いをしている人がかなりいるように見受けられるのです.

「車道(左側)が原則,歩道は例外」と,「自転車安全利用五則」で明記しながら,依然として「自転車は歩道」を前提にして自転車の通り道としては全く使い物にならない,厳密には違法な併用歩道ばかり造られ続けている道路政策にも私は我慢がなりません.
Posted by マイロネフ at September 25, 2023 16:31
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車の歩道走行をなくし、車両として乗る意識を植え付け、車道走行をすることで、左側通行なども守られるなど、自転車の通行に一定の秩序が出来ていくと思います。

欧米の自転車先進都市でなくても、車道走行は世界の常識であり、見ていると一定の秩序が出来ています。
その上で、秩序を乱したり、ルールに違反する人を取り締まれば効率的ですし、自転車の安全性も向上するでしょう。

こうした当たり前のことは、少し海外の事情を見れば理解できるはずなのに、そうした方向への努力は放っておいて、ヘルメット着用の啓発ばかりしている。
日本の警察や行政はどうかしていると思ってしまいます。
Posted by cycleroad at September 28, 2023 17:18
 
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