October 31, 2023

自転車に乗る意識に問題あり

今日はハロウィーンです。


一年前には韓国・梨泰院の事故もあり、毎年ハロウィーンでの迷惑行為が過熱していた渋谷では、来ないよう呼びかけるなど対策がとられています。さて、そんな世間の話題とは関係ありませんが、今回は最近の自転車関連のニュースの中から、目についたものをピックアップしてみたいと思います。


高校生が死亡…自転車で横断中、左折車に巻き込まれる 信号機ある交差点 運転手を逮捕「行く先を見ていて、気付かなかった」 車の左側から真っ直ぐ走行していた18歳

左折車24日午後0時55分ごろ、川越市富士見町の国道16号で自転車に乗っていたふじみ野市鶴ケ岡1丁目の男子高校生(18)が中型貨物自動車(パッカー車)と衝突し、搬送先の病院で死亡が確認された。

川越署は自動車運転死傷処罰法(過失運転致傷)の疑いで、車を運転していたさいたま市北区東大成町2丁目の運送業の男(65)を現行犯逮捕した。

同署によると、現場は、信号機のある十字路交差点で男が川島町方面からさいたま市方面に左折進行中、左方から道路を直進で横断する自転車に衝突した。高校生はヘルメットは着用していなかった。男は「左折進行先を見ていて自転車に気付かなかった」と供述しているという。(2023/10/25 埼玉新聞)


いわゆる左折巻き込み事故です。気の毒なことに高校生が亡くなっています。ドライバーも、そうした危険性があることは当然知っていたはずですが、「左折進行先を見ていて自転車に気付かなかった」という軽率な行為で事故が起きています。少しの不注意でいとも簡単に人命が失われてしまうことに、改めて嘆息せざるを得ません。

左折巻き込み事故については、特に大型の車両のドライバーには広く知られているはずですが、依然として発生しています。それも少しの不注意で簡単に起きてしまいます。自転車利用者としては、やはり交差点で大型車と並走しないようにするなど、自衛していくしかなさそうです。


【詳しく】警察官が運転する自転車にはねられ男性が重傷「朝日がまぶしく」

警察官25日朝、佐賀県小城市で、佐賀県警の男性警視が運転する自転車にはねられ、70代の男性が重傷を負いました。佐賀県警が26日夕方、発表しました。

男性警視は「朝日がまぶしかった。気づかなかった」などと話しているということです。

警察によりますと、25日午前7時半すぎ、佐賀県小城市三日月町金田の県道で、佐賀県警の50代の男性警視が運転する自転車が歩行者をはねました。はねられたのは近くに住む70代の男性で、病院に搬送されましたが、頭の骨を折るなど重傷です。

男性警視は佐賀県警察本部の刑事部に所属していて、事故当時、通勤途中だったということです。自転車はクロスバイクと呼ばれるタイプのものでした。男性警視にケガはありませんでした。警察の調べに対し「朝日がまぶしかった。前をよく見ていなかった。気づかなかった」などと話しているということです。

警察によりますと、現場は片側1車線の歩道がない道路で、自転車は進行方向に向かって左側を走っていましたが、歩行者がどの向きに進んでいたかは分かっていないとしています。佐賀県警は事故翌日の26日午後4時ごろに事故を発表し、当時の状況や事故の原因を調べています。(2023/10/26 FBS)



警視の自転車事故受け陳謝 佐賀県警

佐賀県警の男性警視が自転車で通勤中に歩行者に衝突した事故に関し、県警の中道一輔警務部長は27日の定例会見で「被害者に重傷を負わせ、大変申し訳ない。一日も早い回復をお祈りする」と陳謝した。

事故は25日朝、小城市三日月町の県道で発生した。自転車で路側帯を走行中に前方の70代男性に衝突した。男性は転倒し、頭の骨折など重傷を負った。

中道部長は「自転車事故の防止を重視している中で、幹部職員が事故を起こしたことは残念」と述べた。改めて職員への指導を徹底していく考えも示した。(2023/10/27 佐賀新聞)


幹部警察官でも事故を起こしてしまうことはあるでしょう。たしかに朝日や夕日で、日が低いと眩しいこともあります。ただ、前をよく見てなかったのは不注意であり、過失として責めを負うべきです。一般人だと報道されることもあるのに、なぜ警察官だと事故を起こしも、いつも氏名が公表されないのか不公平な気がします。


「レベル4」自動運転車両 自転車と接触事故で運行中止に 福井

自動運転29日午前、福井県永平寺町で全国で初めて特定の条件下での完全な自動運転「レベル4」の運行を行っていた車両が、走行中に道路脇にあった自転車に接触する事故がありました。

けがをした人はいませんでしたが、運行する町の第三セクターは、安全が確認されるまでは運行を中止することにしました。

29日午前10時半ごろ、永平寺町志比の町道で、自動運転を行っていた車両が、道路の左側に駐輪してあった自転車と接触しました。警察や町によりますと、当時、この車両には4人の客が乗っていましたが、けがをした人はいなかったということです。

永平寺町では、ことし5月から、町道のおよそ2キロの区間で時速12キロ以内で走るなど、特定の条件のもとで完全な自動運転「レベル4」の車両の運行が全国に先駆けて始まっていました。

車両には、障害物を避けるためのセンサーやレーダーが取り付けられていたということで警察は事故当時の状況を詳しく調べることにしています。また、車両を運行する町の第三セクターは、事故原因の究明や、再発防止策の策定が行われ、安全が確認されるまで運行を中止することにしました。(2023年10月30日 NHK)


自動運転の試験運転などが一部で始まっていますが、事故を起こしています。この事例だけで自動運転が危険だとか、時期尚早などと言うつもりはありません。ただ、やはり自転車だとセンサーなどに見逃されやすい面があるのだとしたら、今後の実用化に向けて気になる部分ではあります。


自転車の「一時停止」警察が取締りを強化

一時停止ことし県内で、自転車が一時停止しなかったことが原因の交通事故が増加していて、警察が取締りを強化しています。

このうち、岡山市東区の岡山東警察署近くの交差点では、交通量が増える夕方に取締りが行われました。
警察官らが、行き交う自転車を止めては「一時停止してください」と声をかけたり、チラシを手渡したりして注意を呼びかけ、2時間で3人が違反で検挙されました。

警察によりますと、ことし9月末までに自転車が主な原因の事故のうち、一時停止しなかった違反によるものが46件と、全体の3割近くを占め最も多くなっています。

このため警察は取締りを強化していて、自転車で一時停止をしなかった違反の検挙数は、去年は0件だったのが、ことしは10月23日までの暫定値で31件に上っています。

岡山東警察署交通課の三村昂弘課長は「『自転車も取り締まられるの?』とよく聞かれるが、警察としては検挙を強化している。自転車の運転手も車と同様、交通ルールを守ってほしい」と話していました。(10月25日 NHK)


岡山県警が自転車の一時停止の取締りを強化しています。私もクルマを運転していて、自転車が細い道から一時停止せずに飛び出してきて肝を冷やすことがあります。先日も30代くらいの婦人が細い道から自転車で飛び出してきて、危うく衝突するところでした。スピードを落としていたので、なんとか事なきを得ました。

普通の主婦と思しき人で、ご丁寧にヘルメットをかぶっていました。自分が悪かったことに気づいて頭を下げていましたが、下手をすると死傷しかねないミスであり、なぜそんな危険な走行が出来るのか不思議でなりません。こちらも加害者になりかねなかったわけで、腹立たしい思いもあります。

意図的なルール違反ではなく、漫然と走行している人も多く、歩行者感覚で車両という自覚もないのだろうと思います。自転車を歩行者感覚で乗っている以上、無自覚で軽率な一時不停止はなくならないと思われます。岡山県警もご苦労なことですが、注意されても直らない人は多いと推測されます。

やはり一時不停止、赤信号無視、逆走、その他、自転車として走行している自覚のない傍若無人な人を減らすためには、根本的に自転車環境を変えていく必要があると思います。ヘルメット着用の啓発とは違い、事故防止につながる取締りだとは思いますが、キリがないのも確かだと思います。


自転車事故の約6割は出会い頭 事故防止へ宮崎市で警察が「自転車の交通違反」集中取り締まり

出会い頭交通事故防止を図ろうと宮崎市で、警察による自転車の交通違反の集中取り締まりが行われました。

(警察官の指導)「自転車の方は左側の通行になります。こちらの歩道では自転車の方は降りてください」

この取り締まりは、交通ルールの順守や、自転車事故の防止を図ろうと行われたものです。宮崎北警察署では、通勤や通学などで交通量が多い宮崎駅東地区を自転車の指導啓発重点地区に選定していて、27日は地区内の交差点で、警察官が自転車の通行区分違反などを取り締まりました。

(宮崎北警察署 脇屋敷義明交通課長)「自転車事故の約6割が出会い頭の事故です。ですから、一時停止のある場所ではしっかり一時停止をしていただいて、安全を確認したうえで交差点に入っていただくと、自転車の方もですね」

警察によりますと、県内では、今年1月から先月末までに自転車が絡む事故が292件発生し、2人が死亡しているということです。なお、朝と夕方の取り締まりでは、自転車の並進と通行区分違反であわせて3件の警告を行ったということです。(2023年10月27日 TBS)


宮崎県警も集中取締りを行っています。一時不停止等が事故に直結するという自覚がないのでしょう。これまでは大丈夫だったとしても、次は死傷するかも知れません。ルール違反の問題ということもありますが、命に関わる話です。事故に遭ってからでないとわからない人が少なくないのは嘆かわしいと言わざるを得ません。


「自分が見えるからOK」←違います!! 無灯火の自転車 減少傾向も違反は信号無視の5倍

無灯火2022年に自転車へ対して交付された指導警告票の総数は約132万件でした。そのうち無灯火によるものは約33万件。年々減少傾向とはいえ、信号無視などの5倍近くを占めます。

「無灯火」イエローカード交付件数は約33万

彼岸を過ぎて日の入りが早くなり、同時に薄暮が迫るのも早くなってきました。この時期、車両は早めのライト点灯が呼びかけられますが、暗いのにライトを点灯していない人が多い乗りものといえば、自転車でしょう。
 
警察が2022年に自転車の取り締まりで「指導警告票」(いわゆるイエローカード)を交付した件数は、およそ132万件でした。そのうち「無灯火」の件数は、「2人乗り」や「信号無視」などの5倍近く、約33万件に及んでいます。

自転車における夜間のライト点灯については、道路交通法第52条で「車両等は、夜間(日没時から日出時まで、以下略)は、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と定められています。にもかかわらず無灯火のまま自転車を運転する人の意見に、しばしば「自分が見えているから平気だ」というものがあります。自転車のライトは前を照らすだけのもの……と思っているようです。しかしライトには、自身の存在を周囲に知らせる役割もあります。

無灯火の人が多い理由について、自転車の普及促進やマナー啓発活動などを行っている業界関係者は、以前こう話していました。

「乗っている人からすれば『夜道でも(自分は)見える』という意識があるのでしょう。ひと昔前であれば、発電機のローラーをタイヤの側面に押し合てて点灯させるタイプのライトは、ペダルを漕ぐのが重くなるからといった理由をよく聞きましたし、また学生さんからは、『ライトをつけるのがなんとなくカッコ悪い』という声もありました」

「漕がないでいいライト普及」だけではない?

自転車に限ったことではありませんが、夜間のライト点灯には、自分の視界を照らす以外に、自身の存在を周囲に気づいてもらう役割があるといいます。それを軽く見ている人が多いのかは分かりませんが、無灯火が「取り締まりの主たる要素となっているから」こそ、違反件数が突出しているのだろうということです。

ただ最近は、無灯火に対する指導警告票の交付件数は減ってきています。10年前、2013(平成25)年は約73万件でしたが、2016(平成28)年に50万件を割ると、2020年は約37万件に。近年は、自動で点灯するライトや、ハンドルなどに取り付けるLEDライトも増えており、以前のように「漕ぐのが重い」ことも少なくなっているのかもしれません。

前出の業界関係者は別の影響も指摘します。「自転車の事故や自転車保険が取りざたされることにより、乗る側の意識も向上してきていると感じます」とのこと。

自転車のライトを点灯させることで、自身が事故に巻き込まれるリスクを減らせます。警察庁によると、死亡事故は日の入り時刻と重なる17時台から19時台に多く発生しているといいます。理由として、単に周囲が見えないことに加え、お互いの距離や速度が分かりにくくなることも挙げています。

事故防止のため、明るい目立つ色の衣服を着用したり、靴やカバンなどに反射材をつけたりすることも推奨しています。(023.10.27 乗りものニュース)


無灯火も、その危険が理解されにくい違反と言えそうです。暗い夜道で無灯火、しかも車道の右側を逆走してくるような人もいます。サイクリストとしては非常に危険であり、実際に影になったり逆光で見えにくかったりして、事故になりかねないこともあります。もっと強制力のある対策がないものかと思います。


「自転車は車道通行と言われても・・・」 歩道・車道どちらも危ない? 自転車ユーザーに立ちはだかる意外な課題とは

車道通行自転車は車道通行が原則であるものの、自転車ユーザーが安心して車道を走行できない状況もみられます。では、一体どのような課題があるのでしょうか。

自転車が車道を走るときには思わぬ危険も!

交通事故件数は減少傾向にある一方、自転車が関連する事故は増加しています。自転車は車道通行が原則であるものの、自転車ユーザーが安心して車道を走行できない状況もみられます。では、一体どのような課題があるのでしょうか。

警察庁が公表している「自転車関連事故件数の推移」という統計によると、交通事故件数が減少傾向にある中、自転車が関連する事故の割合は2016年(平成28年)以降増加しています。

また、「自転車の交通指導取締り状況」の統計では2022年中、自転車による信号無視や一時不停止などの違反は約2万5000件検挙されたほか、検挙には至らないものの運転者に指導警告票を交付した件数が約132万件と非常に多くなっています。

SNS上でも「ママチャリで子ども乗せて車道逆走してる人結構見かける」、「ルールやマナーを守らない自転車が本当に多い」、「歩道を歩いていたら自転車にベル鳴らされた!ルール守れないなら乗るなよ」などと自転車ユーザーに対する厳しい声が多数寄せられています。

確かに「自転車は原則車道の左側を通行」「歩道は例外」といった基本的な交通ルールは守らなければいけませんが、自転車ユーザーが車道を安全に走行できる道路状況でないケースも散見されます。では、一体どのような課題があるのでしょうか。

警察庁が2023年7月26日から8月1日までの間、全国の10代から70代の男女5017人に対しておこなった自転車の交通ルールに関するアンケート調査では、さまざまな課題が浮き彫りとなっています。

たとえば自転車の運転経験がある2824人のうち、過去1年間に自動車と「接触したことがある」または「接触しそうになったことがある」と回答した人は全体の36%に上り、決して少ない割合ではないことが分かります。

さらに、自動車と接触した経験のある164人に接触場面について尋ねた調査では、「交差点で車道を通行しているとき」や「交差点以外で車道を通行しているとき」、「交差点で横断歩道や自転車横断帯を渡っているとき」などが挙がりました。

そして自動車と接触する直前に気になったことに関しては「隣の自動車に横から距離を詰められた」が全体の42.1%、「交差点で他の自動車が安全を確認せずに右折してきた」が26.8%、「他の自動車が急に前に割り込んできた」が25.6%という結果でした。

接触しそうになった経験を持つ自転車ユーザーからも同様の意見が寄せられており、自動車が自転車に幅寄せをしたり、交差点で右左折する際に十分な安全確認をしていないといった可能性が示唆されています。

そのほか自転車の交通ルールで不合理だと思うものや危険だと思うものについての調査では、「都内は路上駐車が多く、避けて通行しなければならず危険」という意見や「基本的に車道を通行しなければならないが、大通りはトラックがたくさん走っていて怖い」などの声が寄せられています。

実際のところ自転車専用通行帯の上にクルマが路上駐車しているケースも多数報告されているほか、自転車が路上駐車を避けた結果、他のクルマと接触したり、いきなりクルマのドアが開いて衝突したりする事例も発生しています。

「自転車は車道が原則」とはいっても、前述のように自転車ユーザーが安心して走行できる道路環境でないケースも少なからずあるといえるでしょう。

車道通行自転車と自動車が上手く共存できるよう自転車専用通行帯や自転車道の整備といった道路環境の改善は必要であるものの、予算面などからすぐに実行できるワケではありません。

そのため、「自転車は二輪で転倒・怪我をしやすい」「自動車は死角があり後方部分を認識できない場合がある」など、お互いの車両特性を理解し、自転車と自動車それぞれが交通ルールを守って配慮し合うことが重要です。

※ ※ ※

自転車は車道通行が原則ですが、自動車による路上駐車や幅寄せなどの行為によって安心して通行できない状況もみられます。双方が交通ルールを守ることはもちろんですが、自転車側は自動車の死角を考慮して通行する、自動車側は右左折時の安全確認を徹底するなど、自身の運転を見直すことも大切といえます。(2023.10.29 くるまのニュース)


『2022年中、自転車による信号無視や一時不停止などの違反は約2万5000件検挙されたほか、検挙には至らないものの運転者に指導警告票を交付した件数が約132万件と非常に多くなっています。』とあります。これだけ検挙や指導をしているのに、その効果が出ているとは思えません。

もはや、自転車のルール無視、傍若無人な走行が当たり前のような状態になっており、容易に正せないレベルに達していると言っても過言ではないでしょう。たしかに車道走行と言っても、危ない、怖いという人もあるでしょう。これまで歩道走行を前提に道路整備してきたため、車道走行向きでない場所も少なくありません。

まず、この状態を是正し、誰もが車道走行出来る、車道走行するようにする必要があります。その上で、全面的に歩道走行を禁止し、自転車を車両として走行させることで、これまでの歩行者感覚の走行と決別する必要があります。そうなってこそ、ルールを守って走行するのが習慣となり、道路上の秩序も形成されていくしょう。

迂遠のように感じますが、それが順序です。今のまま、いくら取締りをしても埒が明きません。実は、今や自転車先進国のオランダも、モータリゼーションの昔は、自転車のルール遵守状況や交通秩序は、今のようではなかったと言います。オランダは車道に自転車の走行する空間の整備を進めたことで変わっていったのです。

決して最初から自転車の走行に秩序があったわけではないのです。自転車の走行空間の整備が進めば、車道走行が当たり前になり、ルールやモラルに従ったほうが走りやすいので、自然と秩序が形成されていきます。車両として走行する意識も当たり前になります。

国が平坦で自転車に乗りやすいなどの理由もありましたが、国の政策として自転車の活用を推進することを決め、整備を進めてきたのです。そして長い期間を経て、今のような秩序が形成されました。日本でも、まず走行空間を整備し、車道走行し、車両として走行するようになって初めてルールも遵守されるようになると思います。


自転車にも青切符 反則金検討、違反野放し変える契機に

反則金交通事故全体は減少傾向にあるのに、自転車がからむ事故は増えている。2022年は約7万件で、2年連続の増加だった。警察は新たな罰則制度の導入も検討しているという。事故を防ぐ決め手になるのか。

「自転車は左側走行ですよ」。岡山市中心部の繁華街。狭い道の真ん中をふらふらと走っていた自転車を警察官が呼び止めた。運転する高齢女性から住所や氏名を聞き取った後、緑色の書類1枚と反射材を渡す。「気をつけてください」と声をかけて見送った。

書類の名称は「交通安全・愛のお届けカード」。比較的軽い違反をした高齢者(65歳以上)に交付する岡山県警独自の制度だ。一定期間内に2度受け取った人には、自宅を訪問してあらためて注意を促す。

14年の導入当初は歩行者だけだったが、事故増加を理由に3年前から自転車も対象に。交付件数は年々増え、22年度は計7482件に上った。

法律上、自転車で悪質な交通違反をした人には「赤切符」が交付される。検察が起訴すれば罰金や懲役を科せられる可能性があるが、実際に適用されるケースは限られ、摘発されても起訴まで至らないことが多い。軽微な違反は事実上、野放しに近い。

愛のお届けカードに罰則はない。あくまで注意喚起である。県警交通企画課の黒籔昌史次長は「受け取った方は記憶に残る。ルールを知ってもらい事故の芽を摘むきっかけになれば」と話す。

自転車に青切符(交通反則切符)を導入できないか――。警察庁がこんな検討を進めている。今夏に立ち上げた有識者検討会が年内にも結論を出すという。

青切符は比較的軽い違反が対象で、数千〜数万円の反則金を納めれば刑事罰を免除する仕組みだ。手続きにかかる時間や手間も少ない。

ただモータリゼーションが進んだ1960年代に生まれた制度で、自転車は対象外。車やバイクのように青切符を切ることができれば、より効率的な取り締まりができるはず。そんな狙いがある。

東海大の鈴木美緒准教授(交通工学)は「一定の効果はある」とみる。免許を持たない自転車利用者が交通ルールを身につけるきっかけになるからだ。ただ取り締まりだけでなく「子どものうちから実践的で安全な乗り方を身につける機会を増やすことも大切」と訴える。

例えば、自治体や学校が独自に発行する「自転車免許」もその一つだろう。20年ほど前から始まったとされ、講習会を受講した子どもらに交付する。公共施設の割引など優遇制度を設けている地域もある。こうした取り組みも一考に値するのではないか。大人を対象にしてもいい。

自転車が日本に渡来して約1世紀半。この間、安全対策が十分に検討されてきたとは言いがたい。そろそろ本腰を入れる時期ではないか。(2023年10月29日 日経新聞)


自転車にも反則金を導入し、違反の野放しを変えるべきとの意見記事が載っていました。確かに、これだけ自転車のルール違反が常態化し、交通秩序が混沌としている状態に対し、取締りの実効性を上げることは必要でしょう。サイクリストにとっても脅威ですし、その点については異論はありません。

自転車の免許制度については、これを取り入れている国はありません。事務手続きなどに莫大なコストがかかりますし、誰でも乗れる自転車に導入するのはナンセンスです。ただ、自治体や学校が独自に導入することで、ルールの周知、啓発の手段とすることには一定の意義はあると思います。

しかし、いずれにせよ、多くの人がルールを遵守するようになり、今の混沌とした自転車の交通秩序を正すのは容易ではないでしょう。やはり、自転車利用者が『歩行者感覚』で乗っているうちは難しいと思われます。警察の要員も限られている以上、「焼け石に水」になりかねません。

ルールの周知を徹底し、守らない人は取り締まる、当たり前のことですが、その前提として、自転車が『車両』として乗られるような交通環境がなくてはなりません。まずその環境整備が必要です。周知や取締りは、今もしているわけで、なかなか是正されていかないと思います。

その意味で、本末転倒的な部分があります。せっかく網に魚を追い込んでも、網が破れていれば無意味なのと一緒です。今、これだけ違反が常態化しているのは、そもそも自転車を歩道走行にしてしまい、人々が歩行者感覚で乗っているからです。まず、この点を改めるのが先決であり、絶対に必要なことではないでしょうか。


コロナの後に増えたのは…自転車盗難 無施錠は「非錠識」 京都

無施錠乗り換えに次々と盗む悪質な例も

新型コロナ禍で抑えられていた人の移動が活発化する中、京都府内で自転車の盗難が増加している。多数の自転車が止まる駐輪場で鍵を掛けていない自転車が狙われるケースが多く、容疑者が盗難車を乗り継ぐなど悪質な例も。京都府警は「油断せず確実に施錠を」と注意を呼び掛けている。

向日町署は13日、向日市役所の駐輪場で8月に無施錠の自転車を盗んだとして51歳男性を窃盗容疑で逮捕した。捜査関係者によると、この前後に乗っていたのも盗難車とみられ、男性は「空気が減っていたから乗り換えた」と説明。同署による自転車盗を巡る逮捕者は8月以降、4人に上った。

府警によると、自転車盗難の発生件数は府内全体で増加傾向にあり、2023年1〜9月で計2272件と前年同期比649件増えた。5月に新型コロナが5類感染症に移行するなど制限緩和の影響が考えられるという。

また、被害に遭った自転車は施錠なしが1546件(前年同期比511件増)、施錠ありが726件(同138件増)と鍵を掛けていなかったケースが圧倒的に多かった。

こうした情勢を受け、阪急東向日駅前(向日市)では24日、向日町署員らが自転車の利用者にワイヤ錠を配るなど啓発活動を行った。チラシでは被害場所は集合住宅の駐輪場が多いことなども具体的に解説。同署の高橋聡生活安全課長は「自宅の前でも確実に施錠し、未然に被害を防いでほしい」と話した。

中学生が標語「鍵かけないは非錠識」

自転車盗難の被害を防ぐため、京都府八幡市立男山東中(同市内里)の生徒が施錠の徹底を訴える標語を考案し、八幡署が啓発グッズに活用した。同署は標語を作った生徒らに感謝状を贈った。

自転車通学者の多い同中では生徒会が「Lock the bike」運動を実施。オリジナルのポスターを校内に張るなどして施錠の意識を高めており、今夏に全校生徒を対象に標語を募った。

同署は「鍵かけないは非錠識」「LockしてるかLookしましょう」「鍵抜かず 自転車なくなる 母怒る」の3点を選び、クリアファイルとチラシ各2000枚を作成。啓発イベントなどで市民に配る予定だ。

16日に同署でお披露目があり、標語を考案した北村慶太さん(14)▽丹羽彩月さん(13)▽横田航旗さん(13)の3人と、生徒会代表の藤原桔花さん(13)に柴田和己署長が感謝状を授与した。

北村さんは「『非常識』に『錠』の字を当ててインパクトを狙った。自転車盗に遭わないよう他の人に呼び掛けていきたい」と話し、柴田署長は「いずれも若い感性と工夫にあふれた標語。特に同世代に訴えると思う」と期待した。(毎日新聞 2023/10/27)


世界の大多数の国では、自転車に鍵をかけないなんて考えられず、盗んでくれと言っているようなものです。事実、あっという間に盗まれると言います。まさに、『鍵かけないは非錠識』なわけです。それが日本では無施錠にしている人が多いという非常識状態です。

日本の自転車市場では格安のママチャリが席捲しており、盗まれても大した被害にならないということが背景にあるのでしょう。格安ママチャリを使い捨てのようにしている人が少なくないと思われます。放置自転車として撤去・移送されても受け取りに行かない人が多いのもそれを裏付けています。

ママチャリが格安なのと、修理を頼めるところが少なく、修理代も本体価格と比較して相対的に高くなるということもあるのでしょう。そこそこ劣化しているならば、少し足してまた買いなおした方がいいと考える人も多いに違いありません。そして、捨てるより手っ取り早いので、駅前などに自転車を放置するわけです。

盗まれたら買い替えようと考える人が多いのに、ワイヤ錠を配っても、あまり効果は見込めないでしょう。しかし、一方で自転車盗という犯罪を誘発しているわけで、社会的には困った問題です。立派な窃盗罪ですが、軽く考えて、疲れたから鍵のかかってない自転車を見つけて乗っていこうなどと考える人も多いのでしょう。

おそらく、鍵をかけない人は盗まれても構わないと思っているわけで、そこが厄介です。盗難を防止しようという行動につながりません。しかし、結果として自転車盗を増やし、そのことで青少年の非行が増え、それが地域の治安を悪化させることも明らかになっています。

盗まれてもいいと思っていても、そのことは犯罪を誘発し、窃盗犯をつくってしまうわけです。そして、自転車盗を入り口に非行少年を増やし、治安を悪化させ、社会的なコストを増大させます。『鍵かけないは非錠識』はその通りですが、なぜその行為が批難されるのか、周知していくことも必要だと思います。




◇ 日々の雑感 ◇

各地でクマの出没が急増し駆除が増えていますが、それに苦情が寄せられるそうです。死傷者が出ている事態なのにクマが可哀そうなんてよく言えるものです。自分が被害に遭わなければいいのでしょうが、いい気なものです。

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