November 21, 2023

自転車に乗ることによる効用

現代社会にストレスの種は尽きません。


ネット社会となり情報の量は飛躍的に増えましたし、テクノロジーの進歩の速度も増して新しいことが次から次へと出てきます。コミュニケーションも多様で複雑になり、仕事のことだけでなく人間関係やお金のこと、家庭の事から健康のことまで悩みも多く、いろいろなストレスを発生させています。

おそらく、いつの時代の人にも悩みや気になることはあったわけで、今とは違うにせよストレスを感じていたはずです。しかし、今より社会の変化のスピードもゆるやかなものだったでしょうし、知り得ることが限られていたぶん、ストレスの種も相対的に少なかったかも知れません。

瞑想やマインドフルネスPhoto by Grenavitar,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

ストレスフルな社会は、当然ながら日本に限ったことではありません。実は日本より労働時間が長いと言われているアメリカ人も、ビジネス面をはじめとして、多くのストレスを抱えています。そのことによりメンタル面でダメージを負う人も多く、どうやって和らげるかが重要な課題です。

そこで近年注目が高まっているのが、「マインドフルネス」です。日本語で「瞑想」のことです。厳密に言えば仏教に由来する瞑想と、それをベースとしているものの宗教性を持たず、実践や医療行為としてアメリカで生まれたマインドフルネスと同じではありませんが、共通するものと言っていいでしょう。

瞑想やマインドフルネス瞑想やマインドフルネス

テクノロジーの革新で競争の激しいIT業界では、社員のメンタルヘルスを保つためにグーグルやアップルなどの企業も続々と取り入れています。全米最難関と言われるスタンフォード大学では、マインドフルネスが通常の授業として教えられています。いまや人気とか流行の域を超えてマインドフルネスが実践されています。

マインドフルネスの効用は広く知られており、IT企業に限らずビジネスマンでマインドフルネスをする人が増えています。1980年代からアメリカに伝わりましたが、2000年代以降に東洋思想への関心が高まったこともあり、その効用が広く知られるにつれ、多くの人が実践するほどの大人気となりました。

マインドフルネスマインドフルネス

マインドフルネスは、過去や未来ではなく、「今」、「ここ」に集中して瞑想することで、不安を改善したり、心を穏やかにしたり、集中力を高めたりします。当然ながら、過去の苦い思い出とか、将来の心配事、現在抱えている問題など、余計なことは一切考えないようにします。

頭をからっぽにすると言ってもいいでしょう。「今」、「ここ」だけに集中するのです。言葉で言うのは簡単ですが、頭をからっぽにするというのは、それほど簡単なことではありません。人間は、考えようと思わなくても頭にいろいろな考えが浮かんできてしまうからです。

頭を「からっぽ」にするレッスン
試しに少しやってみれば、すぐわかります。頭をからっぽにしているつもりでも、気がつくと何か考えています。はるか昔のことから遠い将来のことまで、深刻な問題から日常のくだらないことまで、たくさんのことが頭に浮かんできます。一説によれば、人間は1日に数万回の思考を行っていると言います。

楽しいことばかり考えられればいいですが、そうはいきません。ネガティブなこともたくさん頭に浮かんで来るはずです。人間は常に何か考えています。これは人類の進化の過程でそのようになったと言われています。防衛本能で、常に周囲を警戒したり、逃げ方を考えたり、起きうるピンチを想定したりしていたのでしょう。

今は油断していてライオンに襲われることは、まずありません。何も考えなくても危険ではない環境にいることも可能です。しかし、人類がこれを獲得したのは、人類の歴史から見てほんの最近のことに過ぎず、非常に長い間、常に考えていなければいけない生活をしてきたため、脳がそのままなのです。

ですから、マインドフルネスでストレスを解消したり、健康状態を改善したり、睡眠の質が上がったといった効果を感じる人がいる一方で、余計な考えが消せない、出来そうで出来ない、効果が感じられない、そして試してみたもののやめてしまう人も少なくないと言います。続ける人がいる一方で、興味を失う人も多いに違いありません。

余計なことを考えてはいけないのではなく、頭に浮かんでいることに気がついたら、それをやり過ごします。そして自分の呼吸や身体の状態など、「今」、「ここ」だけに改めて集中するようにすればいいと、やり方を指南する本には書かれています。ただ、自分に向かないと思ったら、無理してやる必要もないでしょう。

心が整うマインドフルネス入門
精神科医が実践するマインドフルネストレーニング
ヴィパッサナー瞑想の教科書


ところで、私が個人的に考えるマインドフルネスの方法があります。それはサイクリング、自転車に乗ることです。マインドフルネスにはいろいろなやり方があるとは言え、それはマインドフルネスではないと笑われてしまうかも知れません。でも、マインドフルネスとサイクリングには共通する部分があります。

自転車に乗っている時は、乗ることに集中しています。路面の状態から信号や標識、周囲の人や他の交通など、まさに「今」、「ここ」に集中して走行することになります。よほど安全で変化がなく、景色も単調な場所ならともかく、一般的には自転車に乗るという行動に集中することになるでしょう。

マインドフルネスマインドフルネス

場合によっては、今日あった嫌なこととか、抱えている懸案などが頭に浮かぶこともあるかも知れませんが、帰ってきて、そうしたことを全く忘れていたとことに気づくことも多いのではないでしょうか。余計なことを考えない時間が持てるので、自転車に乗ると気分転換になる、リフレッシュになる人は多いに違いありません。

このブログでも取り上げてきましたが、自転車が、うつ病の軽減や予防などメンタル面でいい効果があるとする研究はいくつもあります。趣味のサイクリストなら、休日のツーリングがリフレッシュ、ストレス解消になっていると感じる人は多いはずです。


This image is in the public domain.
“When the spirits are low, when the day appears dark, when work becomes monotonous, when hope hardly seems worth having, just mount a bicycle and go out for a spin down the road, without thought on anything but the ride you are taking.”

― Arthur Conan Doyle


「気分が落ち込んでいるとき、暗く感じる日、仕事が単調に感じるとき、希望が持てないとき、ほかの事は何も考えずに自転車で出かけなさい。」

― アーサー・コナン・ドイル



“Melancholy is incompatible with bicycling.”

― James E. Starrs


「憂鬱とサイクリングは相いれない。」

― ジェームス.E.スターズ



自転車通勤をしていると、仕事場に着いて朝からやる気が出ると感じたり、仕事が捗ると感じる人が多いのも、同じ効果かも知れません。自転車に乗るのことのメンタル面の効用を感じる人は多いと思います。ちなみに、著名人もそのことを言葉として残しています。( ↑ 引用参照)

自転車に乗ることにだけ集中するため、余計なことを考えず、頭がからっぽになるのは、サイクリングの効用であり、マインドフルネスとの共通点と言えるでしょう。もし、マインドフルネスが上手く出来ない、効果を感じられない、続かないという人は、サイクリングに変えてみてはいかがでしょうか。





◇ 日々の雑感 ◇

ChatGPTを開発した米オープンAI社、元CEOが移籍、従業員大多数も続くとの報、何が起きているのでしょうか。

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