November 27, 2023

むしろ目立つ事に意味がある

日本にはさまざまな文化があります。


独特の伝統文化として、海外からの観光客の関心も高く、人気の的となっています。私たちには当たり前でも、例えば、見知らぬ人とも同じ湯につかる温泉は日本独特の文化と感じるようです。ほかにも歌舞伎、着物、茶道、浮世絵、武道、アニメ、さまざまな日本食、サブカルも含め、人気の高いものがたくさんあります。

なかには日本人には意外なものの中にも人気の高いものがあります。これもたくさんありますが、その一つに「金継ぎ」があります。茶碗などの陶磁器の破損した部分を「漆」を使って修復する技術です。必ずしも仕上げに金粉を使うとは限りませんが、金を使うという意外性も注目される理由なのでしょう。

昔は高価で貴重だった陶磁器が割れてしまった場合に、修繕して大事に使うための技術だったわけですが、茶の湯文化などとも相まって、金継ぎされた器が高く評価されるようになったのも独特の文化と言えます。現代においても、数百円の器を一万円かけて金継ぎしたりするのも、伝統文化たる所以でしょう。

Kintsugi: Finding Strength
Kintsugi: Scars Make Us Beautiful
Kintsugi: A Novel


日本人でも馴染みのない人は多いと思いますが、いまや“Kintsugi”として世界的な知名度があります。映画スターウォーズにも金継ぎされたアイテムが登場したり、ナイキやプーマにも金継ぎをモチーフにしたモデルがラインナップされて人気になっています。

ファッションにも取り入れられていますし、“Kintsugi”という題名の小説も一つや二つではありません。海外での関心は高いものがあります。海外の人には単なる修復技術ではなく、その感性や精神性を感じるのでしょう。金継ぎをセラピーやウェルネスとして捉え、“ZEN(禅)”のようなものと考える人も多いと言います。

Kintsugi: A family drama
Kintsugi: Un voyage initiatique au coeur de l'etre
金継ぎ修理キット


つまり、アートとしてだけでなく、自分の心が壊れた時にもそれを再生する行為、精神的な治癒の象徴、あるいは哲学のように感じる人も多いのでしょう。来日する目的として、“Kintsugi”の体験教室に参加する人や、なかには金継ぎの職人に弟子入りを申し込む人までいるそうです。

材料が乏しかった昔と違い、今ならば見ても修復したとわからないように修理することも出来るはずです。しかし、あえて割れたり壊れた部分を目立たせるかのような修復方法に、独特な感性を感じるのでしょう。傷やその復旧を隠さなくていい、むしろ誇るかのように感じるのかも知れません。

Kintsugi
Kintsugi: Recueil de nouvelles
補修 ハート パーカー


このように、海外で“Kintsugi”は高い人気となっているわけですが、もしかしたら、フランスのアーティスト、Ememem もその影響を受けているのかも知れません。この人にとっての器は、道路です。亀裂が入ったり、欠けてしまったりした道路の舗装にモザイク画のようなタイルを埋め込んでいます。

道路の舗装が欠けたり穴になった部分を修復することで、通行する人の安全性を高め、彩りを加えることで目立たせ、注意喚起すると同時に路上のアートにしているわけです。彼はこれを“flacking″と呼んでいます。フランス語で、水たまり化といった意味のようです。

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その「作品」はフランスだけでなく、イタリアやドイツ、スペインなどヨーロッパ各地に広がっています。その活動はSNSなどでも話題となっています。彼は2019年にバルセロナで起きた、カタルーニャ独立派への弾圧に抗議するデモ、衝突の直後にも作品を残しました。

デモ隊が石畳の破片を投石の道具としたのです。この、いわば衝突の傷跡を以前のように治し、なかったことにするのではなく、モザイク画にすることで残そうとしたのです。バルセロナ市も、この作品を市の文化財として保護の対象にすることにしました。

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つまり、単なる道路の補修ではなく、アート作品としてだけでもなく、市民の抗議活動や独立運動の記憶として保存するものになったわけです。あえて目立たせること、また傷を癒し、関係を修復する象徴のようなものとした点で、西洋の人が考える“Kintsugi”と似たものと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、日本でも道路を走行していると穴があったり、舗装が剥がれていたりすることがあります。クルマの通行に困るようなものはともかく、自転車が通るような道路の端の比較的小さな損傷は、長い間そのままだったりします。場合によっては落車の原因になりかねない道路の傷です。

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なかなか修復されないのは、国や市町村など道路管理者の都合もあるでしょう。道路舗装の劣化を定期的に修復するとしても、全体から見ればごく一部ですから、そう頻繁に工事するわけにもいきません。ましてや臨時に工事するには、予算をとって業者に発注するなど、さまざまな手続きがあって時間もかかるに違いありません。

でも、これは舗装を新しくしようとするからです。小さな穴や欠けだったら、少しモルタルを盛って、それこそ上にタイルでも敷いておけば十分でしょう。多少の段差が残るかも知れませんが、タイルなどで目立つぶん、注意喚起となる効果も見込めます。

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日本でも一部の市町村では、住民から画像やGPSの位置情報の通報をネットで受け付け、道路を修復しているところもあるようです。担当部署が、修復の必要な箇所を探したり点検するのもそれなりの人手や費用がかかりますから、これはリーズナブルな方法と言えるでしょう。

それを補修業者に発注するのではなく、モルタルとタイル等の資材を宅配便で通報者に送付し、埋めておいてもらうよう依頼すれば、さらに予算の節減につながりそうです。お役所仕事としては、そんないい加減なことは出来ないと言われそうですが、キレイに元のように修復しようと思わなければ、それで十分な気がします。

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なんと言っても“Kintsugi”の国です。路肩の穴や舗装の剥がれなどを放置するのではなく、金継ぎの要領で多少目立ってしまっても、こまめに修復してくれると、サイクリストや道路利用者としては助かります。どうせ次の舗装の時には消えてしまうでしょうが、利用者の安全第一のための金継ぎ、検討してみてほしいものです。




◇ 日々の雑感 ◇

イスラエルとハマスの戦闘休止は順調に推移、双方共延長に前向き、このまま停戦協議に進むといいのですが。

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