December 03, 2023

自転車に新しい可能性を開く

いまや99%に迫ると言われています。


新しく販売されるクルマのAT車、オートマチック車の割合です。ヨーロッパなどでは、国によっても違いますがマニュアル車が多く、AT車の割合は2〜3割だと言いますから、日本は圧倒的に世界一でしょう。販売割合でなく現在乗っている人の割合はもう少し低いと思いますが、AT車が当たり前のような状態です。

一部のスポーツタイプのクルマにはマニュアル車の設定もありますが、一般的なドライバーならば、迷わずAT車でしょう。いちいちクラッチを踏むのは面倒ですし、運転免許もAT車限定の免許の人が7割近くとなっており、マニュアル車を運転する機会はないと考えるのが自然なのでしょう。

Automatic Bicycle TransmissionAutomatic Bicycle Transmission

ところで自転車はマニュアルでシフトします。変速が無くシフトしない、その点でAT車のような自転車も多いわけですが、スポーツバイクなどでは自分でギヤを選択し、シフトするのが当たり前です。最近は電動シフターなどもありますが、必要に応じて自分でシフトすることに疑問を感じることはないはずです。

最近の事例では、電動アシスト自転車に人工知能・AIを搭載し、適切なギヤを勝手に選んでくれる装置を開発したといった記事も読んだことはありますが、まだ市場に出回ってはいないと思います。つまり、自転車の世界では、AT車という選択肢はないと言っていいでしょう。

Automatic Bicycle TransmissionAutomatic Bicycle Transmission

ところが、アメリカの発明家が、自転車用のオートマチック・トランスミッション・システムの特許を先月出願したことを公開し、話題になっています。前後のギヤの形が従来のものとは違い、腕のような部分の先に小さなギヤがついた形が目をひきます。

この腕の部分が伸びたり縮んだりします。坂道になるなど、ペダルに対する抵抗が大きくなると縮んで、小さなギヤのような状態になる一方、抵抗が小さくなると伸びて、大きなギヤを使っているのと同じようになり、スピードが上がるという仕組みです。これが自動で動作するため、オートマチックなのです。

Automatic Bicycle TransmissionAutomatic Bicycle Transmission

同時に後輪側のギヤの大きさも変わり、同じ効果を得る仕組みになっています。そのほかディレイラーのような部分や、チェーンのテンションを支える部分もありますが、一般的な自転車のように複数のギヤを切り替えて使うわけではありません。

私たちは、ふだんスピードやペダルをこぐ力を考えてギヤをシフトします。信号などで停止する時は、次に発進することを考えてギヤを落としたりもするでしょう。最初はともかく、もはや慣れですので、あまり考えることもなく、こうしたシフトの操作をしていると思います。



しかし、考えてみると、面倒と言われてみれば面倒です。この機構を発明した、Haven Mercer さんは、この煩わしさを無くしたいと考えて、この仕組みを考案したのだそうです。実際に試作したものを装着した自転車に乗り、きちんと機能することを確認済みだと言います。

シティサイクルからMTB、電動アシスト自転車まで、いろいろなタイプの自転車にも適用可能としています。見る限り、今の一般的なギヤを使っている自転車ならば、置き換え可能なのは理解できます。ただ、まだいろいろ調整も必要であるとしています。

Automatic Bicycle TransmissionAutomatic Bicycle Transmission

まだ特許出願が公開された段階で、引き続き特許の審査プロセスに専念するとしていますが、特許が認められれば、ライセンスしたり売却する可能性もあるそうです。つまり、市販の自転車として一般の市場に流通する可能性があるということでしょう。

これは、なかなか注目すべき発明と言えるのではないでしょうか。果たして、今の変速装置と比べ、どれくらい優れているか、使い勝手はどうかなどは、まだわかりません。しかし、少なくとも自転車のオートマチック・トランスミッション・システムというのは、これまでの変速装置とは一線を画すものです。

Automatic Bicycle TransmissionAutomatic Bicycle Transmission

実際に普及し始めたら、自分が思った通りに加速出来ないとか、最高速が遅い、エネルギー効率が悪い、動作や信頼性が劣るといった不満が出る可能性はあるでしょう。スポーツバイクの愛好者であれば、これは採用せずに、従来の変速システムを使い続けるという人も出てくると推測されます。好みの問題もあるでしょう。

一方で、これが便利でラク、コストやメンテナンス性なども問題なく、いったん使ったら元に戻れないとなる可能性も否定出来ません。例えば、クルマのAT車が2割以下のイタリアと日本では国民性などから普及率が違ってくることもあり得ますが、クルマのAT車のようにいずれ大多数を占めるようにならないとも限りません。

自転車は成熟した機械と見られる一方で、電動アシストといった新しい機構が搭載されなど、分化、進化もしています。電子的ではなく機械的な自動変速とは意外感がありますが、クルマのように自転車もオートマチックが当たり前なんて日が来るのかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

深夜の津波注意報の発令、遠い地震は揺れないので就寝中で発令に気づかないリスクを改めて意識しました。

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この記事へのコメント
失礼します
無段変速なら、
https://www.youtube.com/watch?v=6xY2S-9gjHI
これがあるのでは?100万人ぐらい使ってるようですが


このメーカーの古いタイプなら日本でもありました
https://www.gqjapan.jp/life/interior/20111109/8402

https://ifura.net/automatic-vs-manual-cars-in-europe/
この記事見るとヨーロッパでも販売されているのはAT車が増えているようですね
Posted by クセル at December 06, 2023 00:52
クセルさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
このメーカーのシステムは知りませんでした。無段変速というのと自動変速では意味が違うと思いますが、自動で変速出来るのであれば、すでに実現していたということですね。

ヨーロッパでもAT車が増えている傾向は知っていました。バラつきはありますが、日本とはまだまだ差がある国も多いと言えるでしょう。

いろいろ情報を提供をいただき、ありがとうございました。
Posted by cycleroad at December 06, 2023 13:35
あと追加ですいません
シマノの新型コンポ「キューズ」。オートマ変速とABSを搭載
https://e-bikejapan.com/news/new-product/6020/?all#start
自転車なのに“自動変速”ってマジ? ベスビーから登場した最先端eバイク『スマーロ LX2』の実力は
https://response.jp/article/2023/08/28/374580.html

もうけっこう販売されているようです
Posted by クセル at December 06, 2023 19:41
クセルさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
シマノが電動のシフトでオートマチックを開発しているのは聞いていましたが、バッテリーなしで自動変速なのだとしたら画期的な進化になるかも知れませんね。
果たして市販されて一般に普及するものになるかは別のような気もしますが。

追加で情報提供、ありがとうございました。
Posted by cycleroad at December 09, 2023 11:26
 
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