January 29, 2024

均一な考え方に陥ってないか

街の姿はどうあるべきなのでしょうか。


個々の街の置かれた環境や事情によって、いろいろな考え方があるでしょう。つい先日ニュースになっていたのは、世界的に資材価格が高騰しているため、日本全国の再開発事業に深刻な影響が及んでいるという話題でした。資材高騰で建設費の見通しが狂っているのは、大阪万博だけではないのです。

全国では129の地域で再開発プロジェクトが進んでいますが、その多くは、中心市街地の高層化によってビルのフロアの販売や賃貸によって資金を捻出するというものです。しかし、資材高騰で全体の7割以上で工事費が上振れし、計画の遅れや見直しが必要な地区も出ているというのです。

高層化再開発

東京都心でも同様の再開発は多いですが、東京だけでなく全国の地方都市でも全く同じようなプロジェクトが行われているわけです。高層化には国からの補助金もありますし、建物の老朽化や耐震化の必要性などから、どこでも似通った事情があるのでしょう。

一方で、少子高齢化は全国的な課題であり、必要なオフィスや住居は減っていくはずです。既存のビルの高層化で新しいフロアを売り出せばという考えが、果たして今後も有効なのかという懸念があるでしょう。資金を手当てするにも、フロアの販売や賃貸も立ち行かなくなる可能性があるでしょう。

Las CatalinasLas Catalinas

もちろん、全国的に再開発の手法が似てくるのは仕方ないのかも知れません。ただ、これから人口が減っていくのに、地方都市まで高層化一辺倒で大丈夫なのかという素朴な疑問がわきます。誰も住まないマンションが林立し、ゴーストタウンが急増する不動産バブルの中国の風景も頭をよぎります。

地方の中心市街地の高層化だけでなく、全国的に再開発では非常に似通った景色が出現しているとも言われています。似たような全国チェーンのテナントが出店するなど、日本の地方の景色がとても似通ってきているという指摘です。どこも均一化し、個性が失われていくことが懸念されています。

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今はインバウンドも増え、観光客を呼びたい自治体は多いはずですが、インバウンドを呼ぶ観光地やリゾート地の再開発も、利便性や効率を重視したものになりがちでしょう。いかに、それぞれの地域の特徴を活かしたり、歴史や伝統、習俗を守ったり、魅力のある街づくりが出来るかが問われていると思います。

海外に目を向けると、いろいろと他と違った開発も行われています。例えば、ニューアーバニズムという考え方から、さまざまな住宅や職種が含まれる歩きやすい地域を作り出すという街づくりです。環境に優しい習慣を促進する都市デザインというコンセプト、開発スタイルです。

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都市デザインにおいて、カーフリー、クルマ無しにしようという運動もあります。実際にヨーロッパなどでは、人口が数十万というレベルの都市にもかかわらず、LRTや自転車を中心にし、クルマの乗り入れを極端に制限する都市が、実際につくられています。環境面からも、カーフリーが支持されつつあります。

都市だけではありません。例えば、中米コスタリカです。太平洋とカリブ海に面する自然豊かな国ですが、名目GDPは191か国中80位前後と、決して豊かな国とは言えません。しかし、経済成長のために熱帯雨林を伐採し、環境や生態系を脅かしてきた歴史を反省して破壊から再生へと方針を大きく転換したのです。

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コスタリカは現在ではプラスチックフリーとカーボンニュートラル国家の実現という目標を掲げ、電力はほぼ100%を再生可能エネルギーで賄うなど、いまや環境先進国になっています。そして、英国シンクタンクが3〜4年ごとに発表する「地球幸福度指数(HPI)」で3回連続世界一に輝く国なのです。

そのコスタリカでは、街の開発でも環境の負荷軽減が優先です。例えば、Las Catalinas という街はビーチタウン、リゾート地ですが、一切クルマが通りません。徒歩での移動を前提とし、あとは自転車だけです。クルマが一台も無いため、いくら子どもが走りまわっても安全です。

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海岸沿いに位置する、Las Catalinas の大半は自然保護区となっており、多様な動植物が生息しています。自然と共生するだけでなく、徒歩で暮らしやすいため、人間同士の交流が自然と生まれやすい環境となっています。心の豊かさ、幸福度のアップにもつながる街づくりと言えるでしょう。

クルマが街の中を縦横無尽に走りまわる光景は、世界中で当たり前になっています。でも、そのことが、人間の安全や安心、自然との共生、環境負荷や持続可能性、そしてコミュニティや心の豊かさなどを、いかに阻害しているかを教えてくれる街とも言えそうです。

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市街地とリゾート地とでは違うとしても、リゾート地同士で比べると、再開発の考え方も似たものになりがちです。さらなる成長を目指す開発や、利便性や快適さを求める開発事業を腐すつもりはありません。ただ、心の豊かさや人間の幸福度を目指すなど、また違った考え方があることも意識したほうがいい気がします。


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◇ 日々の雑感 ◇

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のスタッフが昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲に関与したとの疑惑が浮上、もし本当なら国連機関の職員が戦争のきっかけを作った可能性があり驚きです。

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