自転車に関して言えば、ペダルをこぐのに大汗をかいたり、大きな脚力を使うのを嫌う人たちです。その場合には、オートバイや原付バイク、モペット、フル電動の電動自転車、e-bike といった選択肢もあります。ただ、それぞれ免許が必要だったり、本体価格や保険加入、装備が義務付けられるなどのデメリットもあります。
一方、ペダルをこぐのはいいけれど、上り坂や向かい風、子どもや大きな荷物を運ぶ時など、パワーが必要な時だけラクが出来ないかと考える人もいます。その場合の選択肢としては電動アシスト自転車があります。気軽な自転車でありつつ、必要に応じてアシストがあることで人気となり、世界中で販売台数が増えています。

趣味のサイクリストは、アシストなんて無用とか、興味のない人も多いですが、自転車を手軽な移動手段として使いたいという人を中心に広く支持されています。近年はシティサイクルだけでなく、スポーツバイクにもアシスト機構を搭載するモデルがラインナップされるようになってきました。
新しいモデルが発売される一方で、従来型の人力オンリーの自転車に乗っている人の数が、まだまだ圧倒的に多いのも事実です。そこで、今乗っている自転車を電動アシスト自転車に変えるキットを開発して売ろうと考える人もいます。これまでにも、たくさんの製品を取り上げてきました。

アシストの方法もいろいろあります。極端なものとしては、大きなプロペラの扇風機のような機材を背中に背負うというものもありましたが、さすがに実用的ではありません。多くは既存の自転車に取り付けてアシスト力を発生させる電動モーターのキットという形でしょう。
自転車で力を発生させるのはペダルですし、それで回転するのはタイヤです。チェーンリング部をモーターでアシストするもの、前輪のハブにモーターが装着されており、前輪ごと交換して、前後輪で2輪駆動のようにするもの、駆動輪である後輪をモーターでアシストするもの、大きく分けて三箇所くらいでしょうか。

後輪をアシストする方法としては、リム部分に駆動するローターを押し付けてアシストするもの、タイヤの外周部分に直接押し付けて駆動するものなどがありました。ただ、パワーのロスが大きいとか、濡れたりするとスリップしやすい、タイヤがすり減るといった弱点が指摘されていました。
そうした弱点を克服できないかと考えたメーカーがあります。イギリスはロンドンを本拠とするスタートアップ企業、
Skarper 社です。その方法とは、なんとディスクブレーキを使って駆動力を伝えるというものです。タイヤを止めるためのブレーキを駆動させるのに使うという、いわば逆転の発想です。


駆動輪としての後輪を回転させるためには、どこかに力を伝える必要があります。リムにしてもタイヤにしても後輪に固定されているので、その用途に使えます。でも考えてみれば、ディスクブレーキのローター部分も後輪と固定されて一緒に動くわけですから、力を伝える部分に使えることになります。
もちろん、ディスクブレーキを搭載したモデルである必要がありますが、このディスクブレーキを活用して自転車を電動化するコンバージョンキットを開発したのです。ディスクを使うので、その名も“
DiskDrive”と名付けて登録商標をとっています。( ↓ 動画参照)

既存のブレーキディスクをそのままは使えないので、専用のディスクローターに交換する必要があります。これをバッテリーと一体型になった電動モーターの駆動ユニットで回転させます。コンパクトなこのユニットは、チェーンステーに取り付けますが、簡単に外せるので、充電時に加え、盗難防止のため持ち歩くことも出来ます。
ブレーキディスクは専用のものに交換はしますが、従来通りにブレーキとして機能します。本体ユニットを外したまま乗っても、普通のディスクブレーキの自転車として乗れるわけです。見た目もコンパクトなのでさほど違和感はありませんし、本体の重さは4キロほどです。


なるほど、これは新しい方法です。リムやタイヤに駆動力を伝える方法よりロスが小さく、効率的と見られます。トップスピードはイギリスなどの規制に対応して25km/hになっています。航続距離は30キロ、エコモードにすると50キロとなっており、30分の急速充電でプラス10〜15キロされるそうです。
ディスクブレーキが採用されたモデルなら、基本的にシティサイクルでもスポーツバイクでも取り付け可能です。本体は外しておいて、必要な時だけ取り付けるような使い方も可能でしょう。もう一台、電動アシスト自転車を購入するのは避けたいという人にも選択肢となりそうです。

自分の脚力だけで乗るというサイクリストも多いと思いますが、場合に応じてラクが出来てもいいでしょう。考えてみれば、乗り物も機械も家電製品も、人間のラクをしたいという願望から生まれてきました。この願望がある限り、これからもいろいろな電動アシストシステムが生まれてくるのかも知れません。

◇ 日々の雑感 ◇
大谷翔平選手が「事実と異なる報道が多数」と異例の注意喚起をしています。確かに思わせぶりなタイトルのものなども目につきます。大谷選手の名を出せば注目されるとばかりに報道が過熱しているのは間違いなそさうです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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