February 04, 2024

自転車すら使わずにすむ制度

特殊な用途に自転車を使う人たちがいます。


その一つは自転車に乗って選挙活動をする人です。地方議員を含めても立候補者は限られますし、その多くはクルマ、選挙カーを使いますから、代わりに自転車を使う人は限られており、かなり特殊な使われ方と言えるでしょう。それでも、選挙の時に自転車で選挙区を走りまわる候補者は一定の割合でいるようです。

選挙期間に報道で特定の候補者の活動を取り上げてしまうと、他の候補者に対して不公平になるのでテレビなどではあまり出てきません。しかし、「自転車で選挙」と検索すると、意外にもたくさんの画像が出てきますので、実際に自転車で走りまわっている候補者は少なくないようです。中には有名な人もいます。

自転車を使えば、小回りがきいて便利だとか、細い路地やクルマの入っていけない所まで入れるとか、渋滞をかわせる、ふだん使っているママチャリ1台あれば出来るので、選挙カーの車両のレンタル代や燃料費、ウグイス嬢の人件費などがかからず経費節減になるなどのメリットがありそうに思えます。

自転車選挙

たしかに、これらのメリットもあるでしょうが、実はイメージ戦略の面が大きいようです。つまり、選挙カーではなく自転車で走りまわっていれば、選挙にお金をかけていないとか、大汗をかいて頑張っているように見えるとか、庶民的と見てもらえるというわけです。

有権者との距離が近く、すぐに止まって握手できるとか、近い距離でアピールできるといった理由、それぞれの思惑もあるとは思います。ただ、やはり自転車を使うことにより金満政治家に見えないとか、限られた資金でやり繰りしているように見えるなど、演出面での効果を意識しているのは否めないでしょう。

意外とこの演出という面は重要らしく、ベテランで知名度も高いのに、いまだに街頭演説ではビールケースを裏返して使う議員もいます。立派な演台も使えるのに、あえて使わないのです。あんな有名な先生なのにと、ビールケースを使うことで親しみやすく、偉ぶらず、などいろいろ効果があるのでしょう。

自転車を使うことにより、選挙に多額の金を使っているように見えないことは、候補者にとって大切なことなのでしょう。折しも、いま国会では政治とカネの問題が焦点になっています。安倍派をはじめとする裏金問題は、ロッキード事件やリクルート事件に匹敵するような疑惑としての広がりを見せつつあります。

昔から『政治とカネ』は繰り返し問題になってきました。自民党の6派閥のうち4つは解散し、残る派閥からも退会者が出ています。裏金疑惑の元になった派閥に属していては、次の選挙で戦えないと考えるのでしょう。不正な裏金をキックバックしたり中抜きさせていた派閥に対する視線は厳しく、解散は当然の流れでしょう。

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しかし、派閥の解散は問題の核心ではなく、目くらましだとする声が多いのも事実です。まず、裏金作りの実態を明らかにし、それを何に使ったのか明らかにし、議員も責任をとれというのが国民の声でしょう。ミスとして政治資金収支報告書を訂正すれば済む話ではないと考えている人が大半だと思います。

どう防止していくかも焦点です。政治資金規正法の違反に対して、会計責任者だけが起訴されるのではなく、議員本人も責任を問われる『連座制』を導入するのは当然の話です。これがなければ、秘書のせいにすれば議員は罪を免れることになる悪習を断ち切れません。

連座制を導入すると、わざと違反して議員を貶めようとする秘書が出たらどうするのか、と反対していますが、屁理屈のようなものです。そういう不誠実な人を雇わないのも含めて議員の責任でしょう。会計責任者をきちんと管理監督して、違法な処理をさせないのが、そもそも議員の責任でしょう。

派閥の政治資金パーティーの禁止も当然です。昨年で9党に315億円にもなる、税金から支出される政党交付金は、企業団体献金を禁止する代わりに導入されたはずです。政治家個人には直接献金出来なくても、未だに党や派閥を通して企業団体献金が行われていることになります。

党や派閥のパーティー券という形で企業団体献金が行われ、その一部が政治家個人に渡っていたわけですから、政治改革とは名ばかりで、その金権体質は全く変わっていません。企業団体献金と政党助成金の両取りをして、以前より悪くなっているとも言えます。自民党は政党助成金を返納すべきでしょう。

自転車選挙

パーティー券のキックバックなのに政策活動費かと思ったと言い訳した議員がいたこともあって、政策活動費にも批判の矛先が向いています。幹事長など幹部には億単位の金が渡されていますが、使途は明らかにしなくていいお金です。もし個人の懐に入る部分があれば脱税、所得税法違反でもあります。

この政策活動費も、党に入る企業団体献金から出ていると言われています。そもそも企業や団体など、法人には選挙権がありません。これは選挙権のある我々有権者の権利を阻害するものです。企業は営利で動きますから、献金をして自社に有利な政策が実行されるとなれば、費用として拠出するでしょう。

それによって政治が歪められ、特定の企業や業界は有利になって儲かる一方、有権者たる国民の生活や福祉など、本来受けるべき恩恵が削られます。日本の将来のための政治が行われず、税金が無駄、あるいは一部の法人関係者のみの利益に使われ、財政的にも赤字が拡大するばかりです。

やはり、企業団体献金は全てキッパリ廃止すべきではないでしょうか。今までは議員個人もパーティー券を売るのに四苦八苦し、買ってくれた企業には、当然配慮せざるを得ない状況でした。これらが無くなれば、議員も気を使う必要がなくなり、実はかえってラクになると指摘している議員もいます。

特定の資金力のある企業・団体や業界からの圧力がなくなれば、もっと効果的な政策が打てるでしょう。農業や医療など、いわゆる岩盤と言われるような分野の規制改革も行えるはずです。理想論と言われればそうかも知れませんが、少なくとも政治に対する風通しは良くなり、ある程度の信頼の回復も見込めます。

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企業団体献金、パーティー券、そして政策活動費や裏金など『政治とカネ』の問題は昔から指摘されています。何に使われているかは誰もが疑問に思うところでしょう。政治家の利権の獲得や、私利私欲のために使われているから、使途を明らかに出来ないのだろうと考えるのは自然です。

私は政治家でも関係者でも何でもないのでわかりませんが、やはり『選挙』のために多額のカネが使われていると見るのが妥当でしょう。政治家は、政治や政策を考えるのではなく、一番の関心は選挙です。次の選挙で当選するため、毎週地元に帰り、または秘書などを使って熱心に活動しています。お金も必要です。

選挙にお金がかかるのは間違いないでしょう。単純に選挙の時にお金がかかるだけでなく、選挙で当選するための活動に多額のお金を使うのでしょう。他の候補者との競争ですから、選挙で当選するためには相手より有利になる必要があります。そのために、お金の使い方もキリがなくなるのかも知れません。

私の個人的な意見ですが、この選挙の仕組みを変えられないでしょうか。例えば、選挙ポスターを廃止します。選挙期間中だけでなく、日頃から街角に貼られる目障りなポスターがなくなれば、街の美観も向上します。無くなっても市民は困りません。必要ならばネット等で候補者を確認すればいいことです。

選挙期間の投票所の前だけ、ポスターを掲示すれば十分でしょう。印刷費用もわずかで済みますし、選挙管理委員会が貼れば、ポスターを貼る活動員の人件費も不要です。選挙公報で政策を訴えれば、顔のアップの写真なんていりません。ネット上のサイトで、政策を訴えるだけで十分ではないでしょうか。

選挙カー選挙ポスター

ネット広告なども一律禁止し、サーバーなどにもお金をかけなくて済むよう、選挙管理委員会のサイトに公平に容量を与えれば、不公平にならず、政策を訴えることは可能なはずです。もちろん、有権者への郵便物の配布、郵送も禁止すれば、お金はかかりません。

さらに選挙カーによる街宣活動も禁止します。名前を連呼するだけ、うるさいだけの活動が必要でしょうか。選挙カーの費用も不要、ウグイス嬢の人件費もかかりません。上限は決められているものの、優秀で評判の高いウグイス嬢を雇うには、実は多額の費用がかかっていたと聞きますが、それも不要になります。

選挙公報とウェブサイトで政策を打ち出すだけで十分ではないでしょうか。それだけで市民は投票する人を選ぶわけです。公平にすれば、お金の競争にならず、裏金も不要になると思われます。政策の中身で勝負することになり、政治本位の本来の選挙が実現するのではないでしょうか。

地元の事務所も禁止です。地元での祭事や会合に顔を出したり、国政報告会なども一切禁止です。さらに地元で雇っているたくさんの選挙用の秘書を雇うのも廃止すれば、人件費も不要になります。こうした選挙活動をするため、実は大きいと言われている、地元の都道府県議会議員や市町村議員にお金を配る必要もなくなります。

地元の要望はネットに投稿してもらえばいいでしょう。議員も地元に利益を誘導するような政策を打ち出すことを止め、国会議員は国全体の利益を考えるようにします。地元への選挙対策として膨大なお金が使われていたと思われますが、全て禁止して公平にすれば、選挙にお金はかからなくなるはずです。

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そして、企業団体献金、党のパーティーも禁止します。政策活動費や文書通信交通滞在費なども廃止です。さらには政党助成金も廃止してもいいでしょう。秘書も国から給与が支払われる公設秘書だけ、政策の立案に専念してもらえば十分です。議員に利権や利益がなるべく発生しないようにして、国政に専念してもらいます。

お金や利益のために議員になろうとする人にとって魅力がなくなるような制度にすれば、とにかくカネを集めて選挙に通ろうとする人もいなくなるのではないでしょうか。自分が実現したいと思う政策だけ訴え、もし選ばれたら国政に携わり、次の選挙で落ちたら辞めて元の職業に戻るだけです。

とにかく当選を重ねることを目的とするだけで、明らかに老害となっているような議員も排除されるでしょう。政治家の新陳代謝も進むはずですし、若い世代の意見も、より反映されるようになることが期待できます。少なくとも利権や、そのための権力、お金が目的で政治家になるような候補者が出なくなるようにすべきです。

ちなみに、議員の世襲も問題になります。中には優秀な人もいるでしょうが、政治が家業のようになってしまい、議員になることが目的化してしまっています。全く禁止は無理としても、例えば議員の政治団体に、今は免除されている相続税や贈与税をかけるだけで違ってくるはずです。政治資金まで世襲に有利になっているのです。

素人の意見なので、間違いもあるかも知れません。でも、選挙を変えれば、政治もよくなることが期待できます。いい加減、政治とカネの問題は断ち切るべきです。制度を変える立法は議員にやらせる必要がありますが、今回の事態を奇貨として、世論の圧力で変えていけないものでしょうか。

自転車選挙

いろいろ書きましたが、政治や選挙制度になんて興味はないと言う人も多いでしょう。しかし、選挙への無関心が金権政治を生みます。それは我々に返ってきます。鯛は頭から腐ると言いますが、日本の政治が劣化しているために、日本経済や国力も落ちる一方です。

我々の給料だって、先進国で日本だけ30年以上上がらず、貧しくなっているのは、結局は政治が悪いせいです。利益誘導ばかりやって、財政赤字ばかり増やし、国の発展に向かわず、未来に希望を持てなくなっています。そのことで私たちの生活も苦しくなるわけで、政治に無関心なことが、自分の首を絞めることになるのです。

このままだと国民の厳しい目を受け、次回の選挙に自転車を使う人が増えるかも知れません。でもそれでは解決になりません。上で述べたように選挙を根本的に変え、お金がかからないようにするべきです。お金がかかる選挙が裏金を招いたとして問題視されている今こそ、変えるチャンスではないでしょうか。

今はSNSなどで市民として声をあげることも出来ます。そうした世論が高まれば、政策として掲げる候補者も出てくることが期待できます。私たちは選挙権の行使を通じて制度を変えていく必要があります。何より、私たちの生活や人生に、実は大きな影響を及ぼす政治に、もっと関心を持つべきではないでしょうか。


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◇ 日々の雑感 ◇

明日は東京都心でも積雪の可能性があるようです。少しの雪でも東京は交通が混乱したりしますので心配です。

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