この時期に開かれる競技会のニュースもいろいろ届けられます。スピードスケート、フィギュアスケート、スキー・ジャンプ、カーリング、スノーボードなどが多いでしょうか。日本ではあまり人気が高くないですが、アルペンスキーやアイスホッケー、クロスカントリーなどの大会も開かれています。
ニュースとして報道されない種目は、その国での人気、競技として馴染みがあるかにもよるので仕方のないところですが、開催されたフランスやヨーロッパでもあまり話題にならなかったウィンタースポーツの大会があります。それは、『
UCIスノーバイク世界選手権』です。
今年2024年が史上初めての開催ですし、競技自体の馴染みが薄いので仕方ないところですが、マウンテンバイクで雪山を下るというレースです。今年2月10日と11日の2日間、フランスのオート・サヴォワにある同国を代表するスキーリゾートの一つ、シャテル(Chatel )で開催されました。
MTBはわかるけれど、冬山で行われる競技など聞いたことがないという人も多いでしょう。ウィンタースポーツとしても、自転車競技としても新種目であり、参加した国や選手も限られていますが、これから世界レベルのスポーツとして盛んにしていこうと関係者は意気込んでいます。
ちなみに、シャテルのあるオート・サヴォワは、全19種目の自転車競技の世界選手権を一斉に開催する「UCI自転車競技世界選手権」の第2回大会(2027年)の開催地にも選ばれています。この大会は夏季大会なのでスノーバイクは実施されませんが、同じ場所での先行開催でアピールした形です。
多くのスキーリゾートでは、スキーやスノーボード以外のアクティビティの多様化を目指していますし、春から秋に限られているスポーツやレジャーとしてのマウンテンバイクをオールシーズン楽しめる自転車競技にし、MTBの人気を広げる意義も大きいと言えるでしょう。
実は以前から冬山でのMTBレースは一部で行われていました。私も以前、YouTube などで見たことがあります。ただでさえ滑るし不向きな雪の上で、しかも斜面を下ろうというのですから、当時は一部の酔狂な人のチャレンジ、怖いもの知らずの遊びという印象もありましたが、いまや立派なウィンター競技です。
それどころか、UCI、国際自転車競技連合は冬季オリンピックの競技種目として採用してもらうことを目指しています。次の2026年、イタリア・ミラノ/コルティーナ・ダンペッツォ五輪の次、まだ開催地未定ですが、早ければ2030年の冬季五輪での採用も視野に入れていると言います。
オリンピックでの自転車競技と言えば、夏季五輪でのロードレース、ケイリンなどのトラックレース、マウンテンバイク、BNXなどがあります。自転車競技は近代オリンピック第一回、1896年のアテネから採用され、陸上、競泳、体操、フェンシングの4競技とともに現在まで途切れることなく実施されている由緒ある競技です。
一方で、冬季五輪には採用されていません。夏と冬のスポーツが明確に分かれている中で、当然と言えば当然ですが、もしかしたら冬季オリンピックにも自転車競技の第一号として採用される可能性が出てきているのです。なかなか画期的なことと言えるでしょう。
日本でも一部でスノーMTBを楽しんでいる人がいます。かなり以前にこのブログでも取り上げたことがあります。2006年のトリノ五輪の前でしたが、その時点で、スノーMTBが種目になったら面白いとは書いたものの、まさか本当になるとは思いもよりませんでした。
まだ正式に採用されると決まったわけではありませんが、夏季オリンピックは全部で28競技、冬季は全7競技です。種目数の差が大きいため、バスケットボールを冬季に移そうなどという議論もあるくらいですから、IOCも増やしたいとの意向を持っているのは間違いないでしょう。十分に可能性はあります。
冬の競技でも、ボブスレーやリュージュ、スケルトンなどは専用の競技場が必要です。それを持たない都市も多く、開催時の新設が問題となることもありますが、スノーMTBならば、アルペンスキーやスノーボードなどのコースが使えます。その点でも次の次で初開催となっても問題はないでしょう。
冬に自転車に乗る人は世界的にも増えていると言われています。もちろん雪の降る国に限られますが、ファットバイクの普及が大きいようです。雪上で遊ぶ人だけでなく、雪道を自転車通勤する人もいますし、一部には氷の張った湖などで氷上のレースを楽しんでいる人もいます。
もしかしたら、スノーMTBの先には、雪上のクロスカントリーMTBとか、自転車によるスピードスケートなどの競技が出来るかも知れません。室内の体育館などで行うサイクルフィギュア(上の写真)というのはマイナーですが、既にあるので、氷上でのサイクルフィギュアが出来ても不思議ではありません。
スノーMTBも、まだオリンピック採用が決まったわけではありませんが十分に現実的な話になってきました。今楽しんでいる人は、冬季五輪の日本代表に選ばれる可能性があります。まだ早くても6年、あるいはそれ以降ですので、オリンピック選手を目指して、今から始めておくのもいいかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
4月並の陽気や夏日の地域もあったのに、一転冬の寒さが戻っています。寒暖差で体調不良の人もあるのでは。
Posted by cycleroad at 13:00│
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