March 29, 2024

日本でも警戒はしておくべき

電動アシスト自転車が人気です。


ペダルをこがなくても進む電動の自転車、e-bike も含め、世界的に大きく普及が進んでいます。いろいろ背景があると思いますが、スマホなどの普及でリチウムイオン電池が大量生産で安くなったこともあるでしょう。もちろん、ペダルをこぐのが不要、またはラクになり、坂なども苦にする必要がなくなったことが大きいと思います。

コロナ禍のロックダウンで運動不足解消や公共交通の敬遠もあり、多くの人が自転車に乗るようになったこと、温暖化ガス削減への意識や、ガソリン価格の高騰なども背景にあります。EVは製造過程でより多くのCO2を排出しますし、重くて大きいので、環境負荷の軽減という意味では電動の自転車のほうがはるかに優れています。

さまざまな要因から、電動アシストや電動の自転車、e-bike は人気となっており、最近ではシティサイクルだけでなくスポーツバイクにもアシスト付きのものが続々登場しています。ただ、懸念もあります。それはバッテリーによる火災です。日本ではあまり報道されませんが、世界各地では問題になり始めています。

電動の自転車、アシスト自転車のバッテリーが発火し、火災となる例が多発しているのです。死亡者が出る例もあります。すでに社会問題となっている都市も出てきています。そんな電動の自転車に対する懸念について、海外のメディアの報道から見てみたいと思います。

Battery FireBattery Fire

When will NYC do something about the ‘staggering’ number of e-bike fire deaths?

ニューヨーク市の消防署長は、バッテリー火災による死者が驚異的なレベルに達していると警告を鳴らしています。バッテリー火災は室内、それも多くは玄関付近に保管された自転車のバッテリーから発火し、逃げ口を塞いでしまうことが多いのも要因です。すでにバッテリー火災は他の電気火災による死者を上回っています。

市議会などが、安全基準を満たさないバッテリーの販売を禁止する等の手を打っていますが、火災の減少には至っていません。以前はバッテリーの火災による死者は出ていませんでしたが、2022年には市内で100人を超え、減る気配は見せていません。実効性の高い対策が無いことも一因でしょう。

E-Bike Battery Fire Hazards Lurk Where New Yorkers Live, Says FDNY

自転車店でも火災が起きています。FDNY、ニューヨーク市消防局の捜査官も抜き打ち査察を行っていますが、住宅の1階の店舗で不適切な充電が見つかるなどしています。必要な消火システムのない店舗もあります。なかには違法な修理を行っている店もあります。

基準を満たした純正のバッテリーでないものと交換したり、客の要請で、出力や容量のアップなど違法な改造を行うことで、火災を誘発しかねないのです。もちろん、出火を覚悟で改造するわけではないとしても、リスクは大きくなるでしょう。そして、客のニーズがあることも間違いありません。

Battery FireBattery Fire

SF wrote new regulations for e-bike batteries. Bike shops fear they could lose everything

もちろん、違法な販売店は一部でしょう。しかしきちんとした自転車店にも懸念は広がっています。サンフランシスコではバッテリー火災の増加に対応し、議会が全会一致で市の消防法を改正しました。取り扱い方法の規制や、5台以上を充電する店舗へのスプリンクラーの設置の義務化などです。

実質的にスプリンクラーのない自転車店は廃業に追い込まれることを意味します。こうした規制の問題もさることながら、店舗が火災で焼失する可能性だって高まっているわけです。火災のリスクが意識されるようになれば、売れ行きが落ちる懸念もあります。

Why do EV and e-bike batteries keep catching on fire?

カナダのトロントでも懸念が広がっています。バッテリー火災は激しく燃えるケースがあり、数日間燃え続けた例もあるようです。必ずしも非正規品とか間違った充電器の使用によるものだけとは限らず、何かのきっかけで内部短絡や熱暴走が起こり発火することがあります。

ただ、やはり品質の劣るものがあるのは確かでしょう。特に中国などからの輸入品です。それらを使うべきではないわけですが、それが全ての人に徹底できるわけではありません。特に価格が安いものの場合、どうしても使う人はいるでしょう。最初は問題なくても、気を許した頃に発火することだってあります。

Battery FireBattery Fire

Owners Corporation Network proposes new e-bike, e-scooter rules to reduce fire risk in apartments

オーストラリアでも問題になっています。例えば共同住宅の場合、自分が電動の自転車を使っていなくても、近所から出火して巻き込まれることもあります。かと言って、アパート内のバッテリー充電の禁止などは、現実的とは言えません。使っていない人には災難でしかないわけですが、いろいろ議論があるようです。

Mother of woman who died 'because of some stupid bike' petitions for e-bike battery crackdown

イギリスのロンドンでは、火災で娘を亡くした母親が、バッテリーの取締りを求めて署名活動を始めました。欠陥のあるバッテリーがオンラインで販売されており、それが原因で多くの命が失われているわけで、政府はこうした流通も取り締まるべきだというのです。

Battery FireBattery Fire

Three US Companies Collaborate to Release Fireproof Electric Bike Battery Packs in Early 2024

メーカーも動き出しています。アメリカ企業3社が協力して、今年耐火電動自転車バッテリーパックを発売しています。広がるリチウムイオンバッテリーへの懸念に対応するものてすが、仮に安全性が高かったとしても、それがすぐ普及するわけではなく、問題の解決に、少なくともすぐにつながるものではありません。

Explosions alert sleeping tourists to e-bike fire

オーストラリアのシドニーでは、電動自転車のバッテリー火災で観光客が巻き込まれる事例も起きています。住民が巻き込まれるのも問題ですが、何の関係もない観光客が危険となれば、観光地にとっては風評被害にもなりかねません。社会的な損失にもつながる可能性があります。



U.S. politicians unite across party lines over e-bike battery regulation

アメリカでは与野党の政治的な分断が問題となって久しいわけですが、この件については党派を超えて団結し、バッテリー規制を進めています。建物だけでなく、これだけ人的被害が広がっている以上、座視しているわけにはいきません。強力な連邦措置が必要と、危機感も強まっています。

E-bike battery sends fiery projectiles around Vancouver apartment, killing owner: Lawsuit

Battery Fire相次ぐ火災に、電動自転車のメーカーやバッテリーの修理店などを相手取り、損害賠償を求める訴訟も各地で起きています。製造責任や、設計上の問題など争点はいろいろですが、間違った使い方をしていないのに火災の被害に遭えば、裁判になるのも自然な流れでしょう。

China set to introduce mandatory national standards on e-bike batteries after recent incidents

欧米だけではありません。中国でもバッテリー火災が増えています。格安バッテリーの供給元とも見られているたげに、その地元でも使われているだろうことは想像に難くありません。中国国民の懸念の高まりを受けて中国政府は、強制的な措置の導入を予定しています。

Fire warning as footage shows shock moment e-bike bursts into flames on busy high street

バッテリーの充電時だけではありません。ロンドンでは、大通りを走行中の e-bike が爆発炎上するという衝撃的な火災も起きています。幸いすぐに消防隊が到着し消化に成功したため、怪我人も出ませんでしたが、金属を溶かすほどの高温の炎が噴出していたと言います。


Northumberland fire service warns e-bike batteries can catch fire 'without warning'

Fire breaks out in Sunset Park storage facility where ‘hundreds’ of e-bikes and batteries were kept: FDNY

30 Residents Of A Syd High-Rise Apartment Were Evacuated After An E-Bike Battery Sparked A Fire

London Fire Brigade urges Government to crack down on dodgy e-bike products

‘An intense jet flame’: Warning after spate of Sydney e-bike fires

Toronto fire urges caution after e-bike batteries catch fire twice in a month at same building

E-bike battery fires keep climbing in NYC

Overseas visitors make lucky escape after faulty e-bike battery sparks blaze in Sydney unit

Shocker: US Politicians Agree on E-Bike Legislation and Lithium Battery Standards

Nanjing E-Bike Parking Lot Fire Kills 15 After Spreading to Apartment Building

このほかにも、多数の事例が報じられています。世界各地の都市でバッテリー火災が深刻な問題となっていることがわかります。これはごく一部であり、大きく報じられない地方都市などでも起きているに違いありません。もちろん、火災が起きるのは一部としても、世界的な懸念になっているのは確かでしょう。

Battery Fire電動自転車のバッテリー充電中に火災 1人病院に搬送

日本では、あまりバッテリー火災が報じられることはありませんが、起きていないわけではないようです。海外と違って事例が少なく見えるのは、火災が起きても、その原因が特定されるのは後日であり、バッテリー火災として報じられない事例も少なくないのかも知れません。

盗難の深刻な海外と違って、自転車を室内保管をする人が少ないこともあるのでしょう。しかし、バッテリーだけ持ち帰って充電する人は多いと思うので、定かではありません。日本では市場が特殊で、海外とは違い電動アシストはママチャリが多く、大手メーカーの純正品が比較的使われている可能性もありそうです。

この事例では、マンションの部屋が全焼しましたが、住人は煙を吸って病院に運ばれただけで済んだようです。そのため、この方が電動アシスト自転車のバッテリーを充電していた時に爆発音と共に出火をしたと話しており、バッテリー火災と報道されたようです。

あまりバッテリー火災が起きていないように見える理由は不明ですが、世界でこれだけ起きている以上、日本で起きても不思議ではありません。少なくとも格安粗悪な非純正品の使用は避け、取り扱いに注意し、付近に燃えやすいものを置かないなど、極力気をつけたほうがよさそうです。


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◇ 日々の雑感 ◇

打撃不振と言われていました大谷選手がドジャース本拠地開幕戦でマルチ安打、さすがというところでしょうか。

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