April 04, 2024

バッテリー自転車問題の対策

世界各地で対策が動き出しています。


前回、前々回と電動アシスト自転車や電動自転車、e-bike などのバッテリー搭載の自転車の世界的な懸念について取り上げました。バッテリーが発火し、火災になる事例が世界のあちこちの都市で増加しています。その背景について書きましたが、今回はその対策について見てみたいと思います。

バッテリーを使う自転車については、火災の問題だけでなく事故の増加が問題となっている面もあります。普通の自転車と比べて相対的にスピードが出るため、大きな事故につながる例が見られます。このため、その出力を規制する国が多くなっています。

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国によって規制には違いがあります。日本では電動アシスト自転車については、アシスト力が時速24キロまで、フル電動の自転車については原付バイク扱いですが、海外では、フル電動でも一定の出力までは自転車と同じ扱いにするなど、国によって位置付けが違ったり、扱いが異なっています。

一般的にはバッテリー容量を大きくする傾向があります。そのぶん航続距離が伸びたり、スピードやパワーが上がったりなど、ユーザーにとってメリットがあるからです。しかし、バッテリーを搭載するスペースは限られていますから、バッテリーのエネルギー密度を高くすることになり、そのぶん火災のリスクが増すわけです。

Dutch policeDutch police

法的な規制を超えて高出力なバッテリーに載せ替えたり、違法な改造をする業者や個人も増えており、バッテリーの発火リスクだけでなく、スピードが上がることによって事故のリスクや重篤度も上がることになるわけです。このことに危機感を持ち、警察が取締りを強化する国は少なくありません。

違法なバッテリー自転車について、その出力が法定の250Wを超えていないかや、アシスト力の効く速度を超過していないかを見破るのは簡単ではありません。そこでオランダ警察は、取締り現場でバッテリー自転車の出力をテストし、違法かどうか見分ける機械を導入しました。その場でテストできるのがポイントです。

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電動自転車メーカーは、違法な改造を阻止する改良を加えていますが、いたちごっこの部分があるようで、同じモデルでバッテリーの見た目が同じように見えても、実際にテストすると違法改造が明らかになる事例もあると言います。アシスト力の制限は時速25キロですが、そこでモーターが止まらないものもあります。

同じくオランダのアムステルダムでは、走行する電動自転車の速度を遠隔で下げることが出来るシステムが開発されています。あらかじめ危険が想定される地区に入ると表示が出て、モーターがオフになり速度が落ちます。非営利団体の研究所が開発し、まだ実験段階ですが、街の安全に大きく貢献すると期待されています。

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アメリカ・ニューヨーク市では、新しく電動自転車の公共の充電システムの整備を始めました。同市ではフードデリバリーの配達員の多くがバッテリー自転車を使っていますが、火災が相次いているため、彼らに家の中で充電するのではなく、街角の充電ステーションを使ってもらおうというのです。

街角では、消耗したバッテリーを返却し、充電済みのバッテリーを取り出すだけです。充電する手間や時間も不要、自宅が火災になるリスクも回避できます。もちろん、当面はフードデリバリーの配達員などが対象ですから、一部に過ぎません。しかし、少しでも火災を減らすため一歩と位置付けられています。

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電動自転車のバッテリーをシェアすることで、自宅での充電を避けさせて火災の被害を防ぐという考え方は、一つの方法でしょう。これを実現するための事業を立ち上げるスタートアップや、日本のヤマハなども、バッテリーを取り外して簡単、素早く使えるシステムに取り組んでいます。

街角でバッテリーを簡単に交換出来たら、航続距離が足りなくなるという問題の解決策にもなるはずです。ヤマハは既に子会社を設立し、来年にはドイツとオランダで事業を開始する予定です。電動自転車のバッテリーは所有するのではなくレンタルとし、シェアするものへと変えていくことを考えているのです。

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メーカーの中には、耐火性の高いバッテリーを開発する動きもあります。例えば、Rad社は独自の構造や素材を使用することで、バッテリーの熱暴走と呼ばれる反応を防ぐことが出来ると主張しています。もちろん、全てのバッテリーが安全なものに置き換わるためには時間もかかると思いますが、これも一歩には違いありません。

なにしろ、アシストも含めたバッテリー自転車の市場は非常に大きなものがあります。ますます拡大していますし、気候変動対策などの点でも期待が広がっています。関連する各企業が、電動自転車のバッテリーの問題に、さまざまな形で取り組むのは当然の流れと言えるでしょう。

Rad Power BikesRad Power Bikes

各地の自治体は、消防法やその他の関連の法令を改正し、バッテリー火災の原因の撲滅を目指しています。中には、域内のバッテリー自転車や電動スクーターなどの利用を禁止するところまで現れています。極端な言い方をすれば、電動自転車市場の将来がかかっていると言っても過言ではないわけです。

前回も少し取り上げましたが、一部の電動自転車メーカーや関連団体などに、修理権法に反対する動きも広がっています。違法な改造をさせない、出来なくさせる方向を目指しています。実際に街の自転車店でもバッテリーの修理をするのは危険ということもあり、バッテリーは修理しないものにするべきという考え方です。

さまざまな方面から、スピードが出て事故が増加している問題も含めた電動自転車のバッテリーの発火問題対策の動きが広がっています。世界的に広がる違法バッテリーの流通を考えると、なかなか前途は多難にも思えますが、問題を解決しようとする取組みが着々と広がっているのも間違いなそさうです。


デル株式会社

◇ 日々の雑感 ◇

台湾で大きな地震が起きました。ビルが倒壊したり余震も続いてるようで同じ地震国として他人事と思えません。能登半島地震では、多くの台湾の人が義援金を送ってくれたこともあり、何か支援や恩返しがしたいところです。

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