April 10, 2024

歩きやすい街は住みやすい街

アメリカ合衆国は広大な国土を持ちます。


日本の26倍もの面積があります。日本の国土の7割は山地なので利用できる土地という意味では、さらにそに何倍もの差があるでしょう。広大な土地に散在する都市には、使える土地が豊富にあります。細かい土地利用をしなくても、ゆったりと建物を配置したり、道路を広くとったり出来ます。

いきおい普段の生活で移動する距離も長くなり、基本的にクルマでの移動を前提に街が出来ています。クルマ移動が当たり前なので、アメリカ人の9割がクルマを所有し、当然のようにクルマを運転します。こうした街なので、さらにクルマ向けの開発が行われるという傾向があります。

Culdesac TempeCuldesac Tempe

アメリカがクルマ社会と言われる所以ですが、こうした街の成り立ちや開発サイクルに疑問を感じていた人がいます。アリゾナ州フェニックス在住の、Ryan Johnson さんです。彼はフェニックスで生まれ育ちましたが、海外を旅行したり、海外で生活した経験も持っています。

海外というのは、ヨーロッパや日本の歴史の古い都市です。クルマの誕生よりはるかに前から人々が暮らしており、クルマでの移動が不可能だったり不便なくらい道路が狭く、基本的に徒歩や公共交通機関などで移動する生活です。そうした街での生活を懐かしく感じ、米国との違いを痛感していました。

Culdesac TempeCuldesac Tempe

ヨーロッパや日本の、中世からあるような古い街での生活の経験が、彼にアメリカの都市への疑問を感じさせていたのです。クルマを使うのではなく、歩いて暮らす街、クルマが通らず歩きやすい地域に住んでいると、人々はより幸せで健康になり、さらに裕福になるように感じているのです。

そうした思い、考え方を持つ、Johnson さん、実は、Culdesac 社という新興の不動産開発会社のCEOです。長年の疑問、思いを実現するため、アリゾナ州フェニックス近郊に“Culdesac Tempe”という街を開発しました。ここは基本的にクルマの無い、クルマは通ることが出来ない街です。

Culdesac TempeCuldesac Tempe

Culdesac Tempe

域内には駐車場やガレージが無く、道路は徒歩での移動向けに出来ています。中庭や公共空間を結ぶような歩道や自転車道で出来ています。ショッピングモールやレストラン・食料品店など、生活に必要な施設が整備され、ふだんの生活で必要な用事は、ほぼ域内で済ますことが可能になっています。

敷地に接してライトレールの駅があるので他の地区へ出かけるのもスムース、クルマを使う必要はありません。もちろん、どうしてもクルマが必要な場合は、レンタカーや、ライドシェア、Waymo もあり、その他の公共交通機関も割引されるなど充実しています。フェニックスの中心にもアクセスしやすいので十分でしょう。

Culdesac TempeCuldesac Tempe

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域内の設計は、地域での住民の暮らしやすさやコミュニケーションを重視しています。クルマは使えないため、機動力のある移動手段として自転車、電動自転車、電動キックボードなどのマイクロモビリティが使われます。自転車で移動しやすいよう、自転車専用道が適切に統合され自転車利用者の安全性向上が図られています。

ここは、最初からカーフリーに設計された都市開発として米国初とされます。Johnson さんはアメリカでは最初からカーフリーにして街を開発しなければ、クルマ社会は断ち切れないと考えたのです。もちろん、他の都市にも、道が狭くクルマが使いにくいような地区もありますが、意図して設計された街は初めてです。

Culdesac TempeCuldesac Tempe

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昨年から入居が始まりましたが、住人には好評を得ています。他の不動産開発の関係者からも、最初は疑問の声や異論もありましたが、今では評価する声もあり、少なくとも注目が高まっています。今後、アメリカ人の都市観、都市生活に対する考え方に影響を及ぼす可能性もありそうです。

歩いて暮らしやすい街、オープンスペースや住民同士が見える形で行き交い、コミュニケーションをとりやすい街です。もちろん環境負荷や持続可能性の点でも評価されるでしょう。どこへ行くにもクルマを使わざるを得ない街とは、明確な違いが感じられるはずです。

Culdesac TempeCuldesac Tempe

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彼ら、Culdesac 社のメンバーの考え方は、『私たちがどのように移動するかによって、どのように生活するかが決まる。』と考えています。クルマを使わず、個人所有しない暮らし方、シェアモビリティ、ライドシェア、マイクロモビリティへの移行によって、新しいスタイルの暮らし方が可能になります。

これが典型的なクルマ優先の都市、高速道路や広い街路、住宅地が郊外に分散しているフェニックスに誕生したこともインパクトをもたらしたのかも知れません。真夏は暑いですが、基本的に乾燥していて自転車が使いやすい気候も暮らしやすさに貢献している面もあるのでしょう。( ↓ 動画参照)



Culdesac TempeCuldesac Tempe

Culdesac Tempe”の開発は第1段階が終わったばかりで、今後第2、第3段階と拡張されていく予定です。関係者は、このコンセプトを他の都市へ広げていくことに自信を持っています。環境面など、米国でも人々の意識は変わりつつあり、こうした街を望む声は増えつつあると感じているからです。

このような地区の開発が増えていくならば、これまでのようなアメリカ人の典型的な価値観、すなわち大型のクルマを家の前の私道にとめられる、郊外の広い邸宅を望むような価値観は変わっていく可能性がありそうです。どこへ行くにもクルマが必要、そして渋滞に悩まされる生活が、かえって不便と悟ることになるかもしれません。

Culdesac TempeCuldesac Tempe

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こうした街の開発が、ヨーロッパの古い街でなく、アメリカの都市、それも南西部のアリゾナ州・フェニックスで行われていることは注目に値します。日本でも古い町並みを壊し、道路を拡幅し、アメリカ型のクルマ社会を目指してきた面があると思いますが、それを問い直すべき時に来ているのではないでしょうか。


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◇ 日々の雑感 ◇

静岡の川勝平太知事が辞表を提出、失言続きなのに長く務めたのは県民の意向なのでしょう。今さら言っても仕方ないですが、沿線で駅が設置されず反対が予想された静岡を通らないルートに、少しずらせば出来たのでは。

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