世界全体の統計がなく、欧米ではフル電動の自転車、e-bike、が含まれていたり、カテゴリー分けが違ったりするので正確な数字はわかりませんが、新規販売におけるシェアが5割を超えていたり、e-bike、を含めた市場規模は拡大しているとの数字もあり、いずれにせよ大きく伸びているのは間違いないようです。
ここのところ、電動アシスト自転車を含む、バッテリーを搭載した自転車のネガティブな話題も取り上げました。海外で頻発しているバッテリー火災の問題ですが、発火するのは全体から見ればごく一部であり、違法に改造したり、純正でないものを使用したり、間違った使い方が原因のほとんどを占めています。
一部で問題はあるものの、世界では、電動アシスト自転車の普及が大幅に拡大しています。なんと言っても普通の自転車と比べてラクにペダルがこげるのが大きな利点です。広く支持された商品と言えるのは間違いないでしょう。今まで自転車を敬遠していた人まで自転車に乗るようになったという点でも画期的です。

ヨーロッパでは温暖化ガス削減の観点からクルマを止めて自転車に乗り換える人も増えており、自転車に乗ることは、環境負荷を減らす行為と捉えられています。電動アシストの登場によって、自転車に乗り換えやすくなったのは確かで、環境負荷を減らす点で大きく貢献していると評価されています。
電動アシストなんて邪道だとか、自転車とは言えないという人もあるでしょう。それぞれの好みなのでいいと思いますが、世間一般としては電動アシストの利用が確実に拡大しています。新しく発売される商品のラインナップを見ても、最近はスポーツバイクにまでアシスト付きが増えています。
電動アシスト自転車が、自転車に乗る人を増やし、自転車の有用性に世間の目を向けさせ、カーゴバイクなども含め、自転車の可能性を広げたとも言えると思います。ただ、ペダルをこぐのがラクなため、運動や健康増進という面では、あまり貢献していないだろうと思う人は多いに違いありません。

ヨーロッパでは、
電動アシスト自転車の社会的な研究も進んでいます。電動アシストが登場したことで、多くの人が自転車に乗るようになっただけでなく、より長く、より頻繁に乗るようになったという調査結果も出ています。ペダルだけの自転車よりも、アシストユーザーのほうが乗る時間が長いという結果が出ています。
1日に乗る平均距離は、ペダル自転車が平均4.8キロだったのに対し、アシスト自転車は9.4キロと大幅に長いことが明らかになっています。ちなみに、ペダル自転車に乗る人の平均BMIは23.8だったのに対し、バッテリー自転車のほうは、24.8と少し高くなっています。
BMIだけ見ると、運動としての効果はペダルのほうが高く見えます。たしかに単体として減量効果を比較したらそうなるでしょう。しかし、社会的な効果をみる研究なので、現状でペダル自転車に乗る層とアシスト自転車に乗る層は同じではなく、乗る人の平均BMIが違うのです。
ペダルに乗る人の平均年齢は41.4歳、バッテリーは48.1歳となっています。相対的に高齢のほうがBMIが高かったり、ペダルを選択する人は元々運動習慣があったりなどの違いもあるのでしょう。ペダルのほうが運動効果が高いのは当然に思えますが、社会的にみると必ずしもそうとは限りません。
両者の運動としての効果、
代謝等価作業時間(MET分/週)というのを測定した結果、両者はほぼ同等だったことがわかっています。おそらく、ラクなぶん長い距離を乗る人が多いことが影響しているのでしょう。必ずしもアシスト自転車の運動効果が低いということはなく、意外にも同等程度の運動になっていることになります。
明らかにペダリングがラクなのにもかかわらず、
健康増進効果についても、アシスト自転車は遜色がないということになります。さらに、運動量だけでなく、健康に作用する効果について調べた研究もあります。ドイツのハノーバー医科大学の研究などでアシスト自転車の効果が明らかになっています。

アシスト付きだとラクで健康効果は低い気がしてしまいますが、実は
肥満などのメタボリックシンドロームや血圧上昇などのリスクを半減させているとの結果が出ました。コレステロール値を下げ、脂肪肝のリスクを下げ、認知症の発症を下げ、がんの発症リスクも下げる効果も確認されています。
注意すべきなのは、ペダルとアシスト付き、それぞれの運動負荷を比較した結果ではないことです。単純な運動負荷はバッテリーのパワーのぶん、違ってくるのは当たり前です。しかし、そのことで長く乗れるなど、それぞれの自転車に乗る人の特性の違いによって変わってくるということです。
スポーツとして自転車に乗り、高い負荷の運動を行う人のほうが健康効果は高いのは別として、生活の中で自転車を移動手段として活用している人全般でみると、決してアシスト付きだからといって健康効果が乏しいわけではなく、同等程度の健康効果があがっているという結果です。

それぞれの自転車に乗る理由や、使い方が違い、アシスト自転車を選ぶ人は、クルマを乗り換えるために買う人が多いなど、さまざまな違いもあるのでしょう。結果としての健康効果は、アシストに乗る人のグループは、普通の自転車に乗る人のグループと比べて遜色がないという、研究者も驚くような結果が出ているのです。
ペダルだけの自転車に乗るか、アシスト付き自転車に乗るかは、それぞれの好み、個人の判断です。通勤とかスポーツ、レクリエーションなど目的も違うはずです。しかし、アシスト付き自転車を選んだとしても、自身の健康増進に貢献するという嬉しい結果と言えるでしょう。
おそらく、電動アシストなのであまり期待していなかったけれど、自転車に乗り始めて健康になったと感じている人も多いに違いありません。自分の乗る用途や環境で選べばいいだけで、何に乗っても自転車の恩恵はあります。今後もアシストは売れていきそうです。


◇ 日々の雑感 ◇
イスラエルがイランの施設に対しミサイル攻撃を行ったようです。イランとの直接戦争への拡大が懸念されます。
Posted by cycleroad at 13:00│
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