April 28, 2024

苦手でも人間は道具で補える

動物は生まれつき泳げます。


基本的に全ての動物は、魚類などの海中で泳ぐ動物から進化してきたため、生まれつき泳げるのだそうです。中には進化の過程で泳ぎが苦手になった種もいますが、陸上で生活して普段は泳がないような種でも、何かのきっかけで水の中に入った場合、泳いだ経験も、親に泳ぎを教わったわけでもないのに泳ぎます。

クマとかシカなど、あまり泳ぐのを見ないような動物であるとか、ゾウのように重くて向かないと思われる動物でも、実は器用に泳ぎます。泳ぐ必要のない鳥でさえ泳げると言います。全てとは言わないまでも、多くの動物は習わなくても、生まれつき泳げるのだそうです。

Photo by Consell Comarcal del Baix Emporda,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by Karen Blaha,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

ただ、人間など霊長類は進化のプロセスを多く経てきたため、他の動物と比べて泳ぎが苦手な傾向にあります。しかし、人間でも乳幼児をプールに浮かばせると、自然に泳いだりします。この時期は動物的な部分が残っているのでしょう。でも、この乳幼児の時期を過ぎると、人間は訓練なしには泳げなくなってしまいます。

日本では、特に場所を確保できない場合を除いて、体育の授業の中で水泳が必修となっています。どうしても泳ぐのが苦手な、いわゆるカナヅチの人もいますが、多くの人は上手い下手を別として泳げるようになり、一度習得すると、長期間泳がなくても忘れることはありません。最も忘れない運動と言われています。

WATER BIKESWATER BIKES

人間の場合は純粋に泳ぐ以外にも道具を使えるため、さまざまなマリンスポーツが人気となっています。サーフィンやボディボード、カイトサーフィン、スキューバダイビング、カヌー、カヤック、ヨット、スタンドアップパドルボードなど多岐にわたります。多様な新しいスポーツも次々に生まれています。

マリンスポーツに自転車の要素を持ち込む人もいます。まだあまりメジャーとはなっていませんが、カヌーなどをベースに、ペダリングによる推進装置を取り付けた道具を開発するメーカーも一つや二つではありません。このブログでもいろいろ取り上げてきました。

RED SHARK BIKESRED SHARK BIKES

マリンスポーツは、それぞれの楽しみ方があり、どれがいい、悪いという問題ではありません。ただ、身体の中で最大の筋肉である『足』を推進力に使うことは、そのパワーや持久力的にも理にかなった選択肢と言えるでしょう。人力で、よりラクに水上を移動したいなら、自転車に似た道具があってもいいはずです。

ちなみに、このブログで何度も取り上げてきたウクライナのYouTuberで、いつもユニークな変わり種自転車を制作する、“The Q”さんが新しい作品を発表しています。“Epic Cycling on Water”と題されたペダルで進むボートですが、なんと推進装置をわざわざオールにしています。( ↓ 動画参照)



さて、“The Q”さんもユニークですがネタであり、ウケを狙っています。こちらのメーカーはそうではなく、実用的な水上の移動手段として、とてもユニークな発想の製品を展開しています。その名も“Seabike”、自転車のようなペダルを使った器具です。

上の写真にあるように、ボートやカヌーなどをベースにペダルを取り付けるのが一般的な考え方だと思いますが、なんと自分の身体にベルトで固定する、いわば遊泳補助器具のような製品です。自分の足で、例えばバタ足をする代わりにペダリングをし、その力をスクリューに転換して推進する装置です。

SeabikeSeabike

SeabikeSeabike

SeabikeSeabike

バタ足などが苦手な人でも、ペダルをこぐのは他の人と同じように出来るでしょう。そして、誰がペダリングしても同じような推進力が得られます。動画などを見ると、ゆったりペダリングしていますが、なかなかの推進力を実現しているように見えます。簡単で誰でもすぐ使えるようになると言います。

この“SEABIKE”自体は浮きも沈みもしません。いわば中立の浮力をもっているため、水上を泳ぐだけでなく、スキューバダイビングなどで、水中や水底を進むのにも使えます。立ち泳ぎをすることも出来ます。腕で水をかく以外に、ボードやビート板のような浮力のあるものにつかまり“Seabike”だけで進むことも可能です。( ↓ 動画参照)









スクリューは、モーターボートのように激しく回転するわけではなく、ゆるやかに回るので、周囲の人に怪我をさせたりすることもないと言います。なんなら、プールで使うことも可能です。使い方や好みで浮力を調整するためのバラストウェイトも付属しています。

一般的な速度は秒速1m、最高で秒速2.2mほどです。分解して小さくなるので、持ち運びも便利です。まさに、ポータブルな水上バイクと言えるでしょう。とくに面倒なメンテナンスも必要ありません。海水で利用した場合は使用後に真水で洗い流すくらいで十分としています。なかなかユニークな製品です。

SeabikeSeabike

SeabikeSeabike

SeabikeSeabike

SeabikeSeabike

小中学校の水泳の授業で、上手く泳げずに苦労した人もあるでしょう。バタ足とか、カエル足、ドルフィンキックなど、特定の泳法が下手で、なかなか前に進まなかった人もいるに違いありません。授業でこれが使えたなら、何の苦労もなくスイスイ泳げただろうに、と悔しく思う人もあるのではないでしょうか。

人類は比較的泳ぐのが苦手な種とされますが、そのぶん道具を発明し作る能力があります。マリンスポーツ用にもいろいろな道具があります。これからまさにシーズンになるわけですが、泳ぎに自信のある人でも、川で深みにはまったり、海で沖に流されることがあるので、過信には気をつけたいものです。


ブックオフオンライン【PC・スマホ共通】

◇ 日々の雑感 ◇

出かけるには絶好の陽気ですが4月とは思えない暑さになっています。熱中症での搬送も増えてしまいそうです。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル

この記事へのコメント
初めまして。人間は水生生活を経ている可能性があると言う説をご存知ですか。エレイン・モーガンの「女の由来」と言う本がきっかけらしいです。(叔父だったか海性哺乳類の研究者からインスピレーションを与えられただったかな)
この人は研究者ではなくジャーナリストだったので本を出版しても黙殺されていたようですがサバンナ説の矛盾をついていて説得力を感じます。(今までの常識を外れて相手にされなかったと言う事ではジャンピング遺伝子を発見したマクリントックを思い出す) 人間には水掻きが少しながら有りますからね。咽頭の構造は海性哺乳類と類似点があります。陸上生活者にしては皮下脂肪の量が多過ぎるんですよね。発汗量や尿が薄く多い事はサバンナ等の気候では不利で常に水場で居た可能性も感じます。普通の出産より水中出産の方が安全性が高い可能性もあります。(可能性ばっかやな)新生児の反応はその可能性を示唆してはいないのか...等々。個人的に思うのはテングザルと言うマカク類がいますが名前の通り普通のサル類と違い鼻が長い(前に伸びている)。そしてこのテングザルは水に浸かるのを怖がらない。移動時に川へダイブするんですね。水に浸かるのと突き出た鼻。もし人間の鼻が突き出て無かったら水に顔をつけるのはうつ伏せでないと難しくなる。(アザラシのように蓋が出来れば別ですが)
こんな事から人間は水が苦手と言うよりはサルの系統では珍しく水を苦手としない生物と考えてられると言うです。
後だいたいの脊椎動物が泳げるのは単純に肺があるから浮きやすいからじゃないですかね。
Posted by あああ at April 29, 2024 19:33
あああさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
その説も本も全く知りませんでした。水生生活をしていたというのは他ではあまり聞いたことがありませんし、なかなか奇抜に聞こえますが、たしかにそのような可能性があるのかも知れませんね。
人間で泳げる人は多いですし、上手い人もたくさんいますが、一般には他の動物のように、何も教わらずに泳げないという点で苦手な種なのかと思っていました。
泳ぎの上手下手はともかく、興味深い説ですね。ご教示いただきありがとうございました。
Posted by cycleroad at May 01, 2024 13:03
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)