今や多くの人が当たり前のように使うようになったスマートフォンですが、この普及でいろいろと便利になったのは間違いないでしょう。屋外も含め、いつどこでもネットに接続して情報を入手できるようになりました。スマホ以前のフィーチャーフォンでも可能でしたが、大幅に使いやすくなりました。
スマホ用のアプリがいろいろ開発され、誰かと連絡をとるだけでなく、SNSでコミュニケーションをとったり、動画を視聴したり、写真や動画を撮影したり、位置情報を確認したり、商品やサービスを購入したり、電子決済を使ったりなど、さまざまなことが出来るようになりました。
ただ、スマホは同時に弊害ももたらしています。例えばスマホ依存、スマホ中毒になる人が増えています。一日のうちの長い時間をスマホを使って過ごすようになり、動画視聴やSNS、ゲームなどが止められなくなる人も珍しくありません。スマホ無しでは生きていけないと真剣に感じている人も多いとされます。
直接スマホのせいとは限りませんが、常にスマホが身近にあることで、SNSで他人と自分を比較してメンタルを病んでしまう人とか、悪意のある人とつながってしまい、犯罪に巻き込まれる青少年も増えています。ゲームの課金やギャンブル依存症になって身を持ち崩す人もいます。いわゆる巨大IT企業の独占の問題もあります。
歩きスマホで事故に巻き込まれる事例も起きています。運転しながらスマホを使っていたことで事故を起こす人もいます。必ずしもスマホが原因と明らかにならない例も多いですが、相当に多い割合の人がスマホをチラチラ見ながら運転しており、脇見運転が事故を誘発する例は少なくないでしょう。
スマホを手で持って自転車に乗る人を見るのも日常茶飯事です。やれば出来てしまいますし、最近のタイパ重視の姿勢から、自転車に乗る時間はヒマだと感じるのでしょう。これによる事故も起きており危険な行為なのは間違いありません。それならばとハンドル回りに固定する人もいますが、注視してしまうと、やはり危険です。
ちなみに、スマホをサイクルコンピュータ代わりに使う人もあります。速度とかケイデンスなどのデータなら従来のサイコンが優れる点もありますが、スマホだとナビとして使ったり、Strava のようなサイクリング用のSNSが使えたり、そのほかのスマホの機能が走行中に使えて便利だからでしょう。


さて、急速に我々の生活に浸透したスマホですが、スマホの次は何になるのでしょうか。スマートウォッチだとする指摘もありました。しかし、すでにスマートウォッチは製品化されていますが、独自の機能はあるとしても、それほど便利と評価する人は多くなく、スマホに取って代わようには見えません。
現時点での有力候補はメガネ型モバイル端末、「スマートグラス」でしょうか。サングラスのようなアイウェアに拡張現実・ARや、複合現実・MRといった技術を搭載して、視界の中に情報を表示するものです。これも既に製品化されていますが、次々と進化形が開発されています。


“
QIDI Vida”もその一つです。オールインワンのARグラスで、フルカラーディスプレーを採用、カメラやナビゲーションも搭載し、AIを使ったAIスポーツメイトとの触れ込みです。自転車に乗ってハンドルを握ることも想定しており、音声で操作したりハンズフリーで通話も出来ます。もちろん、他のスポーツでも使えます。
スピード等サイコンのようなデータ、心拍数なども表示されます。カメラ機能もありますし、通話も出来ます。地図ナビゲーションを表示したり、高度や気圧、温度に湿度、紫外線などの天候データも確認できます。各スポーツに応じたガイダンスなども表示します。( ↓ 動画参照)
既存のスマホとブルートゥース接続も出来ますし、単独でもスマホのような機能を実現しています。AIが動物や植物などを認識して、それが何か教えてくれたり、知らない言語を翻訳したりなど、AIによるさまざまな機能も満載しています。ディスプレイは、高級車などで使われている“AR HUD display”を採用しています。
友人と共に走行している場合、ネットワーク範囲内で距離制限なしでリアルタイムにチャットができます。メンバー全員の位置を確認することができるので、誰も取り残さないように出来たり、途中で予期せぬ事態が発生した場合は、すぐにチームメイトに警告することも可能です。


高速で自転車に乗っている風切り音の中でも非常にクリアな通信を確保でき、耳をふさがないヘッドフォンとしても機能します。サイクリングのルートを詳細に記録する機能もあります。ナビゲーションとして使えるので、当然ながらGPSも搭載しています。
音声コマンドで写真を撮れと言うだけで写真が撮れます。48MPカメラと100°の超広角モードを搭載していてパノラマビューも記録可能です。動画モードの場合はシャッターを押す5秒前から録画を開始できます。風の抵抗を軽減する設計で、曇り止め機能も備えています。レンズは交換可能です。( ↓ 動画参照)
そのほか説明を読むと、これでもかというくらい機能が満載です。使ったわけではないので評価は出来ませんが、読む限りでは、スマートグラスもここまで進化しているのかと感じます。現在、クラウドファンディングサイトで資金調達・販売をしていますが、37日を残して目標の56倍の額に達しています。
スマホに取って代わるのがスマートグラスかはわかりません。少なくとも自転車に乗る場合に、手で持ったり、ハンドル回りに固定するよりは便利になりそうです。前方を見たり手元を見たりと大きな視線移動をしなくて済むぶん、安全性も向上する可能性があるでしょう。


ただ、視界の中にいろいろなデータが表示されると、どうしても注意散漫になったりするでしょう。人間は、たくさんの情報を一度に処理出来ませんし、ARの環境に慣れるだけでもたいへんそうです。今のスマホと同じで、便利な一方で弊害も出てくるでしょう。
技術が進歩し、高機能になって便利になるのはいいですが、人間の能力がついていけるとは限りません。特にこのようなデバイスでは、利便性と安全性は、なかなか両立が難しい問題です。願わくば、利便性に偏ることなく、人間に優しい技術が追求され、安全にサイクリングが楽しめる未来を期待したいものです。


◇ 日々の雑感 ◇
イスラエルとハマスのガザを巡る交渉、予断を許しませんが、戦闘休止と人質解放が実現するといいのですが。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(0)