そして、自転車のほうにはそのシューズに合ったビンディングペダルが取り付けられているわけですが、これがロードバイク用のビンディングペダルなどだと、いわゆる踏面となる部分が小さかったり凸凹だったりして、普通のシューズではペダリングしにくいという弊害が出てくることになります。
片面はビンディングペダルで、片面はフラットになっているペダルなどもありますが、専用ペダルだと、なかなか通常の移動手段としては使いにくいということもあるでしょう。いちいちペダルを付け替えるのは面倒ですし、普通の靴を持って行き履き替えるという手もありますが、荷物になります。

もちろん、ツーリングの先でも散策するのに便利といった理由から、ビンディングペダルを使わずにフラットペダルを使う人もあるでしょう。どんなペダルやシューズを使うかは、その人の好みやスタイルによるわけですが、一部の、どちらでも使いたいという人向けのアクセサリーが、これまでも開発されてきました。
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FlyPedal” とか、“
Pocket Pedals”といった製品です。ふだんの趣味の自転車走行に加え、普通の靴での移動にも使いたいというニーズに応えるものです。ただ、これらの解決策は、どれもペダルに取り付けるものでした。普通の靴で乗りたい時に装着するというのは自然な考え方でしょう。


“FlyPedal”は、いわばクリートのついたペダルで、ビンディングペダルの仕組みを利用して靴の代わりにフラットペダルを固定します。“Pocket Pedals”もビンディングペダルを挟み込む形でフラットペダルのような形状にして、普通の靴でもペダリングしやすいようにするものです。
そんな中、新しいスタイルを提案するソリューションが登場しました。“
ClipClap”です。これはペダルでなく靴のほう、普通の靴に簡単にクリートを取り付けられるという製品です。ペダルがビンディングペダルになっていても、このアダプターを使えば、普通の靴でもペダリングできるわけです。小さく、持ち運びも便利です。
もちろん、普通の靴でも乗れるだけでなく、普通の靴がビンディングシューズになるわけで、ビンディングシューズに慣れている人には乗りやすく、普通の靴でもそのメリットを享受できるということになります。言われてみれば簡単なことですが、今までになかった新しい発想です。


私も全ての製品をチェックしているわけではないので、過去にも似たものがあったかも知れません。しかし、ペダルのほうではなく、靴にアダプターを取り付けるという解決策は見た記憶がありません。これを開発した同名のドイツ企業、ClipClap 社も、普通の靴に汎用的に取り付けて着脱出来るクリートは世界初としています。
雪国などで、普通の靴に取り付けて使う滑り止め器具と考え方が似ています。必要な時だけ、靴に機能を追加するという点で同様の考え方と言えるかも知れません。なぜ今まで、このような製品がなかったのか不思議なくらいです。この“ClipClap”、昨年販売が開始され、同年のドイツのデザイン賞を受賞しています。


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ClipClap”には、アダプター単品に加え、クリートとペダルまでバンドルされているセットも販売しています。ビンディングシューズを購入しなくてもビンディングシステムになるわけです。これは、ビンディングを普及させるのに貢献するかも知れません。
一般の自転車利用者が使いたいと思うかどうかは微妙ですが、使ってみたら便利と感じる人もあるはずです。スネをペダルに打ちつけてしまい、痛い思いをしなくて済みます。ペダルを踏み外さない安心感と、ペダリングしやすいなどのメリットも感じられるでしょう。

自転車のアクセサリーには、既にたくさんの製品があります。しかし、この“ClipClap”のように、少し違う発想をしただけで、また新しいスタイルを提供する製品が生まれます。ペダル回りに限らず、自転車の新しいアクセサリーのアイディアは、まだまだ埋まっているに違いありません。


◇ 日々の雑感 ◇
ロシア軍がウクライナ東部で攻勢をかけています。一時不足していた兵器の充実は中国の間接的支援だと言います。このままではロシアの武力による現状変更が実現し国際秩序の瓦解や権威主義の増長が懸念されます。
Posted by cycleroad at 13:00│
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