サイクルロード 〜自転車への道
世界の都市で自転車が選ばれ始めている。さまざまな角度から自転車の話題を。
May 25, 2024
皆が楽しめる自転車イベント
自転車のイベントにもいろいろあります。
ロードレースやヒルクライム、MTBのダウンヒルといったレース以外にも、長い距離を走るロングライド、湖や島を一周するようなご当地イベントも行われます。その地の観光名所を巡るツアーなどもあれば、特定のテーマに沿って参加者が集まるようなライドイベントもあるでしょう。
有名なワールドネイキッドライドなんてものもありますし、服装が決められたツイードランも知られています。クリティカルマスと呼ばれる集まりもあれば、カーフリーや気候変動対策などを訴えるデモイベントもあります。手作りの自転車で参加したり、仮装を楽しむようなパレードも行われています。
さまざまな自転車イベントが世界各地で行われているわけですが、アメリカ・オレゴン州、ポートランドにもユニークなライドイベントがあります。“
Ladds 500
”と呼ばれるロングライドです。
参加者は100マイル、160キロの距離を走る
ことになっていますが、そのコースがユニークです。
南東部の住宅地にあるラウンドアバウト、環状交差点がその舞台です。一周しても数百メートルほどしかない環状の交差点をグルグルと500周走るのです。ですから、ロングライドと言っても、どこにも行きません。同じ所を周回するだけのロングライドです。
『何だそれ?』と思った人は多いと思います。同じところを回るだけで何が面白いのかと思うのが普通の感覚でしょう。このイベントは2016年から行われていますが、一貫してスローガンになっているのが、『何かバカなことをしよう。』というものです。つまり主催者も参加者もバカなことだとわかって参加しているのです。
レースではなく、リレーです。1人で500周走ってもいいのですが、バイクを10回乗り換えるのがルールです。つまり、リレーです。タイムを争うのではありません。誰が一番楽しんでいるかを競います。写真を見ればわかるように、奇抜な自転車に乗ったり、コスチュームを楽しんだり、思い思いの楽しみ方をしています。
このライドのいいところは、どこへも行かないことです。一緒に参加したチームの友達とはぐれることもありません。もし脚力の違う友人や家族と参加しても、周回遅れになるだけで、1分も待てば、またすぐ会えます。交通量の少ない住宅地なので危険な場所もありません。
第1回を主催して、今もリーダーである、David Robinson さんは、「『春だ、バカなことをしよう!』というのが、“Ladds 500”だ。」と話します。「参加者にラウンドアバウトを500周させるだけです。人生は無意味であり、気まぐれでもあります。」と話しています。
クルマのモータースポーツの世界には、インディアナ州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われる「インディ500」という有名なレースがあります。同じように環状のオーバルコースを周回するレースですが、それのパロディを意識したネーミングなのでしょう。
「インディ500」はサーキットを200周して500マイル走行するわけですが、こちらは500周、トータルで100マイルとなっています。これは公称で実際はそれより短いようですが、誰も気にしていません。周回数は自分でカウントしますが、きっちり500周する必要もありません。レースではなく楽しむイベントなのです。
環状交差点の中は、芝生や草木が植えられた公園のようなスペースになっており、参加者や見物客がくつろぐことが出来ます。バーベキューをしたり、持ち寄った菓子などをライダーにふるまったりする人もいます。ライドイベントと、ピクニックとお祭りが一緒になったような感じでしょうか。全部1か所で出来ます。
チームで参加して、食材などを持ちこみ、他のライダーにスナックなどをふるまうのが伝統になっています。地域のサイクリスト同士で交流できるのも楽しいのでしょう。「バカなことをする」というコンセプトに賛同した者同士の連帯感もあるに違いありません。
参加者は事前に予約したり登録したりする必要はありません。その場に来てボードにチーム名などを書いてホチキスで止めるだけです。参加費も無料です。経費は寄付で賄っています。ただ、このラッドサークルパークへは自転車で来る必要があります。住宅街を来場者のクルマであふれさせて近所迷惑にするわけにはいきません。
つまりローカルなイベントです。近くに人気の自転車道があるので、それ沿いの街から来る人もいますが、この場所へ自転車で来られる人だけのイベントです。午前10時にスタートし、ほとんどのライダーは午後2時から4時の間にゴールします。距離も速さも競っていないので、特に周回数などは記録されません。
公道であり、クローズドな道路ではないので、一般のクルマが通ることもあります。交通量は少ないですが、地元住民のクルマに迷惑をかけないようにしています。歩行者にも注意して、もし歩行者にぶつかると失格ですとアナウンスしています。ゆるい体制ですが、問題やトラブルは起きていません。
運営はボランティアによって行われています。ただ仮設のトイレを準備したりなど相応の費用もかかります。寄付以外に、地域のスポンサーの協賛、記念ワッペンやステッカーを売るなどで調達しています。寄付文化の根付いたアメリカなので、イベントのコンセプトに賛同した参加者をはじめ相応の寄付が寄せられているようです。
( ↓ 動画参照)
第1回はわずか40人の参加者で始まりましたが、今は地域の人気の一大イベントとなっています。同じところを回るだけで何が面白いのかと思えば、みな最高に楽しんでいます。自転車好きが集まるイベントなので、新しい友達が増えたりするのも楽しいところなのでしょう。
これはユニークなライドイベントです。日本でも最近、自転車イベントを企画するところが増えていますが、特に名所や人気のサイクリングロードがなくても、これなら出来るでしょう。『そんなのバカバカしい。』と思いがちですが、そのバカさ加減がかえって人を集めることもありそうです。
◇ 日々の雑感 ◇
トラブル続出の上に利用率が低く悪評の高いマイナカードが偽造され詐欺に使われる事態、もう廃止ですかね。
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Posted by cycleroad at 13:00│
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