May 28, 2024

犯行の記録だけでは防げない

サイクリストは気をつけるべきことがあります。


事故や車体のトラブルなどもそうですが、愛車の盗難防止に気を配る必要があるでしょう。日本ではママチャリに乗る人のかなりの割合が施錠をしないという調査があります。いちいち面倒ですし、日本で市場を席捲する格安なママチャリを盗んでもメリットは少ない、とくに古かったりすれば盗む人はいないと考えるのでしょう。

しかし、趣味のサイクリストが乗るロードバイクをはじめとする高額なスポーツバイクは違います。頑丈なロックで厳重に施錠するでしょうし、駐輪する場所に気をつけたりします。振動などの異常を検知してアラームが鳴ったり、通報する装置だとか、GPSの位置情報を使った追跡用発信装置なども売られています。

自転車盗自転車盗

国や地域によっても盗難事情は違うと思いますが、多くの地域で盗難が多発しているのは、実は個人宅です。集合住宅の駐輪場だけではなく、戸建ての自宅の軒先であっても盗難事件は発生しており、その割合が一番となっている国や地域が多いのです。日本もそうです。

公道の道路上とか街の駐輪場などは、誰もが愛車に近づける環境であり、そのリスクは誰もが感じるでしょう。それに比べて自宅の敷地内は、窃盗犯にとってハードルが高いと考えている人も多いのではないでしょうか。たしかに道端から盗むのと違い、敷地への不法侵入が必要という点で、心理的にもハードルが上がりそうです。

PaintCamPaintCam

ところが、通りすがりの出来心による犯人と違い、プロの窃盗犯の場合はそうではありません。住宅街の個人宅の敷地内のほうが、周囲の人目が少ないぶん盗みやすかったりします。家の内部ならともかく、敷地内への不法侵入をためらうことはないようです。

プロの窃盗犯は、自分で乗るために盗むのではありません。換金が目的です。そのため、高額で売れるブランドを選ぶでしょう。そのようなバイクを物色することになります。駐輪場なども物色するとは思いますが、個人宅なら目をつけたバイクが明日以降もとまっているのはほぼ確実、タイミングを見て犯行に及べるわけです。

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盗難防止に一番いいのは自宅の室内に保管することだと思います。さすがに軒先ではなく室内まで進入するのは難易度も上がります。しかし、室内保管には置く場所がなかったり、家族の同意が得られないといった事情もあるでしょう。結果として玄関先や庭、軒先などに置く人は多いはずです。

そのための対策として、自宅に防犯カメラを取り付ける手もあります。ただ、プロはごく短時間でロックを破壊すると言いますし、防犯カメラが必ずしも犯行の抑止になるとは限りません。カメラに犯人が写っていても、盗まれてしまえば警察がどのくらい動いてくれるかわかりません。結果として被害が回復するとは限りません。

PaintCamPaintCam

そんな不安を抱いている人に新しい製品が登場しました。その名も “PaintCam” です。普通の防犯カメラにはない機能を備えています。AIを搭載しており、検知した侵入者が何者かを識別します。家族やいつもの宅配業者などであれば、通常通り録画をするだけです。

ところが、何者か不明な人物と認識すると、スピーカーから音声で、敷地内から5秒以内に退去するよう警告します。それに従わない人物に対しては、ペイントボールを発射し、命中させるのです。ペイントボールとは、銀行強盗対策などに使われる、簡単には落ちない塗料が入ったボールです。

PaintCamPaintCam

侵入者に塗料が付着すると、それが目印となり、犯人と特定されるわけです。そう簡単には落とせないので、犯人の発見、逮捕につながるというものです。通常のペイントボール以外に、気づかれにくいUVペイント弾もあります。催涙ガス弾を発射するようにも出来ます。追い払う強力な効果が期待できます。

もし、自動発射が心配なら、侵入者を検知した時、手元のスマートフォンに通知させることも可能です。画像を見て、ボールを発射するか決められるわけです。例えば、怪しいと判断した人物がいつもの宅配業者ではなく、たまたま病欠で代わりに来た係員だったりする場合など、確認しての対処が可能になります。

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不審な人物が、知っている人物と一緒に検知された場合の動作などを設定することも可能です。例えば、家族が新しい友人を連れてくるようなことも考えられます。そのような場合の動作を指定しておけば、いろいろな場面に対応できるでしょう。必要ならペットなども識別できます。AIならではの機能です。

ちなみに、これは自転車盗の撃退専用ではありません。例えば、置き配で配達された荷物の窃盗なども想定されているでしょう。自宅に設置する防犯カメラとして、ただ画像を記録するだけでなく、家の中への侵入防止も含めた『積極的な』防犯機能、すなわち犯人撃退機能を備えた装置という位置付けです。







これは、なかなか過激なセキュリティシステムです。スロベニアの企業、OZ-IT という会社が開発しています。現在クラウドファンディングサイトで資金調達をしていますが、すでに目標の6倍以上の金額に到達して調達に成功しています。一定の評価を得ているようです。

このような攻撃的なセキュリティシステムが、果たして日本にも馴染むかはわかりません。ただ攻撃といっても、銃撃や火炎放射をしようというのではなく、自宅の敷地内への侵入者に、警告した上でペイントボールをぶつけるくらいなら、許容されるかも知れません。

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日本で、これを自転車盗への対策として導入しようという人がどれくらいいるのかは未知数です。ふと思ったのですが、このような装置、日本でいま問題になっているクマ対策に使えないでしょうか。AIでクマを検知したら、クマよけスプレーを発射して、人里から追い払う装置が出来たら役立ちそうです。

クマはともかく、愛車の盗難防止を心がける上で、自宅での対策は疎かになりがちです。海外でもこのような装置が提案され資金が集まるのは、自転車も含めた窃盗犯が無くならないことが背景にあるのでしょう。このような装置が一般的になるかはわかりませんが、侵入者や窃盗犯に一矢報いたいという気持ちもあるのかも知れません。


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◇ 日々の雑感 ◇

外国人観光客が殺到した富士河口湖町のローソン前に設置された幕に穴が複数開けられ撮影されているそうです。十分予想出来たのに破かれるような材質は問題でしょう。「防犯カメラ作動中」の表示も効果はないそうです。

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