July 06, 2024

自転車の交通秩序確立が必要

明日は七夕です。


梅雨の真っ只中であるはずですが、晴れ間が広がり暑い日も多くなっています。明日の七夕も多くの地域で晴れそうです。さて、そんな時期ですが、今回は最近の自転車関連のニュースの中から、いくつか気になったものをピックアップしてみたいと思います。


「おい!」呼び止められ…その後は “信号無視”自転車 子どもが転倒



ドライブレコーダーが間一髪の瞬間を捉えました。

目撃者 「交通渋滞があったわけでもなく、普通に道は空いていたような印象でした」

しばらく信号待ちをしていると、車道の左側を女性が運転する自転車が通り抜けます。この時、進行方向の信号は赤です。すると、子どもは自転車ごと転倒。この後、女性は信じられない行動に出ました。女性はスピードを落とさず、その場を立ち去ってしまいました。近くにいた通行人が転倒した子どもを心配して集まります。

目撃者 「確実に自転車が倒れる音は聞こえていたし、あと通行人の男性の方が『おい!』って声を掛けられていたので気付かないってことはないと思う」

ドライブレコーダーはこの危険行為の直後、駅の近くで再び女性の姿を捉えていました。

目撃者 「駐輪場に自転車を止められて何事もないように(駅へ)スタスタ歩かれている印象でした」(2024/07/02 テレ朝ニュース)


歩行者が横断しているのに、赤信号を無視して止まる気配もありません。クルマなら当然止まりますが、自転車はそのまま歩行者の間をすり抜けて直進する人を見ることが少なくありません。赤信号であっても、なるべくなら止まらないのが普通、習慣になっているのでしょう。

この例では事故になりませんでしたが、一歩間違えば重大な事故になりかねません。自転車が車両だと思っておらず、交通ルールなどほとんど頭に無いのが問題です。歩行者の延長の感覚で乗るのが原因だと思いますが、この無法状態は、抜本的に是正していく必要があると思います。


自転車で道路の真ん中を逆走か…前から来た緊急走行中の救急車を自転車で妨害した疑い 61歳無職の男を逮捕



岐阜県岐阜市で5月、自転車で救急車の走行を妨害したとして、61歳の男が逮捕されました。

岐阜市真砂町の無職、佐々木昇容疑者(61)は5月21日、岐阜市千石町で片側1車線の県道を自転車に乗って逆走し、前方から来た緊急走行中の救急車を停車させた、公務執行妨害の疑いが持たれています。

佐々木容疑者は道路の真ん中を走行し、その後現場から立ち去っていましたが、ドライブレコーダーの映像などから特定されたということで、調べに対し容疑を認めています。(2024/06/27 東海テレビ)


これは、例の『ひょっこり男』のマネをしたのでしょうか。でも、道路の中央を走り、緊急走行中の救急車を妨害するとは、ひょっこり男より悪質です。61歳にもなって、こんな行動をとるとは何を考えているのでしょうか。このような例が増えているようなのも不気味です。


【独自】自転車NG道路で“逆走2人乗り”…20代カップル? 車の間すり抜け「危険極まりない」違反走行 埼玉・戸田市



埼玉・戸田市の国道で24日、自転車が逆走する姿が撮影されていた。目撃者は、「20代のカップルが逆走していた」と話す。自転車が逆走していたのは、自転車の通行が禁止されている道路だった。

自転車は通れない道で…危険な逆走

埼玉・戸田市の国道で24日午後10時ごろ、自転車が通れない道路を逆走してくる自転車がカメラにとらえられていた。隣の車線を通り過ぎていったかと思われた次の瞬間、さらにもう1台も逆走してきた。

遭遇した運転手は、「男女カップルで20代ぐらいか。危険極まりない、どうしようもない連中だと思った」と話している。

2人乗りで道路を逆走する自転車の映像を見ると、反対車線も自転車が走っていた。後ろのカメラには、逆走する自転車が走行するトラックと車の間をすり抜けていく様子が映されていた。

約150メートル先の交差点から進入か

目撃された現場は、自転車の通行が禁止されている国道だった。自転車が来た方向を確認すると、約150メートル先に交差点があり、自転車が走れる道路の南側から進入したか、西側の道路から曲がって入った可能性が考えられる。

遭遇した運転手は、「追い越し車線を逆走しているのがまったく問題外だと思った。危険極まりない。このような人に意見しても守れないだろうと思うが、本当にやめてほしい」と話している。(2024年6月29日 FNN)


逆走していたために、自転車通行禁止の道路とわからずに進入してしまったのか、そもそも通行禁止だろうが、2人乗り禁止だろうが関係ないという人なのでしょうか。危険極まりない違反走行はその通りで、少し間違えば死傷事故になりかねません。巻き込まれるドライバーもいい迷惑です。

わざと違反行為をして楽しんでいるのか、そもそも自転車のルールを意識していないのかはともかく、違法行為は取り締まる必要があります。しかし、根本的な解決のためには、やはり自転車の通行秩序を確立し、周囲と同じように車両として普通に走行するのが当たり前になる環境が必要でしょう。


自転車2台が危険な“相合い傘”走行 後続車の目の前で「怖い」



2人で1本の傘を差して並んで走行。自転車の危険な運転です。

■自転車2台が“相合い傘”走行

運転していた男性 「自転車がいるなと思っていて近付いたら、傘を差して、よく見たら並進していて、車線の中央付近を走っていた。危ないなと思いました」

いわゆる“相合い傘”状態で2台の自転車が並走。柄の部分を2人それぞれが持っての片手運転です。

運転していた男性 「いつ転ぶかも分からないですし、バランス崩して真ん中の方に来たり対向車線に出る可能性もあるので、ものすごく怖い。危険な行為だと」

後ろには車が続いていましたが、男性は自転車の2人をしばらく追い越すことができませんでした。

運転していた男性 「この通りの中央線センターラインが白の実線、自転車を追い越すためにはみ出てはいけない。ルール上はみ出せない、追い抜けない」

2台の自転車はどこまで並走を続けたかは分かりません。

交通事故鑑定人 熊谷宗徳さん 「2つの違反が考えられる。1つ目は道路交通法19条の並進の禁止。自転車などの軽車両は他の軽車両と並走してはいけない。もう1つの違反はほとんどの都道府県で公安委員会規則として定められているもの。傘を差して自転車で走行すること自体を禁止している」(2024/07/04 テレ朝ニュース)


これも危険走行ですが、初めて聞きました。1本の傘で“相合い傘”走行で並走するとは器用なものです。当事者にしてみれば、傘が1本しかなかったので、当然の流れだったのかも知れません。もちろん、危険走行の肩を持つわけではなく、こんな違反もあるのかと驚くばかりです。

併進禁止も、傘さし走行の禁止も知らなかった可能性はあると思います。でも、違反だと思っておらず、ルールを知っていたら、はたしてこの走行をしなかったかと言われれば疑問です。ただ、並走の禁止も傘さし走行禁止も、ルールとして周知されていない面はありそうです。


警察庁&警視庁に聞いてみた!! 自転車への青切符交付で取り締まりはどう変わる!!?

取り締まり運転マナーや交通違反が問題となっている自転車。そんな自転車に対して、2年以内に青切符の適用が可能になる道路交通法改正案が、今年5月に可決された!

青切符が切れることで取締りはどのように変わるのか!?  日本の警察機関全体を統括・管理する警察庁、そして都内で実際に取り締まりを担当する警視庁に聞いてみた!!

■10年前に比べて検挙数は5倍増! 増え続ける無法者

警察庁が公開しているデータによると、自転車の交通違反の検挙数は令和5年が4万4207件。平成26年が8070件だったので、10年間でその数は5倍に達していることがわかる。もちろん目に見える違反だけでこれだけあるので、検挙されない違反はさらに多い。

そんな状況に世論からも厳罰化の声が高まり、2024年3月5日、警察庁は道路交通法の一部改正をする法律案を国会提出。同年5月17日に国会で改正案が成立した。(中略)

■2年以内だけど、前倒しはある!? 警察庁&警視庁の改正を受けての注目コメント

この道路交通法の一部改正を受けて、警察庁、警視庁はどのように考えているのか? ベストカーでは両庁の広報担当部署に文書で質問状を送付、その見解を取材した。取材の回答については原文ママとしている。

[1]道路交通法の一部改正が可決・成立し、2年以内に施行されるとのことですが、一日でも早い施行を期待する声はありますか?

【警察庁】 自転車は非常に多くの方が手軽に利用している乗り物であり、新制度の施行に当たっては、制度内容の充分な周知が必要であることなどを踏まえて、改正法の公布の日から2年以内に施行することとしています。

[2]これまでの取締りよりも、頻度は多くなるのでしょうか? 本気度がわからず、実効性を疑問視する声も少なからずあると思いますが、どのくらいのペースで取締りは行われるのでしょうか?

【警察庁】 現在、自転車の取締りは、自転車関連事故の発生状況や地域住民の取締りに関する要望などを踏まえ、自転車指導啓発重点地区・路線を中心に、悪質性・危険性の高い違反行為について検挙を行っているところであります。

取り締まり具体的には、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合や、違反行為により他の交通主体に具体的な危険を生じさせた場合等に検挙を行っています。このような取締りの基本的な考え方は、交通反則通告制度の導入後も引き続き維持することとしています。

お尋ねの取締りの頻度や検問の有無についても、基本的には、事故の発生状況や地域住民などの要望を踏まえて検討していくこととなります。

【警視庁】 警視庁では、 信号無視や一時不停止をはじめとした悪質性・危険性の高い自転車に対する指導取締りを強化しているところですが、道路交通法の一部を改正する法律の施行を見据え 、引き続き指導取締りを推進していきます。なお、指導取締りの頻度については回答を差し控えさせていただきます 。

[3]自転車は一般的な物でも20〜30km/h出て、ロードバイクのようにより速度が出る車両もありますので、取締りは主に白バイ警官が担当するのでしょうか?

【警視庁】 指導取締りに当たっては、白バイや自転車を利用するほか、交通検問により実施する場合があります。

[4]現場の警察官としては、青切符を切ることができるようになると、これまでよりも自転車の取締りがしやすくなるのでしょうか? これまで自転車指導警告カードや赤切符による書類送検がありましたが、青切符で積極的に取り締まれるようになるのでしょうか?

【警察庁】  自転車を交通反則通告制度の対象とすることで、自転車の違反処理を合理的に行うことができるようになり、取締り現場での事務手続の負担軽減が図られると考えております。それにより、取締り現場において人的リソースが捻出されることとなりますが、これらのリソースは、自転車利用者に対する指導警告の充実に充てることにより、自転車の交通ルールの遵守を呼び掛けることとする予定です。

【警視庁】 青切符の適用により、取締現場における手続きの簡素化が図られ、拘束時間の短縮など、違反者の負担軽減が見込まれるほか、警察官の早期現場復帰が可能となり、これまで以上に事故抑止に資する効果的な交通街頭活動が実施できるものと考えています。(以下略 2024年7月5日 ベストカー)


ニュースではありませんが、警察への取材の記事が載っていました。いかにもお役所的な回答ですが、青キップの導入は念願であり、取締りの効率化が実現すると考えているのでしょう。自転車の無法状態の是正のためには必要ですが、いたちごっこにすることなく、交通秩序の確立にどうつなげるかが重要だと思います。


自転車「ながらスマホ」「酒気帯び」運転、11月にも罰則に

危険な交通違反危険な交通違反を繰り返す運転者に安全講習を義務付ける「自転車運転者講習制度」について、警察庁は27日、対象とする違反行為に運転中の携帯電話使用(ながら運転)と酒気帯び運転を加える方針を明らかにした。

28日からの意見公募を踏まえて道路交通法施行令を改正し、11月にも対象を拡大する。

自転車のながら運転と酒気帯びに対する罰則を新設するなどした改正道路交通法が5月に成立し、罰則規定は11月に施行される見込み。これらの違反行為について、罰則の整備だけでなく運転者講習の対象にもすることで、マナー向上を図る。

自転車の運転者講習は2015年に導入された。一定の違反を重ねた場合に都道府県の公安委員会から受講命令を受ける。講習は運転免許試験場などで開かれ数千円の受講料がかかる。受講しなければ命令違反として5万円以下の罰金が科せられる。

現在、信号無視や通行区分違反、妨害運転といった計15類型の違反行為が運転者講習の対象となっている。施行令を改正し、ながら運転と酒気帯び運転を加える。

自転車はシェアリングサービスが普及する一方、走行マナーの悪化が目立つ。全国の警察による摘発は23年に4万4207件で14年の約5倍に増えた。

警察庁は26年にも、自転車の交通違反取り締まりで「反則金」を導入する。新たな違反処理の運用や交通ルールについて理解を深めてもらうため、交通安全教育の強化に向けた体制整備も進める。(2024年6月27日 日経新聞)


青キップの導入とは別に、これまでにも危険な交通違反を繰り返す自転車利用者に安全講習を義務付けてきたわけですが、それに酒気帯び運転と、ながらスマホを加えるようです。今まで危険行為とされていなかったのが不思議なくらいで、事故にも直結する違反です。遅すぎたくらいでしょう。


盗んだ自転車を売買か 中国籍の男ら逮捕 押収した自転車は100台!



自転車を盗んで売買したなどとして、中国籍とベトナム国籍の男ら5人が逮捕されました。警察は関連があるとみられる自転車およそ100台を押収しました。

窃盗の疑いで逮捕されたのは中国籍の自称・金属買取業の男(36)と古物商の男(35)です。2人は5月中旬、浜松市のマンションにとめてあった時価2万円相当の自転車を盗んだ疑いが持たれていて、ベトナム国籍の男ら3人はその自転車が盗難品であることを知ったうえで買い取り譲り受けたとして逮捕されました。浜松市に住む男性(49)から被害届が提出されたため発覚しました。

警察はこの事件と関連性があるとみておよそ100台のスポーツバイクやロードバイクなどを押収しました。5月、静岡市や浜松市などで一晩に十数台の自転車が盗まれる事件があり、捜査の過程で見つかったということです。

警察の調べに対し中国籍の男2人は容疑を認めていますが、ベトナム国籍の男ら3人は否認しているということです。(2024年7月1日 テレビ静岡)


最近は、太陽光発電のケーブルを切断して盗むとか、夜中に家畜を盗む、収穫間近の農作物を盗むといった犯行が外国人の犯罪だったというニュースをよく聞く気がします。自転車盗にも外国籍の犯罪者が関わっていても不思議ではありません。外国人にしてみれば、日本は犯罪のしやすい国になっているのでしょう。


幅寄せ怖い!自転車に思いやり…追い越す車、1.5メートル以上あけて

幅寄せ自動車が車道で自転車を追い越す際に1.5メートル以上の間隔を保つことを呼びかける運動が広がっている。先駆けとなった愛媛県や、徳島県鳴門市、宮崎市など11自治体が実施。

自転車の事故が近年増加に転じる中、安全意識の向上につながるとして注目されており、警察庁は今後、具体的な間隔の基準を設ける予定だ。

愛媛など11自治体運動

「車にクラクションを鳴らされた」「幅寄せされた」。自転車利用者からこうした声が寄せられ、鳴門市は昨年10月、車の運転手に自転車と1.5メートル以上の間隔を空けるよう呼びかけるステッカーを作り、バス事業者やサイクリストに配った。

市では2027年度をめどに淡路島へとつながる大鳴門橋(全長約1.6キロ)に自転車道が開通する予定で、多くの自転車が行き来すると見込まれる。市地域交通推進室の浜田佑人室長は「車と自転車双方の運転マナーを向上させ、サイクリストが訪れやすいまちを目指したい」と意気込む。

草分けは愛媛県だ。13年、自転車と車が道路を共有し合う「シェア・ザ・ロード」の考えに基づく「自転車の安全な利用の促進に関する条例」を施行。条例を浸透させるため、15年から全国で初めて1.5メートル以上の距離を空けるか、難しい場合は徐行を促す「思いやり1.5メートル運動」を始めた。

同県が作ったロゴは高知県香南市や愛知県新城市などで使われ、昨年は鳴門市に加え、鳥取県大山町と高知県宿毛市も名乗りを上げた。

事故増加

警察庁などによると、自転車事故は04年から減少傾向が続いていたが、21年から増加に転じ、23年は7万2339件(前年比2354件増)に上った。移動手段や趣味で自転車の利用が増えていることが背景にあるとみられる。このうち車との事故は77%にあたる5万5735件だった。

自転車は道路交通法で「軽車両」とされ、原則車道を通ることになっている。同庁が昨年8月に公表したアンケート結果では、自転車の運転中に車と接触したり、接触しそうになったりしたことがある人が全体の36%を占めた。

5月に成立した改正道交法では、車が自転車を追い抜く際、十分な間隔が取れない場合は安全な速度で走行し、自転車側は可能な限り道路の左側に寄ることを義務付けた。ただ、自転車との具体的な間隔は明記されていない。同庁は「自動車や自転車の走行状況、道路や交通の状況などにより異なるため」としている。

幅寄せ子どもの頃から

自転車の安全な通行環境を実現するため、警察庁が設けた有識者検討会は2月にまとめた報告書で愛媛県の思いやり1.5メートル運動を例示し、「車道を通行する自転車の保護に資する取り組みを全国規模で推進することが適当だ」と指摘した。

改正道交法は2年以内に施行される予定で、同庁はこれに合わせ、自転車の安全確保に向けた間隔の基準を定め、周知する方針だ。

NPO法人「自転車活用推進研究会」(東京)の小林成基理事長は「1.5メートル運動を普及させるには、学校のカリキュラムに組み込むなどし、子どもの時から配慮し合う意識を醸成することが必要だ」と話している。

恐怖心緩和される距離

なぜ1.5メートルなのか。国土交通省北海道開発局は昨年8月、大型車の運転手やサイクリストら約50人に参加してもらい、バスやトラックなどで自転車を追い越す際の間隔や速度を変化させ、自転車運転者の心拍数や恐怖心の違いを調べた。

その結果、自転車との間隔を1メートルから1.5メートルに遠ざけると心拍数が大幅に減り、恐怖心も緩和された。一方、1.5メートルから2メートルにしても大差はなかった。速度は時速60キロより40キロの方が恐怖を感じなかったという。自転車活用推進研究会によると、欧州では20年以上前からシェア・ザ・ロード精神に基づく運動が展開され、車と自転車の間隔として「1.5メートル以上」が示されてきたという。(2024/07/05 読売新聞)


自転車の側方間隔の問題については、諸外国の例から日本の先進的な事例まで、このブログでは何度も取り上げてきました。一般のドライバーは、ふだん意識もしない話だと思いますが、こうした問題が地方版とは言え、大手新聞に取り上げられるようになってきたのは、隔世の感があります。

ただ、ヨーロッパの国などとは違って、多くのドライバーが当たり前のように配慮してくれるようになるには、長い期間が必要でしょう。欧米とは自転車に対するイメージも考え方も違います。まず、自転車が車道走行だと思っていない人も多いわけで、そのあたりから徹底していく必要がありそうです。


道路の左側の青い標識“矢羽根式”石黒瞳記者が自転車で走って実感「決定的な対策できていない」



くらしに欠かせない自転車。車道の左側通行を促すのが、こちらの矢羽根型路面標示です。しかし、駐停車の車が行く手を阻むなど、いまもなおルールを守って車道を走る自転車が危険にさらされているのが現状です。

札幌市中心部の交差点です。通勤時間帯は交通量が非常に多く、自転車に乗る人の姿も見られます。道路に記されている青い矢印は「矢羽根型路面表示」です。これは自転車の通る位置と方向を示し、車道の左側通行を促しています。多くの自転車が矢羽根型表示の上を走っていますが、中にはー

(石黒記者)「路上駐車の車が邪魔で歩道の中へと入りました」

自転車は歩道に上がり、車をよけたあと、また車道を走っていきます。矢羽根型路面表示の上には多くの車がとまっていて、表示が隠れるだけでなく自転車が通れなくなっています。こうした場合、自転車は原則車道走行なため、札幌市は車道側から車を追い越すよう呼び掛けています。しかし、利用者が危険にさらされているのが現状です。

(自転車の利用者)「(路駐は)本当にやめてほしい。避けるときに車道に出ないといけないので危険だと思う」

一方、車を運転する側からも不安の声が。

(タクシー運転手)「危ないなと思うのは日常茶飯事」

(タクシー運転手)「日本の道路事情じゃ分けるのは難しいのでは。自転車の走行レーンもあるけど車がとまっていて確保されていない」

実際に自転車で走ってみるとー

(石黒記者)「トラックがとまっているので右からよけたいと思います。車との距離が近くとても恐怖を感じます」

この通りでは道路わきに停車することは違反ではありません。しかし、停車しようとすると矢羽根型表示の上にとまることになり、自転車はよけながら走るしかありません。さらにはこんなこともー

(石黒記者)「車がとまっています。後ろを確認して右からよけたいと思いますが」

運転席に戻ろうと男性が車の前から車道に出てきました。スピードが出ていたら接触していたかもしれません。札幌市は自転車の通行場所を確保するには課題があると言います。

(札幌市自転車対策担当課 伯谷浩課長)「例えば幅を広げるですとか、もしくは車線数を減らすというような対応が必要となります。それには時間や費用がかかるということで、実施には結構ハードルが高く思っております。自動車の運転者の方には極力駐停車を避けていただくようお願いをしたいと思っております」

自転車に乗る人が「車道の左側通行」というルールを守っていても、安全のための決定的な対策ができていないのが現状です。いまは車を運転する人も矢羽根型路面標示を理解し、自転車の存在を思いやることが大切になっています。(2024年7月5日 日テレニュース)


こちらも、先ほどの側方間隔の話題と同じですが、大手メディアの記者が、自転車側の立場になって取材をするのは、これまであまりなかったと思います。クルマの側から見て、危ない点を批判するのが一般的な報道スタンスだったのは間違いないでしょう。

現状では、自転車側の法令違反やマナー違反が多いため、違反する自転車側の立場に立ってという話になりにくいのは確かです。どうしても白い目で見られがちですが、きちんと法令を遵守している人もいます。それなのに、危ない状態にさらされている人もいることは理解してほしいところです。


「自動車に乗るのはダサい」? 北欧の自転車環境、記者も乗って実感

北欧500キロ以上もの自転車道やレーンなどが整備され、交差点には自転車専用の信号のほか、進行方向別の右折レーンや直進レーンまである。

3月、自転車をレンタルし、通勤時間帯に市内を走り回った。まだ寒い時期だったが、どこもかしこも自転車だらけだ。市街地の交差点では、車のように自転車がずらっと並ぶ。

市内での通勤・通学における自転車のシェアは45%に上るという。市は2012年に36%だったのを、25年に50%まで引き上げようと専用道や駐輪場の整備などの投資を続けているのだ。月曜日から水曜日の午前中、自転車の数は自動車の約2倍になるらしい。まず気づくことは、スピードが速いことだ。

市の資料によると、推定平均速度は時速16.2キロ。日本の国土交通省のまとめでは、昼間の一般道における自動車の速度は東京23区で18.3キロ、大阪市で18.6キロだから、それらとあまり変わらない。快適に走れるとはいえ、流れに乗らないと邪魔になる。

みな決して歩道は走らず、信号はしっかりと守る。なんだか日本で自転車で走っている時よりも、自動車を運転しているときの感覚に近い。

北欧途中で止まるときは前後左右をしっかりと確認した上で、手で合図をし、走り出すときは高速道路での車の合流のようにすっと入り込んだ。

慣れてくると、少しは周りの景色を楽しむ余裕が出てきた。水辺には彩り豊かな建物が並ぶ。満員電車での通勤とは全く気分が異なる。すがすがしい。市街地にかかる川には、「自転車ヘビ」と名付けられた「自転車専用の橋」もあった。

左右に曲線を描く白い優美な橋は、1日に1万7700台が通行するという。ゆるやかに勾配がつけられ、立ちこぎしなくても上ることができた。

市内では、混雑回避や近道になるよう、06年以来、約20の自転車や歩行者のみが通れる橋がつくられたという。ただし、寒いのは寒いし、疲れることは疲れる。雨の日もある。なぜここまで自転車が多いのか。コペンハーゲンに長く住む通訳の森真由美さんによると、「車、特に高級車に乗ることがダサいと思われるようになっています」と背景を語る。(以下略 2024年6月29日 朝日新聞)


これもニュースではありませんが、記者が北欧で自転車に乗った記事がありました。『みな決して歩道は走らず』が当然なのがわかります。『自動車を運転しているときの感覚に近い』のは、向こうでは自転車を車両として乗っているからそう感じられるわけです。これが私がよく書く、あるべき自転車の交通秩序です。

『車、特に高級車に乗ることがダサいと思われるようになっています』のも自転車のイメージが良く、環境への意識の高いヨーロッパならではの感覚でしょう。どれも海外で実際に経験しないと実感できないとは思いますが、このような欧米での自転車事情を大手新聞が紹介するのは、自転車への関心の高まりなのでしょう。


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◇ 日々の雑感 ◇

晴れて自転車で出かけても、あっと思った時には遅いとも聞きますので熱中症対策には気をつけたいところです。

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